イベントリポート

元タカラジェンヌが語る女性が輝く秘けつ 富山市でウーマンフェスタ

富山市主催の「TOYAMAウーマンフェスタ2017」が11月23日、同市内で開かれました。女性の活躍推進に向けた啓発事業の1dayイベントです。日経ウーマノミクス・プロジェクトの企画協力で実現したメーンプログラムが、富山市出身で元宝塚歌劇団雪組の娘役トップ、愛加(まなか)あゆさんのトーク&ライブ。会場ホールの340席を埋めた来場者は、「富山愛」にあふれた2時間のステージパフォーマンスを堪能したようです。

「カジダン」の市長と料理トークも

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会場となった340席のホールは来場者でいっぱいに

「元タカラジェンヌが教えます! 女性が輝く秘けつとは」と銘打ったイベントは大人気。富山駅前の会場にはいい席を確保しようと、お昼ごろから1組、2組と女性グループが集まり始め、午後2時の開場前には100人以上が待機列を作りました。

愛加さんが故郷のステージに立つのは、宝塚時代の雪組全国ツアー・富山公演から数えて4年ぶり。3年前に宝塚を退団し、ミュージカルに活躍の場を移してからは初めてです。第1部のトークショーの冒頭、司会が「まなかさんの舞台公演を観たことのある人は?」と満員の観客席に問いかけたところ、7~8割の人の手が挙がりました。愛加さんの反応は「本当ですか!? 予想と違ったので、うれしい!」。来場者との距離がぐっと縮まったようです。

「日本健康マスター検定(健検)」に合格した近況報告に始まり、「軍隊よりも厳しい上下関係」といわれる宝塚音楽学校での失敗談、歌劇団に入ってからの苦労話、そして、お姉さんのこと。森雅志・富山市長を交えた50分のトークは盛りだくさんの内容でした。

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元タカラジェンヌ・愛加あゆさん(左)と森雅志・富山市長のトークショー

森市長は市役所きっての「カジダン」(家事に積極的な男性)だそうです。裁縫は得意だが、料理の腕前はまだまだ・・・という愛加さんの話を聞き、「腕を上げるには道具が大事。圧力鍋やミキサー、包丁は良いものを使ったほうがいいですよ」とアドバイス。愛加さんはうなずくこと、しきりでした。

「挑戦する心を持ち続けたい」

愛加さんの裁縫が上達した理由がふるっていました。宝塚の娘役はトップといえども、舞台劇で身に付けるアクセサリーや髪飾りは、自分で準備しなければいけません。洋物の演目もあれば和物もあります。公演のたびに衣装、カツラに映える材料を買い集め、夜な夜な細かい手仕事を続けたそうです。

とんとん拍子でトップの道を駆け上がったわけではありません。「下級生に先を越され、舞台に立ちたくなかった時期もありました」と振り返ります。入団当初は、お姉さんと比較されるのが嫌で、距離を置いたそうです。宝塚の娘役トップとして活躍した後、ミュージカル女優に転身した夢咲ねねさんのことです。姉妹そろってトップに抜擢されたのは、100年を超す宝塚の歴史の中で他に例がありません。

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星組娘役トップだった姉の夢咲ねねさんの話などトークショーは盛りだくさんの内容で盛り上がった

3歳違いの姉に対するコンプレックスが消え去るまでに3年かかったそうです。ある演出家の一言に救われました。「あなたたちは似ていないから、それぞれの良さがあるんだよ」。10年余の宝塚時代を支えてくれたファンへの感謝の言葉も忘れませんでした。

「あゆっち」の愛称で親しまれる愛加さんの魅力を十分に引き出すトークショーになりました。「人が見ていないところで努力しているのは素晴らしい」とは、森市長の感想です。愛加さんは「これからも、いろいろなことに挑戦する心を持ち続けたい」と、締めくくりました。

ブース出展企業のサプライズ演出

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路面電車は富山市のまちづくりのシンボル

第2部のライブでは、ディズニー映画の主題歌や、ユーミン、スキマスイッチのヒット曲、ファンならずとも1度は耳にしたことのある宝塚の名曲などを、バンドの生演奏をバックに熱唱しました。

来場者へのサプライズ演出がプレゼントの抽選会。ライブの合間のトークの場を使って愛加さんが自らクジを引き、計5人の当選者に手渡しました。プレゼント商品は美容食品や化粧品の詰め合わせ。この日のイベント会場にブースを出展した健菜堂、広貫堂、シーボン富山店の地元企業3社からの提供でした。

富山市の人口は約42万人。森市長が進める路面電車など公共交通を軸とした「コンパクトシティ」のまちづくりは、国内外から高い評価を受けています。「こども家庭部」の新設や「まちなか総合ケアセンター」の開設など、子育て支援や女性活躍推進の分野でも森市政のカラーを打ち出す中、ウーマンフェスタは大事なPR事業の1つです。

このフェスタでは「好感度アップセミナー」と題し、コミュニケーションスキルを学ぶ女性限定の関連イベントもありました。全日本空輸(ANA)の客室乗務員(CA)で、今年4月にANA総合研究所と富山市役所との地域連携協定によって富山市に派遣され、地域づくりマネージャーとして広報課に在籍する青山景子さんが講師となり、ビジネスマナーや好感度を上げるためにCAが努力していることなどを教えてくれました。

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関連イベントは富山市役所に派遣中の客室乗務員による「好感度アップセミナー」

さて、ライブの最後となるアンコール曲は、あの「カントリーロード」でした。ふるさと富山への思いを伝えたいという愛加さんのこだわりです。心に響く歌詞と歌声は、期待以上のにぎわいを見せたウーマンフェスタにふさわしいエンディングでした。

 

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