イベントリポート

女性リーダーに学ぼう! 私らしく輝くためのヒントとは

キャリアアップして職場のリーダーの役割を担う女性が増えています。一方でまだロールモデルが少なく、部下のマネジメントの方法やオンもオフも充実した自分らしい働き方に悩む方も少なくないのではないでしょうか。そこで日経ウーマノミクス・プロジェクト実行委員会はジブン磨き!ウマノミゼミナール「女性リーダーに学ぼう! 私らしく輝くためのヒントとは」を2018年12月15日、大阪市で開催。約80人のウマノミ女性会員が参加し、日本電産、堀場製作所、明治で活躍する女性リーダー3人が語るこれまでのキャリアや現在のワークライフバランスの取り方、今後のキャリア目標、そして自分らしく輝く等身大の新たな管理職像に熱心に耳を傾けました。

「本当にやりたいことは何か」、震災を機に転職

登壇したのは日本電産リスク管理室で部長を務める高橋直美さん、堀場製作所グローバル本部科学・半導体事業戦略室科学担当副部長の津田郁子さん、明治の栄養営業本部スポーツ栄養マーケティング部部長の河上千明さんです。みなさん部署や会社を超えてさまざまな経験を積み、上手に公私のバランスを取りながら働いています。

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リーダーとして活躍する女性社員3人がこれまでのキャリアやワークライフバランスの取り方について語った。ナビゲーターは榎戸教子キャスター

日本電産の高橋さんは大学卒業後、外資系製薬会社に入社。リスク管理の分野でキャリアを重ねてきました。転機は2011年の東日本大震災。危機管理対策本部の事務局として1カ月、昼夜なく東北地方の支店の支援にあたり、未曽有の災害に直面して浮かんだのは「自分が本当にやりたいことは何か」という問いでした。

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日本電産リスク管理室部長の高橋直美さん。東日本大震災を機にキャリアチェンジした

そこで生活面、キャリア面で自分を見つめる「棚卸し」をしたそうです。生活面ではずっと仕事中心でしたが、両親のいる故郷の関西に戻ろうと決意。キャリア面では、外資系の会社で海外の本社が決めた施策を実行するのではなく、世界展開している日本企業でグローバルに企画立案して自分の仕事の幅を広げ、チャレンジしたいと考えました。2013年、日本電産へ転職。2016年には部長に昇格しました。

思い切って転職したことで、自分のやりたいことである「ウィル(Will)」、できること「キャン(Can)」、会社や社会から求められる「マスト(Must)」の重なりが大きくなったと笑顔を見せます。目の前の仕事を一つ一つしっかり頑張ってきたら今の役職になっていたと振り返りました。

限りある時間、プライオリティーつけて

津田さんが堀場製作所に入ったのは2000年。約10年、国内営業に携わったのちに会社の研究プログラムでフランスの子会社に1年間勤務しました。育児休業からの復帰後は海外営業チームリーダーを務め、現在はアジアのグループ会社の事業を拡大するための戦略・立案に駆け回っています。

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堀場製作所グローバル本部科学・半導体事業戦略室科学担当副部長の津田郁子さん。時間の制約があるなかで優先順位をつけ効率的に働く

モットーは「反省はするが、後悔はしない」。一度きりの人生だから後悔したくないという思いが、いつも仕事に積極的に向き合える原動力になっているといいます。「これをしなかったら後悔する」と考えて動き続けていると、結果としてチャレンジが繰り返され、成功に結び付いて、やる気につながると分析していました。

そんな津田さんも子どもが生まれて大きく働き方が変わったそうです。「すべてのことを100%こなそうとしていたが、それでは効率が悪いということに気づかされた」といいます。「時間の制約ができて、この時間に終わらせないとだめだとなったら、プライオリティーをつけて取り組んでいくしかない」と指摘。家庭も仕事も親も大切だとしたら、どうバランスよく時間を配分するかを考えるべきだと訴えました。

教えてもらうのは恥ずかしいことではない

明治の河上さんの入社は1987年。「総合職」という言葉が出てきたころで、その第1期生として商品開発の部門に入りました。ただ出世したい、昇進したいという思いはまったくなく、「この仕事をやってみたい」という興味で会社に入ったと振り返ります。アイスクリームの商品開発や市販商品全般の消費者調査などを経て、現在はスポーツ栄養食品のマーケティングを担当し、16人の部下を率いています。

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明治の栄養営業本部スポーツ栄養マーケティング部部長の河上千明さん。職場のコミュニケーションを活性化させる工夫を凝らす

いまの部下はみな年下。少しでもコミュニケーションを図るため、年1回の合宿や登山、「チーム対抗ごみ拾い大会」といったユニークな企画で部署の懇親を深めているそうです。

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会場に集まった参加者は熱心にメモを取りながら話に聞き入った

最初に管理職になったときには10歳以上年上の男性が部下になりました。相手のほうが知識も経験もあり、「管理職になってもリーダーになっても、周りのメンバーから教えてもらうのは恥ずかしいことではない」と割り切ることができたといいます。今では部下であっても、年下であっても自分の知らないことを教えてほしいという姿勢を見せることを心掛けています。それを通じて、お互いに思ったことを言える、話しやすい雰囲気づくりにつなげていると教えてくれました。

中途入社で日本電産に来た高橋さんも、「知らない」ことを職場のコミュニケーションのきっかけとして活用してきました。「素朴な質問を投げながら情報交換して信頼関係をはぐくみ、一緒に仕事をしやすい環境を整える」(高橋さん)。津田さんもリーダーとして常に心掛けているのは意見を聞くこと。「なぜ堀場に来て、何をしたいのかを聞く。自分がやりたいことだと指示をしなくてもどんどん仕事を進めてくれて、期待以上の成果を持ってくることが多い」

プライベートを仕事の力に

みなさん、プライベートの時間を仕事のエネルギーに結び付けているのも印象的でした。高橋さんは現在、単身赴任中。働いている京都から家族がいる神戸に戻ることでメリハリをつけ、休日は山に遊びに行ったり、家族とカレーをつくったりしてリフレッシュしています。津田さんも仕事で大変な思いをしても、子どもの顔を見れば元気になれるそうです。河上さんは最近、中国語の勉強を始めました。リスニングのトレーニングで見る中国語のドラマがいい気分転換になっていると笑います。

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交流会では初対面でも打ち解けて情報交換する様子が見られた

セミナー終了後の懇親会では参加者が登壇者に直接質問をしたり、初めて会った参加者同士で交流したりする輪があちこちに広がりました。「目の前の仕事をがんばった結果としてリーダー職になったという話を聞いて、今の強みを伸ばせばいいのだと心強かった」と話していたのは金融機関に勤める大阪府摂津市在住の30代女性です。奈良市から参加した人材関連会社の40代女性は「リーダーはすべてを知っていないと、と思い込んでいたけれど、周囲に頼る柔軟性も大切だと知った」。それぞれ新たなキャリアのステージに踏み出すヒントが見つかったようでした。

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