イベントリポート

The Okura Tokyoと働き女子 (1) 「余白」で高まる仕事創造力

新型コロナウイルスの感染拡大がもたらした仕事と暮らしのニューノーマル(新常態)。海外旅行などが難しいなか、オンとオフの切り替えも新たなスタイルが求められています。日経ウーマノミクス・プロジェクトでは、コロナ禍においても働き女子がもっと元気にジブンらしくいられる環境づくりの一環として、パートナー企業のホテル「The Okura Tokyo」とタイアップした新企画を実施しました。ウマノミ会員がホテルに宿泊体験し、心も体も元気になる宿泊プランを一緒に考える取り組みです。応募者約190人から選ばれた会員4人の宿泊体験を通じ、ホテルの上手な活用法を2回にわたってリポートします。

都心でひたれる静寂空間

国内IT企業で取締役COO(最高執行責任者)を務める青木沙織さんは昨年の新型コロナ感染症の流行以降、都内の自宅でテレワークを続けています。仕事は企業向けのIT教育。グループウエアを使って生産性を高める働き方の研修を提供しています。「オンライン研修や社内外の会議で自室に缶詰め状態。朝から晩までデスクに向かい、気が付いたらあっという間に1日が終わる」という日々で、仕事とプライベートの切り替えができないのが悩みといいます。コロナ禍による在宅ワークのストレス対策は多くのビジネスパーソンが抱える共通課題。青木さんは常態化したテレワークにおいて仕事のパフォーマンスを上げるため、都心のホテルの活用法を考えたいと今回の企画に応募しました。

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ホテルで仕事もしてリチャージもしたいという青木沙織さん。夕食は中国料理「桃花林」で薬膳メニューを楽しみました

「The Okura Tokyoには都心にいながら"リトリート"ができる環境があるのではないか。集中して仕事もでき、さらに心を整えて自分を取り戻す過ごし方を試したい」。応募選考時にそう話した青木さんは、ホテル内でテレワークをし、普段はなかなかできないという運動をし、食事はデトックス効果のある薬膳料理で心も体も整えるという過ごし方を希望しました。次なる仕事に向き合う力をリチャージするために。その効果はいかに――。

春めいてきた2月の中旬、青木さんを含むウマノミ会員4人はホテルで1泊2日を過ごしました。滞在中に青木さんがたびたび実感したのは「"余白"がもたらす効果」でした。普段は自室で余裕がなく、息継ぎなしで走り続ける日々。ホテルに身を置いたときに感じたのは館内も客室内もたっぷりとした空間、余白があることです。客室の机に向かっていても「脳の中の整理整頓が勝手にできている感じ。余白があることでクリエイティビティが高まっていくのを感じます。もっと仕事をしたいとの思いが自然と湧いてきました」といいます。

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客室内の机でパソコンに向かう青木さん。「集中できて、もっと仕事がしたくなる環境」といいます

もう一つの驚きは「静寂」です。都心にいるのに街中の人工的な音が聞こえません。車が走る音、通りでおしゃべりする声など雑音が断たれた世界。仕事の際は集中力が高まり、さらに夜には良質な睡眠にもつながりました。「心と体がリラックスでき、いつもより早く就寝し、ぐっすり眠れました」。翌朝の27階のフィットネスルームで受けたストレッチ&トレーニングも窓の外の景色を眺めながら、思考力が高まったといいます。窓から温かい陽光が差し込む部屋にチェックアウト時間が近づいたとき、「とても居心地がよかった。アイデアがたくさん浮かんでくる。この空間でもっと仕事をしたい」。そんな気持ちになりました。

気分の切り替えは多種多様

外資系証券会社を約1年前に退職し、いまは日本文化を通じた人材交流事業に取り組む北原明子さんも在宅ワークが中心です。The Okura Tokyo館内の随所にある伝統的な美術意匠にふれること、そしてホテル施設を活用して仕事の効率化につなげたいとの目的で企画に応募しました。今回のホテル滞在中に仕事の打ち合わせを2件入れ、その合間にはフィットネスルームでのストレッチや点茶体験などで気分転換するワーケーションスタイルの1泊2日を体験しました。

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メインロビーで打ち合わせをする北原明子さん(左)。ホテル内にはレストランを含め、空間にゆとりがある場所が多い

いまはコロナ禍で打ち合わせもリモートが大半ですが、やはり直接会っての話し合いが必要な場面もあります。北原さんはその場所として「都心でアクセスがよく、レストラン、ロビー、ビジネスセンターなど打ち合わせ場所の選択肢も多い」というホテルの活用を想定。今回の企画で実際に試してみると仕事先の相手との会話も弾みやすく、次のビジネスにつながるアイデアも生まれたそうです。

ホテルでひと仕事終えた後は、フィットネスルームでトレーナーの指導がついたストレッチ。同じ館内でウエアやシューズもそろっているので気軽に利用できます。窓の大きな開放的な空間で20分ほど身体を動かすと、頭もスッキリしました。茶室「聴松庵」で受けた点茶体験の時間も同じような効果があったといいます。「20~30分で次の仕事への切り替えができる要素がホテル内にはいくつもある。メリハリをつけられ、仕事のパフォーマンスが高まる」とThe Okura Tokyoに滞在する効果を実感しました。

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北原さんは鉄板焼「さざんか」で夕食。焼き手が目の前で料理を仕上げるので「ひとりでも退屈せずに楽しめた」といいます(※現在は緊急事態宣言に伴い館内レストラン・バーの酒類提供は休止中)

楽しみにしていた館内ツアーは2日目に体験。建て替え前の本館の空間をそのまま再現したオークラロビーなど、日本の文化を映した建築や意匠の解説を聞きながら館内を巡ります。「実際に見学しながら、美しい空間の理由や建築家の意図を知ると見方が変わり、愛着がわく」と北原さん。仕事で日本文化を外国人に紹介することもあり、The Okura Tokyoはもってこいのホテルのようです。

深い呼吸が自然にできる

青木さんと北原さん、同じく今回の企画に参加した丸山れいもさんと原こずえさんのウマノミ会員4人は、宿泊体験から1週間後、ビデオ会議システム「Zoom」で再び顔を合わせました。体験を踏まえて、働き女子にとって魅力ある宿泊プランのアイデアを話し合うためです。このなかで青木さんと北原さんがペアを組み、The Okura Tokyoを仕事に活用して業務のパフォーマンスを高めるのに役立つプランについて検討しました。

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青木さんはルームサービスでヘルシーメニューの朝食(左)。北原さんは客室のテラスで早朝ヨガ(いずれも本人撮影)

コロナ禍のなか在宅ワーク中心の慌ただしい日々は、心も体もすり減り、余裕がなくなりがちです。青木さんと北原さんが1泊2日の滞在でともに感じたのは「ホテルにいると深い呼吸が自然にできる」という点です。それは心と身体を整える効果がありました。仕事を続けていくなかで、時に「心をリセットしアタマの中を整理する」ことを自ら意識的に採り入れることが大切だと、2人は宿泊体験で確信しました。

2人が打ち出したプラン案のタイトルは「『ON』な私の新呼吸 Room in my heart for Work」。宿泊・夕食・朝食・ビジネスセンター、フィットネスなどを基本プランとし、オプションでスパトリートメントや点茶体験、館内ツアーなどのリフレッシュプランを選べるという内容です。働き女子にはカラダのケアも大切。食事は量を控えめにし「プロの料理人だからこそ提供できる洗練された薬膳料理やヘルシーメニューで体のデトックスにつなげる滞在にしたい」との案も盛り込みました。The Okura Tokyoは働き女子ならではの今回の提案を参考にしてプラン商品の開発に生かしていきます。

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The Okura Tokyo はウマノミ会員の今回の提案を宿泊プランづくりに生かしていきます

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今回のThe Okura Tokyoとのタイアップ企画にはウマノミの女性会員約190人から応募をいただきました。応募フォームに記載いただいた内容に基づいた一次選考をパスした会員の方々と2020年12月に面談をし、最終的に4人を決定。新型コロナウイルスの感染拡大によって当初予定から実施時期を延期し、感染予防対策を万全にして2月中旬に宿泊体験をしていただきました。リポートの2回目は「ジブンを取り戻すためのホテル活用」を提案した丸山さんと原さんの体験記をお伝えします。5月31日掲載予定です。

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