イベントリポート

輝きながら働く先輩女性に学ぼう、女子学生のためのキャリアセミナー

企業の就職説明会の3月1日解禁で、学生の就職活動がいよいよ本格化します。将来の進路や働き方について不安を感じている学生も多いことでしょう。そこで日経ウーマノミクス・プロジェクト実行委員会は2月18日、大学卒業後のキャリアについてのヒントを得てもらおうと東京・大手町で「女子学生のためのキャリアセミナー」を開催しました。首都圏を中心に72人の女子学生が集まり、社会で活躍する先輩女性の経験談や働く女性を取り巻く最近の環境の話に耳を傾けました。

働く女性を後押しする企業の見分け方

セミナーではまず日本経済新聞・女性面の佐藤珠希編集長が「女性が活躍できるフィールドは広い」というテーマで講演し、働く女性を取り巻く環境や女性が活躍する業界・企業について話をしました。

joshigaku_satoh750x500.jpg
日本経済新聞・女性面の佐藤珠希編集長は「仕事もプライベートも自分らしく幸せに生きていくために大切な5つのこと」を学生に伝えた

佐藤編集長は日経ウーマノミクス・プロジェクトと日経WOMANが実施した調査による「女性が活躍する会社」ランキングの結果などを紹介しながら、働く女性を後押しする企業を見分けるコツを伝えました。例えば「企業トップがダイバーシティを重要な経営戦略と位置づけ、積極的に情報発信しているか」「ダイバーシティ推進のための組織を作り、活動しているかどうか」「女性社員の数や比率は増えているかどうか」。これらをチェックすることが大事と強調しました。

女性にはキャリアアップの時期と、出産・育児が重なることから、休職していったん職場を離れてもいいように、仕事のスキルを着実に磨くこと、周囲に「信頼の貯金」を作っておくことの2つを意識しようと学生にアドバイスをして講演を締めくくりました。

「若くても責任ある仕事を任せてもらえる」

続いて企業で活躍する先輩女性によるパネルディスカッションがありました。積水ハウス・東京北シャーメゾン支店店長の磯﨑祥子さん、東京海上日動火災保険・埼玉損害サービス部次長兼火災新種損害サービス課長の鍋嶋美佳さん、日本航空・客室乗員サポート部羽田総務グループ主任の田村知子さんの3人が登壇。コーディネーターの佐藤編集長がまずはそれぞれの学生時代や就職活動の話を尋ねました。

joshigakusei959x480.jpg
「将来の自分をイメージしよう~先輩女性から学ぶ」と題したパネルディスカッション。ロールモデルとなる社会人の先輩女性が登壇した

積水ハウスの磯﨑さんは学生時代に建築の仕事をしたいと思い、就活では住宅メーカーや住宅設備メーカーなどを中心に回ったそうです。そのなかから「女性営業のバックアップ体制が整っている」会社として積水ハウスに決めたと話しました。同社の賃貸住宅「シャーメゾン」の営業で2人目の女性店長です。

東京海上日動の鍋嶋さんは学生時代、米国で学んでいましたが、日本企業のことを知りたいと考えて日本での就職を決めました。東京海上日動は「上司や先輩を肩書きではなく『さん』付けで呼ぶなどフラットかつ自由闊達な社風」といい、入社してからも働きやすかったと振り返りました。

日本航空の田村さんは大学時代、プレゼン勉強会で「魚の缶詰」の商品企画に取り組み、添加物が少なく栄養価の高い食品として、若者向けパッケージを施す提案を企業に行って展示会に出品したそうです。就職活動では「人」を軸として、業界問わず複数の企業を訪問。社員の話を直接聞くなかで、自分に合い、「人」に魅力を感じた日本航空に入社を決めたと話しました。

joshigaku_tamura750x500.jpg
日本航空・客室乗員サポート部羽田総務グループ主任の田村知子さん

今の仕事のやりがいについて、田村さんは「若くても責任ある仕事を任せてもらえること」と即答しました。客室乗務員のスケジュール管理を手がけています。天候が乱れると運航スケジュールを余儀なく変更することが多いそうですが、関係部署との調整が欠かせず、どのようにスケジュールを変更するかはその時々の判断に委ねられます。正解はひとつではなく、「最終的にお客さまにとってどうかと考えることで答えを導き出している。仲間とともに日々のフライトを支えている達成感があるのも魅力」といいます。

磯﨑さんは「自らが営業として現役のプレーヤーであるほか、店長として若手の育成も任されており、彼らの成長が楽しみ」と笑顔で答えました。店長になった最初のチームでは、自分よりも年上の55歳の男性部下もいたそうです。磯﨑さんは「年上の部下と親子のように仲の良い関係を築けたことで、円滑にチームが機能した」と話しました。

joshigaku_isozaki750x500.jpg
積水ハウス・東京北シャーメゾン支店店長の磯﨑祥子さん

「(災害や事故など)お客様のいざという時の支えに、そして明日への力になれるやりがいのある仕事」と語る鍋嶋さんも30人ほどの部下を率いるマネジャーです。部下の年代は20代~60代と幅広く、それぞれの役割やキャリアに合わせて一人ひとりに向き合いながら育成し、成長を支援してるといいます。

「夫との家事分担、褒めて、褒めて、褒めまくる」

仕事と育児の両立では、東京海上日動で90年代に2回の出産を経験した鍋嶋さんは「当時の育児休暇制度で最長1年間育児に専念したので、充実した気持ちで仕事に復帰できた」と振り返りました。当時はビジネス仕様のマタニティー服がなく、米国から型紙を取り寄せて、自ら縫ったとのエピソードを披露すると、会場にどよめきも。最近まで育児休職を取得していた田村さんは、「今のマタニティー服は充実しているので学生の皆さんは心配ないですよ」と応じました。

joshigaku_nabeshima750x500.jpg
東京海上日動火災保険・埼玉損害サービス部次長兼火災新種損害サービス課長の鍋嶋美佳さん

子ども2人が大学生と高校生になり、育児が一段落したという鍋嶋さんは「どこまで頑張れば、両立できたことになるのか、自ら折り合いをつけることが大事」と指摘。「やればやるほど苦しくなる。やらなくてもいいことはあきらめるという割り切りも大切」と助言しました。コーディネーター役の佐藤編集長からも「日本の働く女性にとって家事負担は重い」とフォローが入り、全てに完璧を求めないようにしようとの言葉に参加者全員がうなずいていました。

田村さんは夫の教育が大事と指摘しました。「夫の家事についてはとにかく褒めて、褒めて、褒めまくる」ことが、夫に家事分担を促す秘訣だと語りました。毎週、家族会議を開き、翌週の家族の分担を決めているそうで、夫婦2人でカバーできない分は実家の母へ依頼したり、ベビーシッターを活用したりするなど柔軟に対応しているそうです。

joshigakusei_a_959x480.jpg
会場ではメモを取りながら働く女性の先輩たちの話を真剣に聞く学生の姿が目立った

磯﨑さんは夫が同じ会社に勤めていますが、磯﨑さんの休日が土・日なのに対し、夫の休みは火曜日と水曜日。すれ違いを心配する声に「週に1日は近所に一緒に飲みに行っています」とニッコリ応じました。個人的な目標だったダイエットに成功したほか、趣味のバンド活動は今も続けているといいます。仕事で知り合った人とも一緒に演奏することがあるといい、プライベートな活動も仕事に生かせているといいます。

最後に将来の夢や目標について、東京海上グループのグローバル事業の拡大と成長にかかわっていきたいと言う鍋嶋さん。育児が一段落したこともあり、ボランティア活動にも力を入れていきたいと語りました。日本航空の田村さんは「人が働きやすい環境づくり」を進めていきたいと語り、育児休職中にワーク・ライフ・バランスのコンサルタントの資格を取得したといいます。将来は人事部で働きたいとのことでした。積水ハウスの磯﨑さんは、店長の役割にも慣れてきたことから、「35歳までに第一子を産みたい」と新たな目標を語りました。

josgigaku_konshin959x530.jpg
セミナー後の交流会で、女子学生たちは登壇した社会人の先輩女性に次々と質問を投げかけた

イキイキと働く女性に共通するのは、明確な目標や夢を持って日々を充実して過ごすことのようです。セミナー後の交流会では学生たちが登壇者を囲んで会社の選び方や仕事と家庭の両立など気になることを次々と質問していました。輝きながら働く先輩女性に接して、学生たちはこれからの自らのキャリアについて色々と思いをめぐらせているようでした。

会員登録すると、イベントや交流会への参加、メールマガジン購読などご利用いただけます。