イベントリポート

「働き女子×睡眠」のベストアンサーを探そう!

新年度がスタートして約2カ月。暑さや湿気などで体調を崩しやすい時期ですが、仕事で高いパフォーマンスを発揮し、プライベートも充実させるには、心身のコンディションを整える「良質の睡眠」が欠かせません。時間に追われがちな働く女性にとって、ベストな睡眠をとるための秘けつ、そして睡眠の効果を高める入浴法はどのようなものなのでしょうか。日経ウーマノミクス・プロジェクト実行委員会が5月29日に東京・大手町で開いたウマノミ特別セミナー「働き女子×睡眠のベストアンサーを探そう!」(協賛:大塚製薬、バスクリン)の様子をのぞいてみました。

オンにも役立つ快眠法から入浴タイムの活かし方まで

今回のセミナーは定員300人に対し、その4倍の約1200人が応募。当日、開場の午後6時半には受付前に長蛇の列ができ、働く女性たちの睡眠への関心の高さをひしひしと実感します。セミナーではまずコーディネーターの日経CNBCキャスター、榎戸教子さんが3人のパネリストを紹介しました。日本大学医学部精神医学系主任教授の内山真さん、バスクリン広報責任者の石川泰弘さん(博士=スポーツ健康科学)、メディアプロデューサーでOne to ten代表の渡辺佳恵さんです。

suimin_enokido750x470.jpg
コーディネーター役の日経CNBCキャスター、榎戸教子さん

厚生労働省発行の「健康づくりのための健康指針2014」の作成を主導された、睡眠医学が専門の内山さん、「お風呂博士」として知られる石川さん、CanCamの編集者として活躍した「働き女子」代表の渡辺さん。それぞれ異なる立場から3人の視点を組み合わせ、最善の睡眠と入浴法の核心を探りました。

良い睡眠は『脳の疲れ』+『タイミング』の調和

聴衆の女性たちがじっくり耳を傾けたのが、内山さんによる医学的見地からの睡眠メカニズムの説明です。人間が眠るのは、長く起きていることで発生する「脳の疲れ」と、体内時計の働きで「夜になると自然と眠くなる」ことの2つが要因で、この2つがうまく重なると良質な睡眠につながるそうです。睡眠時間が5時間を割ると強い眠気で判断ミスを招くほか、血糖値と血圧の上昇、食欲ホルモン(グレリン)上昇や満腹ホルモン低下による肥満リスクなど、睡眠不足のデメリットが紹介されました。ただ睡眠時間が長ければ長いほど身体に良いというわけではなく、「7時間睡眠が6年後の死亡率が最も低い」との研究結果も紹介されました。

suimin_uchiyama750x470.jpg
日本大学医学部精神医学系主任教授の内山真さん

『ソーシャル・ジェットラグ』にご注意!

内山さんが働く女性たちに警鐘を鳴らしたのが「ソーシャル・ジェットラグ」(社会的時差ボケ)の危険性です。平日は仕事などで規則正しく起床するのに対し、休日は遅くまで寝る「寝だめ」をすると、体内時計の遅れにより日曜夜の寝つきが悪くなったり、月曜日の目覚め感が悪くなったりして、結局は睡眠不足をもたらす悪循環になるとのことです。内山さんからは、アスパラガス加工食品を食べると休日の起床時刻が早まってソーシャル・ジェットラグが緩和され、寝覚め感や睡眠の質などの改善につながるという研究結果も紹介されました。アスパラガス由来の成分には、細胞が熱などのストレスにさらされた時に細胞を保護する「ヒートショックプロテイン」を活発化する作用があるとのことです。

suimin_memo750x400.jpg

『お肌のゴールデンタイム』は都市伝説!?

女性の間でよく知られている、午後10時から午前2時の時間帯に眠ると肌がきれいになるとされる「お肌のゴールデンタイム」について、内山さんが「都市伝説だ」と笑顔で一蹴。会場内はどよめきに包まれました。肌に作用するとみられる成長ホルモンは、時刻に関係なく眠り始めの3時間に多く分泌されるため、「何時から何時まで眠っていないと肌が荒れるということはない」と指摘していました。また寝る直前にスマートフォンを見ると寝つきが悪くなるとされている点について、内山さんは「スマホをちょっと見る程度であれば睡眠に影響しない」と話していました。スマホ画面などのブルーライトによる睡眠への影響研究は、バックライトの輝度を最高値にして長時間見続けるなど条件が極端なケースが多いそうで、日常生活でのスマホ使用レベルではさほど気にする必要はないそうです。

suimin_ishikawa750x470.jpg
バスクリン広報責任者の石川泰弘さん(博士=スポーツ健康科学)

お風呂は『心地よい』と感じる温度で

お風呂博士の石川さんは、入浴の3大効果が①温まる②血行促進③リラックスであると説明。入浴で温まった身体がラジエーターの要領で「熱放散」を起こし、その後体温が下がるときにスムーズな睡眠につながるそうです。セ氏41度の熱いお湯では交感神経の働きが高まる一方、39度や37度といった比較的ぬるめのお湯では副交感神経が優位となりリラックスにつながります。心地よい温度には個人差があり、「うっすら汗が出るまで入浴し、ドキドキしたらすぐ出る」のがコツだそうです。例えば同じ40度のお湯でも夏と冬で体感温度が大きく変わるため「季節によって温度設定機能を上手に使って」とのアドバイスもありました。入浴後に皮膚の角質の水分量が低下するため、浴室から出て10分以内のスキンケアが必須になります。お風呂の効果を高める入浴剤は炭酸ガス系やスキンケア系、生薬系や清涼系など、それぞれ狙った効果が違うので季節やニーズに応じて使い分けることが良いそうです。

suimin_panel750x470.jpg

1日3回の入浴で快適な睡眠

CanCamの編集者時代、モデルの蛯原友里さん、押切もえさんを中心に一大ブームを巻き起こした「働き女子」代表の渡辺さん。17歳の娘がいる母親でもあります。朝、帰宅直後、就寝前と1日に計3回の入浴を日課にしており、海外出張時には必ずバスタブのあるホテルを選ぶほどのお風呂好きです。かつては連日の深夜労働だったそうですが、今では午後10時ごろには寝て朝6時半ごろ目覚める早寝早起きのサイクルを心がけています。部下からの問い合わせにメールなどで答えるのは午後8時ごろまでとし、それ以降は翌朝に持ち越すことで「オン」と「オフ」を区切っているそうです。スムーズな睡眠のため、たとえどんなに多忙でも「就寝前の4時間は食事や飲酒をしないようにしている」と強調していました。

suimin_watanabe750x470.jpg
メディアプロデューサーでOne to ten代表の渡辺佳恵さん

「起床時に身体の疲れが取れていない」=女性の約6割

suimingraph430.PNG

セミナーでは応募者女性を対象に実施した、睡眠や起床に関するアンケートの結果も発表されました。直近1カ月間に週3回以上あったことを聞いた設問では、「起床時に身体の疲れがとれていない」が62.5%を占めたほか、「睡眠全体の質に満足できていない(熟睡感がない)」も60.2%に達しました。内山さんが指摘するソーシャル・ジェットラグに悩む女性も多いようです。「日中に眠気を感じる」女性も63.9%と3分の2近くいました。ただ内山さんによれば、昼間の眠気は必ずしも悪いわけではなく「昼食の後にちょっと眠くなるくらいがベスト」だそうです。またお悩み相談では、睡眠改善にもつながる冷え性対策として、石川さんから、手だけをお湯で温める部分浴の「手浴」が紹介されました。これだとオフィスの給湯室でも手軽に体調を整えることができそうです。

セミナー会場のホワイエには大塚製薬が同日テスト販売を始めた機能性表示食品「賢者の快眠 睡眠リズムサポート」が展示されました。アスパラガス由来の成分が入った「賢者の快眠」のモニターを募集すると、セミナー参加者から多数の応募がありました。またフィギュアスケートの羽生結弦選手の巨大パネルとともにバスクリンの炭酸入浴剤「きき湯」コーナーも設置され、「夏にぴったりの入浴剤はどれかな?」などと実際に商品を手に取って吟味する女性たちの姿も目立ちました。

suimin_kenja959x312.png
機能性表示食品「賢者の快眠」のモニター受付にできた長蛇の列(左)とパッケージを手にするセミナー参加者(右)

 

会員登録すると、イベントや交流会への参加、メールマガジン購読などご利用いただけます。