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キャリア、パートナー、家族を想う 映画「ビリーブ 未来への大逆転」

3月15日に86歳の誕生日を迎えた米国のルース・ギンズバーグ氏は、今なお現役の米最高裁判事として活躍するスーパーキャリアウーマンです。映画「ビリーブ 未来への大逆転」(3月22日全国公開、配給ギャガ)は、そんな彼女の若き日のキャリアを描いています。男女差別が色濃い1970年代に国の法律が認めている男女不平等の解消を求め、夫とともに時代を変える裁判に挑む物語です。日経ホール(東京・大手町)で3月6日に開催した特別試写会では、参加した日経ウーマノミクスの会員から「勇気をもらった」「自分も明日から頑張ろうと思った」「夫婦で一緒に見たかった」といった感想が相次ぎました。信念と勇気を持ってキャリアに向き合うこと、パートナーや家族との関係など、仕事や人生について多くの刺激を受けたようです。

「理不尽と闘った人がいたから今がある」~30代女性

作品は1950年代半ばから70年代の米国が舞台です。ルースが名門ハーバード大法科大学院に入学する冒頭のシーンから、当時の男女差別を象徴するエピソードやセリフが次から次へと出てきます。試写会に参加した会員からは半世紀ほど前の社会の姿に驚きながら、ルースが起こした行動など、今の時代に至るまでの歴史に思いを馳せる声が上がります。

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ルース・ギンズバーグは1956年に名門ハーバード大法科大学院に入学。生徒500人のうち女性は9人だけだった

「終始、女性に対する差別的な物言いや態度にイライラ、ムカムカしました。こういう歴史があったのは知りませんでした。社会を良くしようとして変化を起こすのは、ルースのように使命感を持った人なんだなと思いました。彼女の生き方は本当に素晴らしい」(30代女性、保育士・フリーランス)

「現代からするとこんな不合理な差別はありえないと思うようなことが、ほんの数十年前まで当たり前にまかり通っていたことを目の当たりにし、改めて理不尽と闘った先人のおかげで今の自分があるのだなと思った」(30代女性、弁護士)/「昔、ルースのように訴えた人がいるから、今があるのだと実感した。誰かではなく、自分がやるという精神・行動力がかっこいい。ルースのような女性になりたいと思った」(20代女性、営業)

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ルース・ギンズバーグを演じたのは英国人女優のフェリシティ・ジョーンズ

「私も勇気を出して不条理と向き合いたい」~20代女性

作品で描かれたフェリシティ・ジョーンズ演じるルースの闘う姿に感銘し、パワーをもらったという働く女性の声はほかにも多く寄せられています。

「ルースの思考力、行動力に脱帽でした。差別のない社会を目指し、一つ一つの問題を解決していく勇気に心を打たれました。同じ人間だから私にもできる何かがありそうって勇気をもらいました。明日から、また少し頑張れそうです」(20代女性、会社員)/「慣習化されてだれも疑問に持たないことは社会にはたくさんあり、私自身の会社にもある。映画では国の法律に立ち向かうという無謀な挑戦だったが、主人公は周りの理解と支えによって、あきらめずに勝利をつかんだ。私も勇気を出して不条理と向き合いたい、周囲を巻き込んで訴えたいと感じさせてくれた映画でした」(20代女性、編集)

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ルースは夫のマーティン・ギンズバーグ(左)とともに男女平等を求めた裁判に挑んだ

「厳しい状況においても、あきらめずに闘い続けるルースの姿はとても力強く、見ていて勇気をもらえた」(30代女性、会社員)/「自分も『この案件を自分がやりたい』との意思をもっと口にすべきだと思った」(30代女性、弁理士)/「信念をもつことの大事さを痛感した。私も頑張る」(40代女性、自営)/「国を変えるために、自分が何ができるかを考えたいと思った」(40代女性、自営業・広告制作)

「夫婦で一緒に見たい」~40代女性

ルースはハーバード大法科大学院に入学するときには、すでに妻であり、一児の母でありました。夫マーティン・ギンズバーグとともに家事育児を協力し合いながら、法律を学びます。アーミー・ハマー演じるマーティンが若くしてがんを患ったときには、並々ならぬ努力で夫を支えます。スクリーンからはルースもマーティンもお互いを尊敬し合っていることが伝わってきます。だからこそルースは厳しい環境の中で、世紀の裁判に挑むことができたのでしょう。映画が描くパートナーとの理想的な関係についても多くの会員が言及しています。

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夫マーティンを演じたのはアーミー・ハマー。娘のジェーン(中)役はケイリー・スピーニー

「これは女性だけの物語ではない。共に働き、共に子育てを頑張る夫婦・パートナーにこそ見てほしい」(30代女性、会社員・営業)/「夫婦、家族の温かさ、やさしさも感じて、夫と一緒に見たかったと感じた」(40代女性、人材派遣)/「家族、よき理解者の関係が素敵でした。志を持って行動すると、いろいろなことが起こるのでしょう。目標を見据えてやっていくことの大事さを感じました」(30代女性、プログラマー)/「こんな夫が欲しい! どうしたらこんな立派な男性になるのでしょうか」(30代女性、会社員)

「家族愛に感動した」~40代男性

ルースを支えたのは夫だけではありません。映画では長女のジェーンが、ルースが裁判で闘うことを決意するに当たって重要な役割を担います。15歳のジェーンが男性に対して物怖じしない姿や活動家の集会に参加する行動を見て、ルースは時代が変わってきていることを認識します。さらに「私のために闘って」という娘の言葉に、次世代のために未来を切り開こうと勇気をもらいます。こうした家族が支え合う姿に心動かされた会員も多くいました。

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ルースは娘ジェーンとともに、女性の権利向上のために長年戦ってきた伝説の弁護士ドロシー・ケニオン(右=キャシー・ベイツ)に会いに行った

「次の世代がより自由に生きられるよう闘い続けたルースに心を打たれました。今は一時的に専業主婦をしていますが、いつか子どもを持てたら、働くなり、好きなことをして誰かの役に立っている自分の姿を子どもに見てもらえるように頑張りたいと思いました」(20代女性、主婦)/「自分の仕事を子どもに見せるのが最高の教育だと思えるような仕事をしていたいと感じました。子どもに胸を張れる仕事であれば、子どもも理解してくれるのだと勇気づけられました」(30代女性、会社員)

「何事も自分のためではなく、誰かのためと思うと、急にやる気が出る。ルースの娘とのシーンで、そのスイッチが切り替わったのを感じた」(30代女性、会社員)/「主人公の娘たちのために闘おうという姿は、娘3人を持つ身として胸を打ちました」(50代男性、会社役員・弁護士)/「家族愛に感動した」(40代男性、会社員)

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ルースは米国自由人権協会のメル・ウルフ(左=ジャスティン・セロー)に裁判への協力を求める

「次世代のために自分もチャレンジを」~40代女性

ルースは映画で描かれた裁判を皮切りに、男女の不平等が残る数多くの法律を改めるようにその後も活動していきました。彼女たちの行動のおかげで、時代は変わってきています。それでも現代の日本社会に目を転じると、いまだに男女の不平等を感じることは少なくありません。そのことを自分事として、自らも行動を起こしたいという会員の頼もしい声を最後に紹介しましょう。

「日本でも夫婦別姓が認められない、女性が育休を取るなど、実質的に男女差別が残っていて理不尽を感じることが多い。自分の子どもの時代には変わるように、自分も何か行動を起こしたいと思った」(30代女性、弁護士)/「社会は常に変わり続ける。当たり前とされることを当たり前のままにせず、何が正しいことなのかと疑い、チャレンジすることが、次の世代のため大事だと思った」(40代女性、会社員)/「私たちの時代は、性別ではなく、個人の素質や特性を重視して行動できる社会を作り上げていかなければならない」(20代女性、広報)

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特別試写会の会場となった日経ホールには500人強が集まり、映画「ビリーブ 未来への大逆転」を鑑賞した

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