イベントリポート

意識や毎日の行動少し変えて、防犯女子度アップ

殺人や傷害といった刑法犯は減っているものの、ストーカーや振り込め詐欺など、高齢者、子ども、そして女性が被害者となる犯罪は後を絶ちません。安心して、安全な日々を送るにはどうすればいいのでしょうか。日経ウーマノミクス・プロジェクト実行委員会が7月18日に東京・大手町で開いたセミナー「あなたの防犯女子度をチェック!~暮らし、外出、個人情報、旅先まで」に足を運びました。

立ち寄るコンビニ、たまには変える

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セコム「働く女性の安全委員会」の寺本美保さんは女性に役立つ防犯・防災対策を発信する

会場には80人の定員を上回る人が集まり、防犯への関心の高さが分かります。登場したのはセコム「働く女性の安全委員会」のメンバーである寺本美保さんと福島あずささん。この委員会はセキュリティーのプロの目からみた、女性に役立つ防犯・防災対策を発信しています。登壇したお2人はナビゲーター役を務めたキャスターの榎戸教子さんに導かれ、様々な注意点を紹介していきます。

まず、日常生活でどれほど防犯対策ができているかを知るために、「防犯女子度チェック」が始まりました。「歩きながらスマホで話したり、メールをする事が多い」「行きつけのコンビニがある」など簡単な20の設問が読み上げられ、当てはまる数を数えていきます。「私はこうですね」と榎戸さんも一緒にチェック。最後に「Yes」の数の合計が「6個まで」「7~13個」「14個以上」のうち、どれだったのか尋ねると、7~13個に最も多く手が挙がりました。

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福島あずささんも「働く女性の安全委員会」メンバーとして活動

「実はどの設問も防犯対策としては間違っています」。寺本さんが打ち明けると、会場はザワつきます。Yesの数が6個までの人は身の回りのリスクを理解している防犯女子度の上級者、7~13個は対策をしなければと思いつつ、具体的にどうすればいいのかわからない中級者だそうです。防犯女子度チェックはセコムのサイト「女性のための安心ライフnavi」で誰でもチェックできます。

各設問の解説に移ると、参加者はうなずきながら真剣なまなざしで前方を見つめます。例えば、日ごろしがちな歩きスマホ。周囲に対する注意力が散漫になり、後ろから近づいてくる人の気配に気づきにくくなるため、「今日からすぐにやめてくださいね」と寺本さんが呼びかけます。また近所のコンビニなどは行きつけになりがちですが、「不審者はターゲットのライフスタイルを下見するといいますので、たまには行くお店を変えてください」と注意を促しました。

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ナビゲーター役を務めた榎戸教子さん

チェックが終わると、話は女性の防犯の傾向と対策に移りました。今回取り上げられたのは外出、住まい、個人情報という3つの分野。警察庁の統計やセコムのアンケート調査などを交えながら、お2人がポイントを紹介していきます。

外出時に女性がターゲットになる犯罪のひとつに痴漢があります。福島さんは電車や駅で半数以上が発生していると説明します。警察によると、偶然そばにいた人をターゲットにすることも多く、痴漢をするのは逃げやすいドア付近とか。福島さんは1)露出度が高い服装になる夏場はストールなど何か1枚羽織るものを持つ、2)ドア付近を避けてなるべく座席の前に立つ、3)何かあったら声を出すと思わせるような毅然とした態度でいる、4)防犯ブザーを外から見える場所につける――のがよいと助言しました。

不審者気づかぬ「ながら歩き」

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防犯対策のポイントを次々紹介

防犯女子度チェックでも出てきた「ながらスマホ」に関しては、セコムの検証実験のデータが紹介されました。後ろから近づいてくる不審者にどの距離で気づくのか。しっかり前を向いて歩く、メールなどを夢中で読む、文章を入力する、音楽を聞きながら歩く、の4つの条件で計測したそうです。その検証によると、前を向いて歩いていると1.9メートルぐらい近寄れば誰かが来たと気づきました。メールを読んでいる、文章を入力していると、これが1メートルまで迫ります。音楽を聞いていると、なんと10センチメートルまで近づかないと分からないという結果に。この距離だとほぼ並んで歩いているのと同じ。「ながら歩きは本当に危険だと教えてくれた実験でした」(寺本さん)

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熱心にメモをとる人も

住まいでの言及でも、意外な事実が出てきました。泥棒というと留守中に狙われると思いがちですが、住宅を対象とした侵入窃盗の約3割は「忍び込み」「居空き」など在宅中に起こる犯罪だそうです。誰かがいても、無施錠のドアやカギから侵入してくる恐れがあります。福島さんは在宅時もカギはかける、ドアや窓は補助錠を用いて2つ以上のカギを設置する、警報装置なども備えるといった対策があると強調しました。

最後は個人情報です。スマホには持ち主はもちろん、その家族、友人の情報もぎっしり詰まっています。周囲の方を守るためにも、ロックをかけることは励行して欲しいと訴えます。交流サイト(SNS)は「人から見られている、いろんな情報を世界に発信しているという意識をまず持ち、個人情報、プライバシーにかかわることはなるべく見せないことも大切です」(福島さん)。SNSは楽しく使うものだから、「リスクを知ったうえで楽しんで」と寺本さんも続けました。

最後に福島さんは「ちょっとした意識を変え、毎日の行動を変えるだけで、できることはあります。ながら歩きをやめるといった、ほんの少しの見直しも防犯対策につながります」。寺本さんも「いつ被害に遭うか分かりません。報道された事件とどこか似たところがないのか、自分のこととして考えてみてください。意識を改めることから防犯対策は始まります」と締めくくりました。

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セコムの製品などを展示した交流会でも質問が途切れることはなかった

セミナーのあとはセコムの製品などを紹介しながら、登壇したお2人との交流会が開かれました。さらに詳しい対応策を聞こうと、多くの質問が飛び交う有意義な時間に。「よく歩きながらスマホで音楽を聞いていたが、これが危険とわかりました」(26歳会社員)「在宅時もチェーンをかけるなど、対応していきます」(23歳会社員)といった感想も飛び出しました。意識や行動を少し変えることから防犯が始まる。安全・安心は小さな一歩からだと気づいたセミナーでした。

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