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仕事と育児の両立、気負い過ぎないで

多くの働く女性にとり、「仕事と出産・育児の両立」は重大な関心事です。ジブンらしさ研究所のお悩みルームで聞いた「このまま仕事を続けて、出産・育児なんてできるのかしら?」との質問にも、様々なコメントが寄せられました。育児の仕方への悩み、ワークライフバランスができない戸惑い、さらには職場・上司・夫への不満。同時に、先輩ママから「自分から働きかけたことで、職場が良い意味で変わってくれた!」といった経験談もありました。女性の力が求められる今、周囲も含めどんな心構えで臨めばいいのでしょうか。キャリアコンサルタントの上田晶美さん(ハナマルキャリア総合研究所・代表)のアドバイスを交え、考えてみました。

悩ましい心のバランス、自分の感性大事に

精神的・心理的な不安をはじめ、皆さんからいただいたたくさんの悩み。中でも多かったのは、「子どもを大切にしたい」「仕事を頑張りたい」という2つの思いのバランスをどう取るのか、でした。

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お悩みルームには精神的・心理的な不安感などが寄せられた(リンクはこちら)

代表的な声が「子どもの成長の瞬間を見逃したくないけれど、職場でみんなが仕事に100%の力を注いでいる中、自分だけ上手に割り切れる自信がない」。「仕事したいのにできない状況、同僚や先輩に申し訳ない気持ちをどうしたらいいのか」と、職場に迷惑をかけることを気にする人は少なくありません。平日は自分だけが育児をせざるを得ず、仕事との両立でイライラがたまって、子どもに影響しないかとの心配もありました。

では、子育てに専念した方がいいのでしょうか。そうではないようです。仕事と出産・育児、望ましいバランスは人それぞれ。先輩ママからよく聞くのが「自分のメンタリティが最も良い状態にあることが、子どもの成長にとっても好ましい」という意見です。「私、こうしました」にも「模範回答のような情報に無理に合わせようとすると、仕事と子育てのどちらにもストレスを感じてしまう。受け売りではなく、自分の感性が大切」とのコメントがありました。

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精神的に良い状態にあることが、子どもにとっても好ましい

産後4カ月で時短勤務を選んだ方は育休中に短時間でも成果を出せる方法を模索。「通勤時間中や入浴時間を今日やることの整理やアイデアを練る時間にし、勤務時間中は全力でそのアウトプットをしたため、もしかしたら出産前よりも生産性は上がったかもしれません」と言います。ピジョンが手掛ける育児に関する情報サイト「コモドライフ」には、仕事と育児のバランスについて、先輩ママたちのホンネが掲載されています(育児も仕事も、人それぞれ。働くママの本音トーク)。

キャリアコンサルタントの上田さんは「女性のキャリアは、ぜひ長い目で考えてほしい」と話します。キャリアを積んで仕事が面白くなり、責任ある立場に就いたりすると、出産・育児でキャリアがストップしてしまうのではないかと不安になりがち。「でも、仕事人生はとても長く、子どもを産みたいという意思があれば、仕事だけを理由に断念するのはもったいない。思うように働けない時期があっても、長い人生で見ればほんの一時的。後からいくらでも仕事で活躍できるチャンスはあります」。自分にとってどんな人生が幸せだろう? どのようなキャリアを目指したいのだろう? とじっくり考えてみるのは結構大切なようです。

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どんな人生、どのようなキャリアを目指すのか、じっくり考えることが大切

事前準備と早めのコミュニケーション

不安や不満は職場やパートナーに対してもありました。産休・育休など制度は整っているけれど実際にそれを使っている先輩女性がいない、男性社員の理解が足りない、などなど。「旦那は出張が多く帰宅も遅いうえ、どちらの実家も遠く、平日はワンオペです」という方は、自分のイライラが子どもに悪影響を及ぼさないか、心配と打ち明けます。

そんな問題に対し、先輩ママが貴重な経験を伝えています。「前例や規定がない中で産休も育休も取ってフルタイムで復職。前例も規定も自分で作る!という強い気持ちで取り組んだのが勝因でした」「出産を計画した段階から詳細な引き継ぎ書とマニュアルを作成。おかげで同僚とも良い関係性を保っているし、マタハラのようなことは一言も言われたことはない」。職場では「事前準備」と「上司や同僚との早めのコミュニケーション」の大切さが強調されています。

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職場の上司・同僚には早めに報告・相談

夫の理解と協力の不足には、「復職後、家事を夫に頼むようにしたら少しずつ率先してやってくれるようになった」。「家事を巡ってケンカが絶えないので、夫に頼らずに食洗機に頼ることを決めた」なんて攻略法もありました。

職場やパートナーの理解を深める意味を込め、上田さんは「短期間でもいいから男性にぜひ一度、育児休業をとってもらいましょう」と提案します。男性が育児参加する時間はまだ限られ、どうしても全体像が分かりにくくなっています。だからこそ、男性に子育ての主体としての当事者意識を持ってもらうため、育児休業は良いきっかけになるといいます。コモドライフにも、育休を取得した男性の体験談が掲載されています(取ってみなければわからない!パパの育児休業【学研プラス】)。

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男性の育児休暇の取得を

仕事と育児の両立について、上田さんは「頑張りすぎないことが大切です」と力を込めます。真面目で自分に厳しすぎる人ほど、出産・育児でも悩みを抱えがち。特に自身の母親が専業主婦だと、自分の家事・育児を厳格にやろうとする傾向があるそうです。

「母親業と主婦業は別。大切な母親業に専念するためにも、主婦業の負担はできるだけ軽くした方が良いのです。ファミリーサポートなど頼れるものは積極的に使い、自分を楽にする投資・支出はためらわないで。パートナーはもちろん、大きくなってきたら子どもに少しずつ家事を任せてみては」

仕事も家事・育児も気負い過ぎは禁物です。そして、誰もが悩んでいます。周囲の協力を得て、無理せずに。皆さんからのアドバイスをまとめると、こんな言葉が浮かんできました。

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