STORY 東京海上日動火災保険 vol.15

キャリアの選択肢を拡大、新たな経験で殻を破る

東京海上日動あんしん生命保険 営業企画部
小熊 寛子さん

東京海上日動あんしん生命保険の小熊寛子さん(32)は昨年4月に東京海上日動火災保険から出向し、東京で働き始めた。地元の栃木県内だけに勤務するエリアコース社員だったが、会社が導入した新人事制度で、一定のエリア内で転居を伴う異動がある「ワイド型」になることを希望し、初めて県外へ転勤した。振り返ると、入社当時には全く想像していなかったキャリアの道を歩んでいる。新たな業務と役割に刺激を受けながら、自らの世界が着実に広がっていると感じている。

「私に営業は向いていない」

大学時代、就職活動ではもっぱら事務職を探した。「人見知りで控えめな性格。私に営業は向いていない」と思った。在京の大学だったが、地元の栃木県での就職を志望。東京海上日動火災保険に転居を伴う異動のない地域型(現エリアコース)社員として2007年に入社し、栃木支店の事務担当として社会人生活をスタートさせた。

1年目は同支店の宇都宮東支社、2年目からは同・那須塩原支社で希望どおり事務を担当。「一日も早くお客様に正しい保険証券をお届けする」との思いで、正確・迅速に業務を遂行することにやりがいを感じていた。入社5年が過ぎた頃だ。東京海上日動では個々人の強みを生かした適材適所の役割を担う「役割変革」を推進、エリアコース社員の役割を各人の適性に合わせて事務担当から営業担当に、といった動きを本格化させていた。その流れに沿って、小熊さんも事務を担当しながら保険代理店の支援業務、いわゆる営業も兼務するようになった。

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小熊さんは営業担当になってから「寝ているときに仕事の夢を見るようになった」という

営業担当として保険販売の最前線に立つ代理店と直接話をするようになると、事務を通して保険の世界を見ていた自分の視野が一気に広がるのを実感できた。やってみると営業の役割に対して抱いていた不安よりも、良い意味での刺激のほうが大きかった。そして入社7年目の13年夏に宇都宮支社に異動となり営業専任になった。

異動後に担当した代理店のひとつに、東京海上日動が認定する「TOP QUALITY代理店」を目指す代理店があった。認定基準をクリアするには、社員の役割分担などしっかりした組織体制を整えることが求められた。代理店の40代の社長は担当の小熊さんを頼りに、基準クリアのために様々な質問を投げかけた。小熊さんはそれを一つ一つ調べて答えていく。「代理店さんの立場になって考える必要があった。私自身が多くのことを勉強させていただいた」と振り返る。

何よりも代理店と目標を共有し、達成に向けて一緒に努力する過程が小熊さんには新鮮だった。二人三脚で厳しい基準を満たす組織体制を整え、約1年後に「TOP QUARITY代理店」に認定された。「チームのような感覚で一体感を持って仕事をすることに大きなやりがいを感じた」という。かつての「人見知りの私に営業は向いていない」との思いは消え、「色々な方と出会って話をするのは楽しいし、勉強になる」と考えるようになった。

厳しい指導の真意を知る

15年夏に小熊さんがチャンスと思う知らせがあった。会社が人事制度改定の中で、エリアコース社員を対象に、関東・甲信越など一定のエリア内で転居を伴う異動がある「ワイド型」という新たな選択肢を設けるとの話だ。営業担当を経験してから「色々な役割や担当に挑戦したい」との思いを強めていた小熊さんは、ワイド型への申請を迷うことなく希望したという。

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「いろいろな役割や担当に挑戦したい」と地元の栃木県以外へも異動の可能性があるワイド型を申請した

上司の課長は小熊さんの希望を応援すると歓迎してくれた。エリアコースから国内外への転居転勤があるグローバルコースに転換した女性の課長だった。「ワイド型を希望するなら宇都宮支社にいる間に何か胸を張れる実績を作りなさい」。そう声をかけてくれたという。

小熊さんは宇都宮支社で生命保険の営業を統括する「生保キーパーソン」にもなっていた。損保会社はグループの生保商品の販売を手がけている。15年頃には会社の損保・生保の一体施策が鮮明になり、小熊さんも「責任を持って支社の目標を達成しないといけない」との思いを強めていた。

目標達成には生保キーパーソン一人が頑張っても無理。支社の営業担当全員に動いてもらわないといけない。社内のミーティングなどで呼びかけるようにしたが、最初はなかなか人を動かすことができなかった。「どうやったら人を動かせるか、自分自身でよく考えなさい」などと課長からは厳しい指導を受けるようになった。小熊さんが担当の代理店支援で忙しく、生保への取り組みに十分な時間が取れなくなっているときには「生保キーパーソンなのだから、生保に関しては人一倍力を入れなくてはダメ。そうしないと周りは動かせない」と注意を受けた。

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宇都宮支社での経験が現在の部署で生きている(東京海上日動あんしん生命保険の営業企画部にて)

気が抜けない日々が続き、何度もくじけそうになったという。時にはトイレで泣くこともあったと打ち明ける。そんな時に別の課長が声をかけてくれた。「(直属の)課長の小熊さんに対する愛情ってすごい。リーダー会議でも小熊さんのことをよく話しているよ」

小熊さんは思い出した。ワイド型に手を上げたときの課長の言葉だ。「本当は時間をかけてあなたに色々と教えたいのだけど、ワイド型になるなら、あと半年ぐらいしか一緒にいられないかもしれない。その分、厳しく教育するよ」。本当に厳しい指導が続いていたが、それが愛情であるとその時に気づいた。

チームとして、組織として仕事を進める大切さ    

16年3月、小熊さんは苦労が報われたと思った。支社の生保販売目標を達成したのだ。簡単ではない意欲的な目標だったという。「最初は自分一人で空回りしていたが、課長のサポートもあり、支社一丸となって取り組むことができた」と振り返る。厳しく叱られながらも前向きに頑張る小熊さんの姿を周囲が見ていたことも大きい。組織が目標に向けて動くということを身をもって経験した。「つらかったけど課長には感謝の気持ちしかない」

そして小熊さんのワイド型への希望がかない、16年4月にあんしん生命に出向し、同社・東京本店の営業企画部営業推進室に配属となった。全国の営業担当に向けて生保の営業推進策を企画・立案する部署。小熊さんは主に損保と生保を併売している代理店向けの営業支援策などを手がける。「出向よりも企画部門への異動に驚いた」そうだが、損保の支社で生保キーパーソンだった経験を生かせる仕事だ。

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東京海上日動火災保険と東京海上日動あんしん生命保険が2016年9月に都内のホテルで共同開催した保険代理店の表彰式典。全国から約450人が集まる盛大なイベントだ

今はまだ1年目で周囲に助けられてばかりだという。だが同じ部署のメンバーや東京海上日動火災保険の営業開発部など関連部署と連携しながら、チームとして、組織として仕事を進めることの大切さを強く意識している。それが宇都宮支社時代に得た教訓であり、小熊さんが自分で磨かなければならないスキルだと重視している。

小熊さんが現在担当する業務の一つに全国の代理店を表彰する式典の企画と運営がある。営業担当時代に担当代理店に表彰を目指そうと働きかけていた式典だ。16年9月にその運営を担当した。実は表彰式典を見るのは小熊さんもこのときが初めて。「ホスピタリティーにあふれ、一年間頑張ってきた代理店さんに喜んでもらえる内容に感激した」という。

式典業務を担当して「保険会社の中でも全く違う仕事があることが新鮮だった。異動は新たな人に出会え、視野が広がって刺激になる」と話し、こう続けた。「次に営業担当に戻ったら、代理店さんに実感を込めて式典を目指そうと伝えられる」。事務、営業、企画部門と多様な業務経験を重ね、それを糧にする。新たな経験が自分の成長につながると前を向いた。

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