イベントリポート

"やらなきゃ"をやめて未来を変える ウマノミライブセミナー

私たちの働き方、ライフスタイルに大きな影響を与えた新型コロナウイルス感染症の流行。女性が活躍しやすい社会をめざして全国30万人の個人会員が参加する日経ウーマノミクス・プロジェクトは11月11日、「コロナ時代、もっとウェルビーイングな人生へ」と題して参加型のライブセミナーを開催。ゲストスピーカーと日本経済新聞編集委員とともに、コロナ禍の変化をプラスに変え、心身ともに気持ちよく幸せな人生を送るために何をすればいいか考えました。
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新型コロナ流行で「変化して良かった」5割

今回のゲストスピーカーは61歳でモノの貸し借りアプリを提供するピーステックラボ(東京・渋谷)を起業した村本理恵子さん、『フィンランド人はなぜ午後4時に仕事が終わるのか』著者の堀内都喜子さん、コロナ禍でストレスを抱える女性の健康を意識した活動を進める大塚製薬の小出莉央さん。ファシリテーターは中村奈都子日本経済新聞編集委員が務め、セミナー中のライブアンケートやチャット機能での意見交換を交えて参加者のウーマノミクス会員とともに議論しました。

セミナーでは日経ウーマノミクス・プロジェクトが8~9月に実施した会員アンケートをチェック。結果を見ていくと、この1年半ほどで、プラスとマイナス、さまざまな変化があったことがよくわかります。新型コロナ禍で「ストレスを感じることが多くなった」と答えた人が、「少なくなった」人の5倍以上と圧倒的に多かった一方で、新型コロナ流行で起きた働き方や暮らしの変化について「良かった」(24%)「まあ良かった」(28%)という回答は合わせて5割を超え、「良くなかった」(14%)「変化したくなかった」(4%)という声を大きく上回りました。

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61歳で起業した村本さんは「やりたいこと」を中心に据えるようアドバイス

学び直しや起業などに挑戦しているという具体的な変化の声もピックアップ。堀内さんは、フィンランドは失業率が高く、失業を経験する人も多いことから、「何歳になっても、どんな状態でも勉強することが大事とされている」と紹介。村本さんも起業について、「起業が目的ではなく、『こういうことがやりたい』というパッションがあれば、それがなんとかしようというエネルギーになる」とアドバイスを送ります。

アンケートの回答で「見つめ直した」という人が多かった「家族や友人との関係」についても様々な意見が飛び出します。感染対策で外出自粛が続き、リモート勤務が拡大したことでは、一人の時間を楽しめる面もあれば、仕事で違う部署のメンバーと話すことが減るなど交流の範囲が狭まったというデメリットもありそうです。中村編集委員は、「コロナ前は人間関係が膨らみすぎていたのを絞って、再構築していくのがこれからの作業かもしれない」と指摘しました。

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フィンランド大使館で働く堀内さん。日本との違いを参加者に紹介しました

家族との関係にも変化が。遠方の家族と直接会うことが難しい時期が続くなか、テレビ電話などを使ったコミュニケーションが始まり、かえって新型コロナ流行の前よりも密に話すようになったという声が出ました。同居している家族との距離感もデリケートな問題です。友人とシェアハウスで暮らす村本さんは、「家族だから遠慮がなく、イライラするのかも」。男女平等に家事を担うイメージのあるフィンランドでも難しさはあるようで、どう分担するかなど「オープンに話せる関係性をつくることが大切では」と堀内さんは話します。

心も体も元気に暮らすには

アンケートで約4分の3の人がコロナ禍で変わったと答えたのは、健康への意識です。もともと女性は毎月でも一生でも体調が大きく変わります。女性の健康を推進する大塚製薬の小出さんは、同社が1月に全国の35~59歳、約2400人にヒアリングした調査を紹介しました。

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大塚製薬の小出さんは同社が進める活動だけでなく、一人の働く女性としての率直な思いも話してくれました

「女性の周囲環境は、女性の健康に知識・理解があると思うか」という設問で「非常にある・ややある」と答えた人は19%。家族やパートナーがどの程度理解していると感じるかと質問すると、「理解がある」との回答は22%、「配慮している」は15%にとどまり、「多くの女性がわかってもらえていないと思いながら生活している」(小出さん)。

男性も8割が育休を取るフィンランドでは、女性の体の変化、妊娠・出産への理解があり、「話しやすさがある」と堀内さん。生理痛がひどくて休みたいと男性の上司に伝える場面も珍しくないとか。村本さんも「日本ではさまざまな制度をつくる部門にいるのは男性が多い。プロジェクトやチームができ、そこで女性が声を上げることで、『そうなのか』となるのでは」と指摘。職場でも家庭でも、女性も男性もオープンに話しやすくなるような雰囲気が大切なようです。大塚製薬の女性の健康推進を行う部署ではメンバーが男女問わずセミナーで研修をしていると小出さんは説明します。

ライブセミナーでは視聴画面から回答できるリアルタイムアンケートも実施しました。「あなたは自分らしく生き、幸せを感じていますか」と問いかけると、「はい」が51%と過半数を超え、「どちらでもない」が25%、「いいえ」は24%でした。

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中村編集委員が、事前アンケートで寄せられた「目標を見失って迷走している。何から取り組めばウェルビーイングになれるのか」という声を紹介すると、村本さんは「そういうときは大変だけれど、自分が変わるときだと思う」とエールを送りました。「日本人は『こうあるべきだ』と設定しがちで、そこと自分を比べて落ち込んでしまう。これを捨てると気楽になる」(村本さん)。堀内さんも「何歳はこう、男性は、女性はこうだと無意識のバイアスをもっているところがある」。フィンランドに行ってそういう枠を忘れることができたそうです。

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ライブセミナーは多くの会員が参加しやすいよう平日夜に開催

「変な枠はとってしまって、やりたいならとりあえずやってみる思い切りのよさもあっていいのでは」と堀内さん。かといって、いつもやりたいことに向かってエネルギッシュである必要はありません。休むことは悪いと思いがちですが、休むからこそ次にがんばれるということで、ゲストのみなさんの意見は一致していました。

「こうすべきだ」「やらなきゃ」「がんばらなきゃ」と縛ることをやめる。終了後のアンケートでは「プラスの変化をうまく活用して、ウェルビーイングな人生にしたいです」「がんばらなくてもいいんだと思うと心が軽くなりました。好きなことやってみます」との声が寄せられました。2022年はいまより自由に、ジブンらしく、仕事にプライベートに向き合う年にしたいですね。

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