イベントリポート

女子学生のためのキャリアセミナー in 山形大 先輩と語る仕事選び

イチョウ並木が黄色く色づき始めた11月1日、山形大学で「女子学生のためのキャリアセミナー in 山形大学」(主催:山形大学、日経ウーマノミクス・プロジェクト実行委員会)が開催されました。セミナーには就職活動を控えた3年生や将来の進路について考える1、2年らが参加。同大学を卒業し、現在は企業の第一線で活躍するOGらの話に熱心に耳を傾けました。

仕事選び、企業や社会の動向をしっかり把握

第1部は日本経済新聞社人材教育事業局コンテンツグループ部長の佐々木玲子による講演「変わる社会 自分らしい働き方を考える」です。子供を育てながら働く女性の1人として、これからの会社選びや働き方について体験を交えながら話しました。

学生と社会人の違いは何でしょうか。佐々木部長はまずそう問いかけました。大学は入学、卒業という入口と出口が明確だが、社会人の終わりは果たして定年退職時なのかどうか。学修には明確なステップがあるが、仕事のゴールは必ずしも1つではなく、職務をこなしていくプロセスも様々。社会人としての生き方、仕事の進め方には正解はないーー。そうした「正解のない世界」に巣立つために大切なのは「『知は力なり』。アンテナ力を高め、いろいろな情報を知ること」と伝えました。

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企業や社会の動向を理解することなど就活で重要な点を解説

次に、仕事を選ぶ際に必要なこととして、「企業や社会の動向を把握しよう」と提案しました。たとえば新卒採用の状況。「人手不足」「売り手市場」と言われながらも、最近の日本経済新聞の記事では「2019年9月時点で学生の3割が就活を続けている」「大卒の内定者数が9年ぶりに減少した」といったことが報じられていると話しました。ロボット・AI(人工知能)によって仕事のあり方も変わり、企業の採用計画にも影響していると指摘。企業の将来性を知る一助ともなる株式の時価総額や、女性の活躍推進が求められる背景と現状にも触れました。業種による初任給の違いなどもデータを基に紹介し、世の中や企業の動きを理解して就活に臨むことの大切さを訴えました。

先輩が語る「今の会社を選んだ理由」

第2部は山形大学のOG3人を迎えたパネルディスカッション。登壇したのは東京海上日動火災保険山形支店・山形中央支社の髙野千尋さん、日東ベスト研究部理化学研究課の佐川菜々絵さん、山形銀行人事総務部人財育成戦略室の笹原裕香さんの3人です。

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「将来の自分をイメージしよう~先輩社員から学ぶ」と題したパネルディスカッション

髙野さんは保険の販売代理店への営業職として活躍。保険販売の支援だけでなく、代理店の経営を支援する役割も担っています。佐川さんは現在は食品会社の研究職。食品への異物混入がないかどうかを調べ、異物があった場合は何であるかを突き止める分析業務にあたっています。笹原さんは人事関係の部門で内定者や入行1~3年目の若手行員らの研修を担当。いずれも第一志望の業種や企業で働く方ばかりです。今の会社を選んだ理由は何でしょうか。コーディネーターの佐々木部長が質問します。

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東京海上日動の髙野さんは保険の販売代理店の経営を支援する業務も担う

「自身が大切にしたい2つの条件を重視して選びました」と話し始めたのは髙野さんです。その条件とは「地元の山形で働きたい」「カレンダー通りに働きたい」の2点。東京海上日動の就活セミナーに参加した際、女性の営業担当社員が自身の仕事についていきいきと話す姿にひかれ、「絶対にこの会社で働きたい!」と思ったそうです。

高校生の時から食品と化学に興味があり、理系の学部を選んだ佐川さん。就活では「やりたいことが多過ぎて絞りきれなかった」そうです。学内の説明会で出会った人事担当者の雰囲気が自分にとても合っていると感じて日東ベストに決めたとのこと。ドラマでおなじみの「科捜研(科学捜査研究所)」にも興味があったと言い、「現在の仕事である異物混入の検査は食品業界で"食の科捜研"と呼ばれているんです」と明かすと会場がどっと沸きました。

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日東ベストの佐川さんは食品への異物混入の分析業務に取り組む

笹原さんは大学時代に「将来の夢」というものがありませんでした。「気づいたら3年生で、就活直前」。そこからいろいろな会社を見ながら「地元の山形に多方面から関われる仕事をしたい」と考えた結果が金融でした。応募してくる学生の一人ひとりにかける時間が長いこと、さらに就活で会った行員がみな仕事に誇りを持っていると感じたことで山形銀行を選んだそうです。

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人事関連部門で若手社員の研修を担当する山形銀行の笹原さん

学生生活で「やっておけば良かったこと」とは?

学業に、アルバイトに、と充実した学生生活を過ごして社会へと巣立った先輩たちですが、「学生のうちに、やっておけば良かった」と思うこともあるようです。後輩へのアドバイスを聞きました。

「1度はお金のことを真剣に考えてほしい」と話すのは東京海上日動の髙野さん。保育園児の娘を持つワーキングマザーです。「大学進学や一人暮らしにはどのくらい必要か? 奨学金の返済額は月々いくらになるのか」など、考える機会を持ってほしいと言います。結婚するまで実家暮らしだったそうで、社会人として給料をもらう立場になり、「結婚して初めて生活費について考えた」経験からの助言です。

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コーディネーターを務めた日経の佐々木部長

佐川さんは「もう少し就職活動をやっておけばよかった」と話します。志望した企業で働く佐川さんですが、社会人になると他社に足を運んで実態を知るチャンスは限られてしまいます。「いろいろな企業の仕事を見ることができる就活の機会をもっと使えば良かった」。自身の専攻に直結しやすい企業にだけ目を向けがちな理系出身者の立場から、企業選びの際は視野を狭めないよう助言しました。

真面目な学生生活を送ってきたという笹原さんは「もう少しハメを外して遊んでも良かったかな」。社会人は仕事だけで1日が終わってしまうことが多く、「今になって、学生時代には自由になる時間がたくさんあったなと気づいた」と苦笑します。

先輩たちから、ぜひ伝えたいこと

「最近、よく聞く『働き方改革』、果たして職場での実態は?」「働いて良かったと思うこと」「仕事で苦労したこと」「今後の目標」などについても議論を重ね、リアルな仕事ライフを浮き彫りにしていきます。先輩たちはプライベートにも触れながら、社会人生活の実態を、ざっくばらんに語ってくれました。最後に聞いたのは「後輩たちにぜひ伝えたいこと」。

笹原さんは「第1部の佐々木さんからの話にあった『知は力なり』を実践してほしい」、佐川さんからは「お金がなかったとしても海外旅行、特に欧州方面には行っておいたほうがいい」とのアドバイスが寄せられました。髙野さんは「就活では、できるだけ多くの会社の話を聞いてほしい。私はそれが今の仕事で役立っています」と語りました。

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終了後の交流会でもさまざまな質問が続いた

セミナー終了後は軽食を食べながらの交流会です。学生たちからは「採用選考のときに話した『ガクチカ』(学生時代に力を入れたことの略称)のテーマは?」「どんな就活対策をしたのか?」など就活にまつわる事柄から、「朝は何時に起きているのか?」「経済が苦手でも金融業界で働けるか?」「仕事以外で取り組んでいる自己啓発は?」といった社会人の生活実態にかかわることまで、質問は尽きませんでした。先輩の話を真剣にメモする姿も見られ、学生が自身のキャリアを描いていくためのヒントを得られたようです。

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