STORY 東京海上日動火災保険 vol.24

地方に特有の課題を克服、ITツールで働きやすく両立しやすく

東京海上日動火災保険 山陰支店鳥取支社
古川 沙也佳さん

東京海上日動火災保険・山陰支店鳥取支社の古川沙也佳さん(31)は社会人になって以来、今が一番仕事が面白いと感じている。育児休業から1年半前に復職。当初は育児との両立で壁にぶち当たったが、山陰支店で始まったITツールを活用した働き方改革で、今では時間を劇的に有効活用できるようになった。長距離の移動や他拠点との情報共有がしづらいといった地方特有の課題を克服し、既存業務に加えて「ワクワクする」新しい仕事にもチャレンジできるようになった。

広い営業エリア、往復の移動に2時間以上

東京海上日動の山陰支店(松江市)は東西に長い島根県と鳥取県をカバーする。傘下にある鳥取支社(鳥取市)は観光地の鳥取砂丘まで車で約10分の市内にあるが、営業エリアは広域だ。営業職の古川さんは市内の保険代理店のほかに、車で片道1時間以上かかる倉吉市の代理店もこの春まで担当していた。打ち合わせや会議のたびにいつも往復2時間以上も車を運転して移動する必要があり、車内では「運転している時間がもったいないな」と思うことがよくあったという。

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古川沙也佳さんは大阪の大学を卒業後、地元の鳥取で東京海上日動に就職した

古川さんが第一子を出産し、産休・育休から職場に戻ったのは2017年12月。時短期間を終えて通常の勤務体制に戻ると、早速、育児と仕事の両立の難しさに直面した。「仕事量が増え、残業で帰りが遅くなる。息子と過ごす時間を大切にしたいのに早く帰れないのがつらかった」と振り返る。働くママの多くが抱える「時間が足りない」という悩みを痛感し、会社の先輩にも弱音を吐くことがあった。

時間に追われる毎日のなかで、遠方の営業先に移動する時間にはもどかしさを感じた。古川さんが営業職になったのは育休明けからで、産休に入るまでは支社内で営業事務を担当していた。営業職として代理店に頻繁に足を運ぶようになり、さらに育児をしながらという状況で、限られた時間を有効に使いたいとの思いが人一倍強くなっていた。

入社4年目でチームリーダーに、最下位からの巻き返しへ奮起

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鳥取支社では後輩社員から頼りにされる存在だ

業務の改善には昔から意欲的だ。古川さんは10年4月に転居を伴う転勤がないエリアコース社員として入社。4年目には鳥取支社で営業事務を統括するチームリーダーと派遣スタッフの教育担当に任命された。他の支社ではもっと経験の長い社員が担っている役割。「なぜ4年目の私が・・・」とプレッシャーだった。ただ当時は支社の営業事務担当4人のうち2人が新入社員という若い組織。山陰支店から「鳥取支社が一番心配だ」と言われていたのも悔しく、何とかしようと気持ちを奮い立たせた。

確かに支社には課題が多かった。毎年定例のオフィス点検で山陰支店傘下の4支社のうち、鳥取支社の評価点数は最下位が指定席だった。ファイルの管理方法や業務フローなど全店共通のマニュアルや規定に沿っていない項目が多い。古川さんは支社内外の協力を仰ぎながらリーダーとしてそれらを一つ一つ改めていった。「支社の業務が円滑に回るには新入社員2人の成長が欠かせない」と、新人の育成にも力を入れた。

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入社4年目でリーダー役を任されたのは、強い責任感あってこそ

リーダーになって3年目。「他の支社に負けないようにしよう」という努力が実り、最低だったオフィス点検の評価は4支社で最も良い点数となった。新入社員だった2人も成長し、頼もしい存在となった。「支社内でまだ改善すべき項目は多くあったが、手応えとやりがいを感じた。今思えば、入社4年目で大事な役割を与えていただき、自分の成長につながった」と感謝している。

鳥取支社の営業事務が安定して回り出すと、古川さんは上司から営業にチャレンジするように促された。もともとは営業職希望だったので、やぶさかではない。ただその頃に妊娠が判明。産休・育休が明けてから営業職に移ることになった。

「距離の壁」飛び越え、時間を創出

育休明けの復職は「夫や近くに住む両親の支えがあったので不安はなかった」。代理店をサポートする営業職の仕事も、社外の多くの人とのネットワークが広がることに魅力とやりがいを感じた。これまで営業事務を経験してきたことも、営業の仕事をするうえでメリットを感じることが多かった。ただ残業が重なって、まだ小さな長男と過ごす時間を犠牲にすることだけはストレスだった。

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山陰支店の大内章智支店長(左)がITツールを活用した働き方改革を推し進めた

ちょうどその頃、山陰支店エリアでは大内章智支店長が始めた働き方改革が軌道に乗り始めていた。クラウドを使ったオンライン会議サービス「Cisco Webex」を支店・支社で積極的に活用し、取引先の代理店にも使ってもらう取り組みだ。大内支店長は「Webexはスマートフォンやタブレットで誰でも簡単に利用でき、ネットがつながれば会議や打ち合わせにどこからでも参加できるのが最大の特長。専用のテレビ会議システムがなくても『距離の壁』を容易に飛び越えられる」と改革の狙いを説明する。

このツールを古川さんは積極的に活用した。支店エリアの代理店にまで浸透し始めると、古川さんの働き方も劇的に変化した。まず代理店との会議がネットでできるようになり、会議や打ち合わせのたびに往復2時間以上かけて移動しなくて済むようになった。逆に代理店に訪問した際にも、社内の会議や勉強会に外出先からネットで参加できるため、会社の予定に左右されずに機動的な訪問もしやすくなった。

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外出先でもタブレットを使って会議や勉強会に参加できる

代理店向けの新商品説明会では、最も詳しい社員が支店エリアの全代理店にネットで一斉に説明できるようになった。これまでは地区ごとに支社の担当営業がそれぞれ説明会を開催していた。古川さんは「自分で説明会を準備する必要がなくなり、新たな時間ができた。商品知識やプレゼン能力にたけた社員の説明を聞くことで、自分の話し方やプレゼン方法の勉強にもなる」と二重の効果を実感している。代理店にとっても質の高い商品説明をネットでどこからでも聞けるメリットは大きいという。説明会場に足を運べない代理店の保険募集人にも必要な情報が伝わりやすくなった。

業務の効率化で「ワクワクする」新たな仕事も

他の拠点との情報交換がしやすくなり、社員の横の連携も広がった。代理店からの問い合わせなどで不明な点や課題が出た場合、これまでは支社内だけで解決しようとしていたが、Webexを使えば他の支社や部署の担当者にも相談しやすいという。「本店を含めて社内の様々な立場の方の知恵を借りやすく、課題解決までのスピードが格段に速くなった」と古川さん。移動時間の削減と課題解決の早期化で、今では残業をほとんどしなくて済むようになり、帰りが遅くなって子供と会えないというストレスから解放された。

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支社内外の社員の横の連携も深まった

それだけではない。効率化で生み出した時間を、担当代理店の本業支援や新規の顧客開拓といったこれまで手が回らなかった仕事にも充てられるようになった。古川さんは目を輝かせてこんなエピソードを教えてくれた。「昨年末に兼業代理店をしている自動車販売修理会社の社長さんからある事業構想を伺いました。その実現に向けてお手伝いができればと、事業に関連する他の会社をご紹介することができました」。代理店の本業に協力することは、担当営業の醍醐味のひとつなのだという。

また新しい顧客を開拓するため、古川さんはこれまで取引のなかった企業への訪問も始めた。「色々な方々と会ってお話をするのは自分の知識も増えて刺激がある。ワクワクするし、代理店さんやお客さまに喜んでいただければこちらもうれしい」と、これまでとはまた違った新たな働きがいを感じている。

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上田博隆鳥取支社長(右)と打ち合わせする古川さん。「大内支店長と上田支社長が前向きなチャレンジをしやすい雰囲気を作ってくれている」という

「古川さんには失敗を恐れず色々とチャレンジしてもらいたい。子育てをしながら元気に働くロールモデルになってほしい」と上司の上田博隆鳥取支社長は期待する。Webexの活用によって在宅勤務もしやすくなった。古川さんにとって、子供が急に体調を崩した時なども在宅勤務がしやすい今の体制は安心感があり、以前よりも仕事と育児を両立させやすい環境になっているという。

「子供・家族が一番大切だが、仕事も自分の人生には欠かせない」と古川さんは話す。東京海上日動はチャレンジの場を与えてくれてやりがいがある職場であり、子供に対しても誇れる仕事だとの思いがある。育児中は地元の鳥取で働き続けるが、いつかは会社のキャリアアップ支援制度を使い、東京や大阪など他のエリアの異なる業務も経験して自らを成長させたいと思っている。

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仕事中は自宅に近い両親の家に2歳の子供を預けている。古川さんが迎えに行くと胸に飛び込んできた

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