イベントリポート

新潟の女性と味わう喜びのワイン

日経ウーマノミクス・プロジェクトは6月26日、新潟市で女性のためのワインセミナーを開きました。女性が選ぶ国際的なワイン審査会「サクラアワード」とニューズ・ライン(新潟市)が発行する情報誌「Komachi」の協力で実現した、東京以外の地方都市では本プロジェクト初となるワインの宴です。ワインを知ろうとする真剣なまなざし。ワインをたしなむ節度あるしぐさ。新潟のワーキングウーマン91人と日本女性だけで選んだ世界のワイン72銘柄との出会いが醸し出したのは、喜びと新しい力でした。異口同音に発せられた「とても楽しかったです」「次はいつ開かれますか」の余韻を、参加者の視点を交えてお伝えします。

気分は華やかなワインレッドのよう

niigatawine1_680x453.jpg
会場はエレガントなウエディングホール

この日の最高気温は31度。梅雨の蒸し暑さが肌にまとわりつくようです。新潟市中央区の会場には、2倍近い倍率を勝ち抜いた30~40代中心の働く女性が午後6時すぎから集まり始めました。私こと、小町雪乃(仮名)もその一人です。きょうはいつもより少し早く仕事を済ませ、花柄のワンピースに着替え、ちょっぴり気持ちもドレスアップして駆けつけました。Komachiは毎月読んでいます。今回の「新潟の女性に注ぐ、ワインと過ごす幸せな時間」も誌面で知りました。私は実家暮らしで、購読紙は新潟日報です。ちなみに金融機関に勤める友人は、日本経済新聞の新潟版でワインセミナーの開催を知って申し込んだそうです。残念ながら落選したため、今日はその分も私が楽しみたいと思っています。

みなさんと同じ味覚を持つ日本女性が選んだワイン

niigatawine5_680x453.jpg
多彩な銘柄にくぎ付けになる

8人掛けの円卓には、ワインリストとサクラアワード2018の受賞銘柄が記された冊子が置かれています。フランス、イタリア、スペイン、チリ、アルゼンチン......。ワイナリーや生産国のページをめくりながら、何だか世界一周をしているような気分になってきました。ゆったりとした夏至の長い一日が暮れた午後7時過ぎ。大型スクリーンをバックに、ステージにはきょうの講師を務める田辺由美さんが登壇しました。田辺さんは20年来、ワインスクールを主宰しているほか、今年で5回目を迎えた国際ワイン審査会「Japan Women's Wine Awards(通称サクラアワード)」の審査責任者を務めています。「みなさんと同じような味覚をもった日本女性が選んだワイン。それがサクラアワードです」と、田辺さんが解説をはさみながら、審査会の様子がスクリーンに流れていきます。あれは女優の高橋ひとみさん? そう! 2018年の審査は高橋さんもテイスティングを務めたそうです。そうだったのか。私にはなぜか、映画「私をスキーに連れてって」のワンシーンが浮かんできたのでした。

niigatawine4_680x453.jpg
だし文化に育まれた日本女性の舌も評価する講師の田辺さん

好きなワインを知るポイント

niigatawine_14_950x304.png
最高の状態で出てきた「メーンディッシュ」(左)。主役を引き立てるアンティパストやデザート

「みなさんの中でシャンパンが好きな人はいますか」。田辺さんの呼びかけに、私を含め参加者の半分近くの人の手が挙がりました。泡の爽快感。冷やせばどんな銘柄でも喉越し抜群。色彩の美しさとゴージャスな雰囲気。もちろんおいしい。だから売れているのです。田辺さんの説明はさらに続きます。では「シャンパン」「シャンパーニュ」「スパークリングワイン」。この違いが分かりますか。例えばシャンパーニュはフランスの土地の名前。パリから日帰りできますよ。その地域だけで作られるスパークリングワインをシャンパーニュと言うのです。だから量は少なく値段も高い。法律で作り方も決まっている。その作り方は瓶の中で泡を作る。それは......。

180626WineSeminar_25_680x453.jpg
臨場感あふれる大型スクリーンに流れる世界のワイン

こんな調子で、世界のワイン産地をくまなく歩いてきた田辺さんの知見は、身近なワインの話題から専門的な事柄にまで及んでいきます。私、なんとなくですが、シャンパーニュが高価な訳も分かるような気がしてきました。田辺さんは語ります。ワインはまず、ブドウの品種です。産地よりも品種です。自分の好きな品種を見つけることが一番です。ブドウの品種は約5000あります。「えっ、そんなに。私、選べないなあ」と思ったものの、知って味わうのと、知らずに飲むのは大違いと思い直しました。早速、ワインの本を読んでみます。

「ワインはアルカリ性の飲み物で、リラックス効果もあります。しばし日常を忘れてワインに酔いしれていただきたいと思います」。田辺さんの最後の言葉に促されて、待ちに待った72銘柄の試飲パーティーの始まりです。

まずは、グラスを回して香りを楽しむ

niigatawine6_680x438.jpg
飲み比べできる「夢のような」時間の始まり

まずはスパークリングワインから。ワイナリー名にシャンパーニュが付いたものを選びました。先ほどのセミナーを聞いたばかりなので、おいしさに深みがあるように感じられるから不思議です。実は私、日本酒が一番好きで、ワインは泡か白ばかりを飲んでいました。きょうは赤にも挑戦しよう。そうだ、リストにある最高の「ダイヤモンドトロフィー」を受賞した米国のワインはどこに。見つかったとき、瓶はすでに空でした。残念。それでもイタリア、スペイン、南アフリカなどの赤ワインをいただきました。おっと、田辺さんの教えを忘れていました。「まずはグラスを回して香りを楽しむ」。ワインの楽しみ方は確かに奥深いですね。

niigatawine7_680x453.jpg
飲みやすい赤ワインもたくさんありました

ワインがつなぐ女子力の輪

一緒に来るはずだったもう一人の友人が急用で参加できず、最初は少し心細かったのですが、交流会ではワインの力のおかげで、テーブル同士で打ち解け合うのに時間はかかりませんでした。ある女性は「職場で女性活躍を進めようと思ってアイデアを出しても、なかなか通らないのよね」と、本音を漏らしていました。田辺さんの話にもあったように、日本にいる約1万人のソムリエは男女がほぼ半々なのに、レストランでサーブするのは男性がほとんどとか。そうだったのか。田辺さんが女性の女性による女性のためのワイン事業を起こした意味に思いをめぐらしていました。女性も男性も同じ価値観で仕事ができるようになるために。私も明日からは今日までとは違う心持ちで仕事に取り組んでいこうと、思いを新たにしました。

niigatawine10_600x453.jpg
ワインが触媒となって会話も弾みます
niigatawine11_680x400.jpg
ワインの宴には和装も映えます

会員登録すると、イベントや交流会への参加、メールマガジン購読などご利用いただけます。