イベントリポート

挑戦しよう!自由で柔軟な英語のお仕事 ~"好き"がキャリアの原動力

東京・神田川沿い、かつての中央線万世橋駅があったエリアは、明治時代に開業した駅の遺構を一部活用し、当時の雰囲気をほうふつさせる赤レンガ造りの商業施設として生まれ変わっています。どことなくタイムスリップしたような気分になる万世橋近くの会場で9月29日、「スキルアップ&キャリアアップへの近道!~自由で、柔軟な、英語のお仕事、始めませんか。」と題したウマノミゼミナール(主催:日経ウーマノミクス・プロジェクト実行委員会)を開催しました。「自由な働き方に憧れている」「自宅でできる英語の仕事を見つけたい」「英語を使ってキャリアアップしたい」など、新たな未来を模索している女性約150人が日曜日の朝から駆け付け、会場は残暑のせいだけではない熱気に包まれました。

「好きなこと」を仕事に

この日のセミナーにはフリーランス、個人事業主として英語の仕事に携わっている3人の女性が登壇しました。子ども英会話教室を経営する大澤洋美さん、映像翻訳者の片山貴子さん、フードマーケターの小松佐保さんです。フリーアナウンサーの平野裕加里さんの進行で、3人が今の仕事を選んだきっかけからトークが始まりました。

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セミナー会場には約150人の日経ウーマノミクス会員が集まった

大澤さんは出産を機に勤めていた会社を辞め、子育てに専念して3年ほど経った頃に「再び社会との関わりを持ちたい」との思いを抱きました。何の仕事をしようかと迷っていたときに、ちょうど目にした「英語が好きで子どもが好きなあなた」という英会話教室の講師募集のキャッチコピーにひかれ、ECCジュニアの教室開設に至ったそうです。

片山さんは米国のニュース雑誌の日本支社に約12年勤務しました。もともと「英語を使いたい!文章を書くのが好き!」で、英語と日本語の両方を使ってフリーで働ける仕事を20代の頃から探していたそうです。雑誌という活字メディアの将来性にも不安を覚えていたある日、「映像翻訳者になります!」と宣言して退職。その後、専門学校で映像翻訳を学んだり海外ドラマチャンネルで勤務したりしながら、映像翻訳者への道を歩み始めました。

コンサルティング会社に勤めていた小松さんは様々な業界のクライアントを担当するなかで「自分が好きな食品業界だけを担当したい」と思うようになりました。夫が海外留学するタイミングで一緒に行くかどうか悩んだ末、会社を辞め、米ボストンを拠点にしたフリーランスの食品関連コンサルタントに転身しました。

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英語を使って好きな仕事に取り組む大澤洋美さん、片山貴子さん、小松佐保さん(左から)

経緯は三者三様なれど「自分の好きなこと×英語の仕事」を見つけ、「夢」に向かって歩み出した3人に会場の参加者の関心が高まります。司会の平野さんは3人に、今の働き方と以前の会社勤めの時と比べ、何が変わったかを尋ねました。

「平日のお昼に洗濯物を乾かせる」(片山さん)、「好きな仕事を自分で選べる」(小松さん)、「自分の決めたスケジュールで働ける」(大澤さん)――3人からはメリットが次々と挙がります。一方で、安定感がある会社員生活とは違い、フリーならではの苦労や不安もあります。「来年度も教室を継続できるか、年度後半になると毎年ドキドキする」(大澤さん)、「仕事がコンスタントにあるかどうか、常に頭の片隅にある」(片山さん)、「交渉から企画、経理まですべて一人でこなさないといけない」(小松さん)。「自由に働きたい」「好きなことを仕事にしたい」という思いだけでは不十分で、それ相応の覚悟が必要な現実が伝わってきました。

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セミナー会場はかつての中央線・万世橋駅があったエリアに位置する

英語力より重要なスキルとは?

続いて英語のスキルについての話題です。フリーランスで英語を使っての仕事となると、かなりの英語力が必要との印象があり、尻込みする人も多いと思います。セミナー応募者からの事前質問でも「挑戦したいけど英語に自信がない」との意見が多く寄せられました。ただ、3人から聞こえてきたのは興味深い回答でした。

大澤さんは「英語レッスンをする際の細かいマニュアルが用意されているので、英語が得意でなくても教室を持つことはできる。それよりも子どもを好きかどうかが重要」と言います。片山さんは「(翻訳を担当する)ドラマの台本は事前に入手でき、台本を見ながら訳すので意外とできてしまう。英語をいかに自然な日本語にするか、海外文化への知識があるか、のほうが大事」とのこと。小松さんは「展示会でプレゼンすることがあるので英会話の能力は必要だが、事前にメモを準備することである程度は対応できる。それよりも市場動向をリサーチする力とそこから何を導き出すかを考える力のほうが大切」と話しました。期せずして3人とも「英語力よりほかの能力が重要」という見方で一致。やはり、実際に英語の仕事をしている方ならではの言葉には含蓄があります。

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英語力を高めるために日々の努力は欠かさない

とはいえ、皆さんは英語力アップのための日々の努力を欠かしません。空き時間に英単語のアプリで勉強したり、オンライン英会話で海外在住のネーティブと毎日話したりしている、とのこと。やはり、「ローマは一日にして成らず」。地道な努力がものをいう世界だと感じます。

選んでよかったフリーランスの仕事

最後に平野さんが、ずばり「今の仕事を選んでよかったか」という核心に触れる質問をぶつけました。「生徒たちの成長を見守っていけるのが一番の喜び。自分の子どもに母の仕事ぶりを見てもらえるのも良いと思う」(大澤さん)、「会社員時代と比べ、今は自分のしていることに直接反応があり非常にやりがいを感じる」(小松さん)、「フリーの仕事は自分の能力と向き合うことになり、いやが応でも能力アップにつながる」(片山さん)など3人とも「選んでよかった」との回答でした。

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交流会会場にはケーキやサンドイッチなどが並び、窓越しに中央線などの電車が行き来する姿が眺められる

英語を使ったフリーの仕事への関心がすっかり高まったところで交流会へ。会場すぐそばを走る電車を窓越しに眺められる開放的な雰囲気のラウンジで、にぎやかに開会です。サンドイッチやフライドチキン、ケーキなどの軽食を楽しみつつ、登壇者に熱心に質問する姿や参加者同士で名刺交換する姿が目立ちます。「フリーランスになりたいと思っているが、何から始めたらいいか」「クライアントをどう見つければいいか」といった質問が次々と登壇者に投げかけられていました。

この日のセミナーについて、参加者からは「リスクも含め具体的な体験談が聞けて参考になった」「本音が聞けてよかった」「三者三様のお話が面白かった」などの意見が多く、リアルな直球トークが売り物の「ジブン磨き!ウマノミゼミナール」の主催者冥利に尽きました。好きこそものの上手なれ――。英語が得意な方はもちろん、たとえ英語が苦手でも「好き!」という情熱があれば、「英語を使った自由で柔軟な仕事」にチャレンジし、新しいキャリアの1ページを開いていただければと思います。

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交流会では参加者の皆さんが登壇者を囲んで次々と質問していた(画像は一部加工処理しています)

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