イベントリポート

「英語で書く」は手帳から~ウマノミEnglishワークショップ開催 

日経ウーマノミクス・プロジェクトのコミュニティー「ウマノミEnglish」のワークショップ「手帳で始める英語ライティング 新年の抱負 New Year's Resolutionを書いてみよう」が2020年12月18日、オンラインで開催されました。指導役は英語インストラクターの神林サリーさん。300人を超えるウマノミ会員が同時視聴し、ZOOMのチャット機能などを使った双方向のやり取りで「英語で書く」のノウハウを学びました。

手帳は主語なし、難関の前置詞も身につく

日本経済新聞社東京本社から配信された今回のワークショップ。第1部はサリー先生による講義編です。司会・進行役の福満景子さん(元NHKキャスター)と掛け合いながらも、日々の予定や記録を英語で手帳に書き込む際のポイントをハイテンポで解説していきます。最初に学んだのは、仕事の予定を手帳に書き込むときのスタイルです。課題は2つ。「1月12日13時、オンライン企画会議」「1月18日、自宅で残業」――。この仮想の予定を題材に、参加者はそれぞれ事前にダウンロードで入手・印刷した手帳のフォーマットを使って、英語らしい記入法を習得していきます。

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自身の体験を織り込みながら英語手帳の作り方を説明する神林サリー先生

英語の手帳らしくするにはいくつかのルールがあります。たとえば時刻の表記法。日本では午後4時は「16:00」などと書きますが、英語の場合は「4PM」。午前はAM、午後はPMの12時間制で表します。場所の前置詞も重要です。カフェや駅など特定の場所を示すには「at」か「@」、地域や地名は「in」。銀座だったら「in Ginza」ですね。日本人にとって前置詞は苦手分野のひとつですが、「英語手帳を書くと前置詞攻略ができますよ」とサリー先生は背中を押します。人と会う約束は「W/○○」と、withの省略形で示します。ケイと一緒に、なら「w/Kei」となります。

その上で、サリー先生は3つのポイントを挙げます。ひとつが天気の記録方法。Sunny(晴れ)、Rainy(雨)、Cloudy(曇り)、Windy(強風)、Snowy(雪)、Stormy(嵐)、Hot/Cold (暑い/寒い)、Warm/Cool(暖かい/涼しい)......。アイコンなどを併用して書いておけば、後から見返した時に役に立ちそうです。

それから「主語の省略」。英語は主語が重要な言語ですが、手帳では言わずと知れた自分が主語なので、書かなくても大丈夫です。また、動詞はシンプルな言い回しを心掛けましょう。「go to」「see」「meet」「enjoy」「work」「study」「join」などなど。「中学1年生で習うような基本的な動詞を使うことが大事です」(サリー先生)。「see」と「meet」はどちらも「人に会う」ことですが、seeは友達や家族など親しい相手の時に使い、初対面やビジネスの相手の場合はmeetを選ぶなど、ネイティブらしい言い回しのツボを次々に開示していきます。

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仕事で使える略語の例(当日の講義資料から)

新年の抱負は「I will」が基本

次は、ワークショップのタイトルにもなっている「新年の抱負・決意表明」の書き方です。英語圏では新年を迎えるまでにNew Year's Resolution(新年の決意表明)を書く習慣があるそうです。今年を振り返り、新年からより良い自分、より良い未来にしていく、 そんな思いを込めた決意を文章にします。真新しい手帳に書いておけば、日々目に入るので夢を手繰り寄せることができそうです。

「have to、want toからwillへ」とサリー先生は強調します。I will ○○(○○は動詞の原形が入る)、I will be a○○(○○は名詞が入る)。○○する、○○になる、という強い目標を掲げるわけです。その上で、書く時に心すべきは「ワクワクを大切にすること」と「目標がかなったら自分はどんな気持ちになるか、"なりたい自分"を想像すること」の2点。

とはいえ、目標はあんまり壮大なものにしない方がいいようです。サリー先生は「チョコチョコ目にすること」と言います。軌道修正もアリです。そして大事なことは、自分の手で書くこと。目も、手の筋肉も使って、言葉にも出して。そうすることで、これと決めた目標が心と身体に染み込んでくるわけです。

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「カメラ=オン」したみなさんは画面上部のサムネイルで参加

「I will start my own business.」サリー先生が流ちょうな発音で例文を読み上げ、カメラに向かってリピートを促します。すると画面のサムネイルに映った参加者の皆さんの口が一斉に動くのが分かります。今回はZOOMの機能を「カメラ=オン、マイク=オフ」に設定するよう皆さんにお願いしました。「音は聞こえていないけれど、口が動いているのが分かる。うれしいです!」とサリー先生。「手帳の見えるところに書いて、何度も口に出して、2021年は夢をかなえていきましょう」

上達の早道は脱・完璧主義

第2部は参加者から寄せられた質問にサリー先生が答えるコーナーです。事前に寄せられた質問や、ZOOMのチャット機能でリアルタイムに届く参加者の悩みに、ご自身の経験を交えて答えを返していきます。

Q 間違いが気になって上達できません。正しく英語を書くにはどうしたらいいですか?

「間違ってもいい、と考えられるといいですよね。やっぱり完璧主義が英語学習を、英語の上達を最後まで阻んでしまうんです」。サリー先生はかつて経験した留学で「間違ってもいい。間違ってもいいからしゃべってみよう」と心から思えたと振り返ります。ラテン系やアラブ系などネイティブじゃない話し手も多い中で、必ずしも正しい語順、正しい英語でなくてもいいと実感したそうです。「頭の中で正しい語順を組み立てようとするとモタモタしてしゃべれない。間違ってもいいと思ってからは心のハードルが下がりました」。どちらが楽しいかは自明ですね。

書く英語の場合も、「正しい」ではなく「ナチュラル」な英語を意識するといいそうです。どうしたらいいかというと、多聴多読が必要なのだとか。ライティングに限りませんが、映画やラジオ、新聞などで自然な表現にできるだけ数多く触れることが上達のコツです。

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司会の福満景子さんとの掛け合いで質問に答えていく

Q 英語日記は知っている単語しか書かないため、単調になってしまって続きません。でも何を書いたらいいのか分かりません。

「よく聞かれることですね。会社と家の往復ばかりの単調な生活を送っていることに気付いてしまって」。そんなときは、形容詞を使って「今日はいい日だった」「悪い日だった」と書くだけでも全然違うといいます。一歩進んで自分の気持ちを書いてみるのもいいそうです。あとは、映画を観たらその感想を書くだけでも立派な英語日記になるとサリー先生はアドバイスします。"I saw Madam in New York. It was fantastic." (編注:「マダム・イン・ニューヨーク」は2012年製作のインド映画)。同様に、本を読んだ感想を書くのも良いそうです。福満さんも「後から見返したら楽しそう」とうなずきます。

Q 受験英語で(レベルが)止まっているので、どうしても文章が長くなってしまいます。簡潔に書くにはどうしたらいいですか?

これは簡潔に、シンプルに、と心掛けることが何より大事。そのポイントは「ひとつの文にひとつの情報というのを心掛けること!」。ひとつの文に2つも3つも情報を入れようとすると、関係代名詞や接続詞(that)を使わざるを得なくなります。それをやめ、1文には1情報、を心掛ける。話す時はandで2文をつなぐと、滑らかに聞こえるのだそうです。

予定の1時間20分は駆け足で過ぎていきました。事後のアンケートでは「楽しい、と大好き! のつまった、素敵なワークショップでした!」(40代女性)、「先生が英語手帳で全ての夢を叶えてきたというエピソードが印象的でした! 英語手帳、単語からチャレンジしてみようと思います!」(30代女性)など、ワクワクしながらやる気をかき立てられたという反響が多く寄せられました。ワークで習った「New Year's Resolution」を英語でまとめ、手帳に書き留めてみてはいかがでしょう。

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