イベントリポート

社会とジブン知り、やりたいことを見つける~キャリアセミナーin東京

これからの人生を考えるヒントにしてもらおうと、日経ウーマノミクス・プロジェクトが全国6カ所で手掛けた「学生のためのキャリアセミナー」。締めくくりの回は2月16日、日本経済新聞東京本社(東京・千代田)で開催しました。様々な大学に在籍する約90人は講演、パネルディスカッションを通じ、社会とジブンを知ったうえで、やりたいことを見つける大切さを学んだようでした。「自信を持って就職活動に挑もうというモチベーションが湧いてきました」(大学3年女子)との声が出た当日の様子を少し振り返ってみます。

採用面接、課題の解決法に注目

社会人である先輩のホンネが飛び出したのが、「将来の自分をイメージしよう」とのテーマで進んだパネルディスカッションです。登壇したのは3人の女性。積水ハウスの梅木康子さん、東京海上日動火災保険の管野江津子さん、日立ハイテクノロジーズの竹本友香さんです。コーディネーターを務めた日経新聞女性面の佐々木玲子編集長に導かれ、学生時代に熱中したことや現在の仕事のやりがいなどを話しました。

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パネルディスカッションには3人の先輩が登壇

茨城県にある鹿島展示場に勤務する積水ハウスの梅木さんは、学生時代ラクロス部に所属し、アルバイトで蓄えたお金で海外の一人旅に出かけたと話します。卒業時に教職の道も考えたそうですが、「お客様と深い関係を築いていた営業職だった父の姿を見て、営業は面白そうと。住宅はお客様と濃密にお付き合いするので、自分も成長できると考えました」。

会社が残業の削減、男性の育休取得に取り組むなど、働き方は大きく変わってきたと実感しています。目標は女性店長。「まだ店長は少ないので増えてほしいし、私がその一翼を担いたい」と力を込めます。後輩たちには「専門分野や興味のあるところ以外のことをあえてすると、自分が本当にやりたい・実現したいことがはっきりします」とアドバイスしました。

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積水ハウスの梅木康子さんは接客やプラン提案などを通じて、理想の住まいづくりを支援している

東京海上日動の管野さんも学生時代はフリースタイルスキーのチームを立ち上げるなどスポーツに熱中していました。現在は通信事業者などのクライアントに向けて、要望に沿ったオーダーメードの保険を提案しています。「仕事以外の悩みを聞いたり、解決したりする真のパートナーになれた時にやりがいを感じます」。仕事を超えた関係は一生続いていくとも実感するそうです。

人事部署に在籍した経験を踏まえ、新卒学生を採用する際のポイントを尋ねると、「課題をどうやって解決したのか、しっかりとコミュニケーションを取れるのかといった点を見ています」とのこと。「多くの人から話を聞くことが大切。そして、自分の能力よりワンランク上を目指し、様々なことに取り組んでください」とエールを送りました。

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「学生時代にチャレンジする力が身に着いた」と東京海上日動の管野江津子さん

唯一の理系女子、日立ハイテクノロジーズの竹本さんは化学実験の合間に社交ダンスの練習を重ねてきました。就活では「理系の知識を生かせる、海外で働けるという2つの希望が叶う企業を探しました」と振り返ります。半導体検査装置関連の営業に携わった後、今は各国から集まる経営数値の分析に取り組む日々です。

今後の目標として掲げたのは、経営分析をより深く学ぶとともに、「キャリア形成に悩んでいた経験を後輩に伝えていく」ことでした。「何をしていきたいのか、自分に問いかけ、考えてください。私は小中高校生時代を振り返り、どんな時に楽しかったのか、なぜ楽しかったのかを考えているうちに、企業選びの軸ができました」と経験談を披露しました。

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日立ハイテクノロジーズの竹本友香さんは米国に1年派遣された経験を持つ

行動の量、出会いが人を変える

パネルディスカッションの前には、千葉商科大学専任講師で働き方評論家の常見陽平さん、日経女性面の佐々木編集長の講演がありました。

常見さんは売り手市場と言われる現状を「事実だが、2000年代半ばとは違います。例えば大手金融機関や総合商社が理系の人材を求めています」と分析します。優秀な人材を獲得するため、これまでとは異なる採用方法を導入する企業もみられるなど、時代は大きく変わってきているとも言います。その人がどれだけ伸びるのか、本当に仕事ができるのかなど、「レベル」を見極めようとしています。

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千葉商科大専任講師の常見陽平さんは「自分を強くするのが大学」と強調

だからこそ、「大学とは何か、どうして入学したのか改めて考えてください」。大学は自由です。そしてたくさんの人と出会ってほしいと続けます。行動の量、様々な出会いが人を変えます。「面接の30分で語りつくせないような体験をしてほしいですね」と期待を込めました。

佐々木編集長は人生100年時代を迎え、「生き方全般を考えて、どのようなキャリアを歩むのかを考える時期にきています」と強調。仕事探しの成就は恋と同じで、先方のことをよく調べ選ばれる自分へ、思いや学生生活で培ったスキルを言語化しましょうと続けます。もし失敗しても「乗り越えた先に新たな出会いがあります」とアドバイスしました。

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佐々木玲子編集長は「仕事探しは恋愛と同じ」と持論を紹介

最後に講師の方々と参加学生が軽食片手に意見を交換する交流会も開かれ、学生からの質問に皆さんが丁寧に答えていました。「今から充実した誇りの持てる大学生活にできるよう、勉強などを頑張ろうと気を引き締めました」(大学2年女子)、「社会人としてどのように進んでいくのか、参考になるお話を聞けました」(大学3年男子)。将来を考えるうえで貴重な時間だった。そんな声が参加者から次々飛び出しました。

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就活の現状など参加者同士が情報交換する姿も

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