イベントリポート
伝統と革新の美の空間、新生「The Okura Tokyo」のおもてなし体験
2019.11.22
世界中のファンに惜しまれながら2015年に半世紀の歴史に幕を下ろしたホテルオークラ東京 本館。日本を代表する名門ホテルはあれから4年の歳月と1100億円の総事業費をかけて再開発し、2019年9月に「The Okura Tokyo」として生まれ変わりました。日経ウーマノミクス・プロジェクトとオークラのタイアップセミナー第9弾は、この新生「The Okura Tokyo」が舞台です。日本の伝統と革新が融合した美と癒しの建築空間を知る解説付き館内ツアーと、一流のおもてなしを提供するホテルスタッフとの交流パーティーの2本立て。何ともぜいたくなセミナーに会員の皆さんとともに参加したウーマノミクス事務局スタッフのミオ(38)とヨーコ(35)の体験記をお届けします。
新しさと懐かしさと、新旧の建物が調和
2019年11月22日金曜日の夕刻、冷たい雨が降る中、ミオとヨーコはThe Okura Tokyo(東京・虎ノ門)に到着しました。2015年まで「なまこ壁」の重厚な11階建て本館があった場所に、いまはガラス張りの高層棟「オークラ プレステージタワー」(41階建て)と中層棟「オークラ ヘリテージウイング」(17階建て)が建っています。敷地内には1917年に設立された日本で最初の私立美術館「大倉集古館」(現在の建物は1927年竣工、国の登録有形文化財に指定)もあり、美しくライトアップされていました。
ヨーコ:「なんだか不思議。現代的な新しい高層ビルなのに、中国風建築の大倉集古館があることでこの空間にオークラの伝統のような雰囲気が醸し出されている気がする。同じ敷地内で新旧の建物が見事に調和されているように感じるのはやはり建築家のセンスね。昼間に見ると、また夜とは違った印象かもしれない」
ミオ:「新旧3棟に囲まれた中庭『オークラスクエア』にある水盤の存在が調和をもたらしている感じがする。水盤の脇に立つ柳の木も空間を落ち着かせている。The Okura Tokyoのオークラスクエアやロビー、ヘリテージウイングのレストランを設計したのは建築家の谷口吉生氏。かつての本館を設計した谷口吉郎氏の長男で、ニューヨーク近代美術館(MoMA)新館やGINZA SIXなどを設計した方ね。スクエアの水盤は吉生氏のこだわりだそうよ」
くつろぎと癒しの空間、オークラロビー再現
この日のセミナー参加者は41階建てプレステージタワーのロビーに集合です。エントランスから入ると、正面に飾られた光り輝くクリスマスツリーが皆さんをお出迎え。定刻の午後7時になると、この日の参加者30名が3つのグループに分かれ、解説付き館内ツアーに出発しました。まずは「オークラロビー」と呼ばれるエントランス右手奥に広がるメインロビーです。
ミオ:「わお、本館にあったオークラロビーとまったく瓜二つだ。新しさの中に懐かしい風景が広がり、タイムスリップしたような不思議な気分。ゆとりといい、心地よい明るさの照明といい、洗練された和の調度品の数々といい、本当にくつろげる空間。こここそオークラの"ハート&ソウル"ね。この空間を忠実に再現するのには色々な苦労があったみたい。正面の麻の葉文様の美術組子は釘や接着剤を一切使わず手作業で百分の一ミリレベルで調整して作ったというし、右手壁面の屏風風の四弁花の装飾はかつての職人さんがもういなくて、記録をさかのぼって再現したそうよ」
ヨーコ:「懐かしく感じるのは、ロビーの設計寸法を同じにするだけでなく、木材など使用素材の選定も本館の開業25年目頃の状態を再現するようにこだわったからなんですって。梅の花をモチーフにしたテーブルセットは、本館で使っていたテーブルの漆を塗り直し、イスの布を張り替えたもの。古墳時代の切子玉をモチーフにした照明の『オークラ・ランターン』も外側の特徴的なパネルはこれまでのものを再利用。電球は発光ダイオード(LED)に切り替えて、調光機能を取り入れている。至る所に新旧が入り混じっているのね」
ため息のスイートルーム、和のおもてなし随所に
各グループはその後、宿泊客とホテル会員だけが利用できる「オークラサロン」を見学し、エレベーターでプレステージタワー上層階のクラブフロア(37~40階)へ。このフロアとヘリテージウイングの宿泊客だけが使える「クラブラウンジ」をのぞいてから、1泊22万円というスイートルームなどクラブフロアの客室を探訪しました。
ヨーコ:「スイートルームに入った途端、皆さんから歓声やため息が聞こえてきたわ。大きな窓の外には都心の夜景がきらめき、浴室からも眺められる。折り紙でできた置物、モダンな急須セットなど和を感じさせる小物もおしゃれ。アメニティは私の大好きなTHREEのスキンケアセットが。あぁ、一度は泊りたいなぁ!」
ミオ:「外資系の高級ホテルとは違った雰囲気よね。和のおもてなしを随所に感じる。『ここに泊まったら観光している場合じゃない、ずっと部屋にいたい!』なんて声も上がっていたわ。クラブラウンジも広々していて、くつろいだ時間を過ごせそう。スカイチャペルは空に溶けるような白を基調にしたという明るい空間で、見るだけで幸せな気持ちになれる。浮遊した感覚を覚えるわ」
4年熟成のスペシャルなシャンパーニュで乾杯!
第1部の館内ツアーを楽しんだ後は、いよいよ第2部の交流パーティーです。会場は夜の雨の向こうに東京タワーが浮かんだように見える41階のバンケットルーム。この日はこれまでのタイアップセミナーで講師をされた方々が登場しました。ホテルの人見孝副総支配人が「1962年に産声を上げて約60年。リニューアルでつくり上げた非日常の空間を楽しんでください」と最初に挨拶し、ポメリーのシャンパーニュで乾杯! チーフソムリエの渡部明央さんの解説によると、このポメリー、The Okura Tokyoのオリジナルです。
ヨーコ:「ポメリーがあるのは世界遺産の街フランス・ランスよね。渡部さんが画像で見せてくれたポメリーのワインカーブ『クレイエール』って神秘的で素敵な空間。ガロ・ロマン時代の石灰岩採掘場を利用した巨大な地下貯蔵庫で、全長18キロ、深さは地下30メートルあり、2015年に世界遺産に登録されたんですって。ここにThe Okura Tokyo専用の貯蔵庫が設けられ、4年間熟成させたマグナムボトルのシャンパーニュっていうからやっぱり特別感は強い。会場もどよめくわよね。私のテーブルではおかわりを頼む人が相次いだわ」
ミオ:「この日も料理のメニューは盛りだくさん。フォアグラとフランボワーズのミルフィーユ、キャビアと海の幸のスプーン、ロブスターのグラタン、黒毛和牛のローストビーフ、オークラ特製カレーなどなど目にも耳にも舌にもおいしいラインアップに目移りしてしまって・・・。春の立食パーティーマナーのセミナーではお皿に山盛りに取ってしまってエレガントにできなかったわ。セミナーの講師だった櫻本竜二さんも会場にいたから、また教わったほうがよかったかも」
歓談のあとは、会場内のバーカウンターに「2018 サントリー ザ・カクテルアワード」でロングカクテル部門の最優秀賞を受賞したシニアバーテンダーの中野賢二さんが登場しました。この日のために考案したというきれいなピンクのオリジナルカクテルがシェーカーからグラスに注がれると参加者から拍手喝采。「新たなThe Okura Tokyoのスタンダードカクテルになるかもしれません。みなさまで名前を考えてください」と中野さんが呼びかけると、すっかり打ち解けた各テーブルでさっそくアイデアが飛び交います。
ワインテイスティングでクイズ大会
再びチーフソムリエの渡部さんが登場し、白ワインのテイスティングクイズが始まりました。あらかじめバーカウンターでラベルが隠された白ワイン「A」「B」を飲んで好きな方を選びます。同じものを選んだ同士で2チームに分かれると、渡部さんが「Aを選んだ方は肉食系、パンサーチーム! Bは草食系、ペンギンチームです」と宣言すると会場は大盛り上がり。続いて「AとBで高額なほうはどちら?」「南半球で生産されたほうは?」「より有名なワインは?」と3問のクイズにグループで知恵を出し合って答えます。
ミオ:「わたしはAのワインのキレのある味が好み。それって肉食系なのかしら。ヨーコさんが選んだBはフルーティーでやわらかい飲み口だったわ。ヨーコさんって草食系? でも、AもBもおいしいんだけど、個性はそれぞれ違っていてワインの世界っておもしろいね」
ヨーコ:「ワインはわたしも好きだけど、クイズは3問とも不正解。ソムリエの資格を取るような方なら、どちらが高額なのか、産地はどこなのかが分かるのね。渡部さんはワインに興味を持たせるきっかけづくりが上手だわ。さすがチーフソムリエ。クイズはミオさんのパンサーチームが勝利して、賞品として振る舞われたポメリーで作ったシャンパーニュケーキがおいしそうだったな・・・」
「非日常」を満喫、明日の活力に
パーティーも終盤です。オークラ名物のクレープシュゼットのパフォーマンスが始まると参加者の人だかりが。櫻本さんがクレープを3種類のリキュールに浸して火をつけると青い炎が広がり、らせん状にむいたオレンジの皮に沿って炎が立ち上っていきます。参加者から大きな歓声が上がりました。食後のデザートも種類はいろいろ。各テーブルでは残された時間を惜しむように交流が続きます。
ヨーコ:「セミナーには一人で参加した方がほとんどだけど、すぐに打ち解けて話がはずむのがウーマノミクス会員の素敵なところ。オークラの皆さんの趣向を凝らしたお話や解説を聞きながら、今回のオークラセミナーも楽しい時間があっという間に過ぎていった。私のテーブルでは以前開催されたセミナーの情報も共有され、『知らなかった!今度は参加したい!』『また会いましょう』と参加者同士で連絡先を交換していたわ」
ミオ:「副総支配人の人見さんが乾杯の時に話していた『非日常の空間』を参加者の皆さんも十分に楽しんでいただけたのではないかしら。非日常だけど、どこか懐かしくて居心地がいいのは、計算しつくされた空間デザインとスタッフの方々のおもてなしの心があいまっているからこそ。新しいオークラと、昔のオークラの良さの両方を感じられ、私たちも日々の疲れを癒されたわ。元気をいただいたので、また頑張ろうという気分になれるね」