アンケート結果

親の介護と仕事の両立、新型コロナがもたらした不安と心配

仕事と介護の両立は、働き盛りの多くの人が悩みや不安を抱える課題です。日経ウーマノミクス・プロジェクトが2016年秋に実施した会員アンケートでも、親の介護のために離職したり実家に帰ったりしたなどの声が寄せられました。今春からの新型コロナウイルスの感染拡大は、ただでさえ苦労を伴う介護にまた新たな側面の心配や不安をもたらしています。6月上中旬にウマノミ会員から寄せられたコロナ禍での介護で直面した課題の声を紹介します。

■家族と会えなくなり認知症が悪化

「認知症で内臓疾患も抱えている父は、自宅での母による介護をベースに、内臓疾患の悪化による入院(2週間程度)を繰り返していました。コロナの影響で病院は家族であっても面会謝絶となり、2週間誰とも面会することなく退院してきた父はさらに認知症が進み、子どもはもちろん、ずっと介護してきた母のことも認知できなくなってしまいました。進行が早まっただけとはいえ、これまで何年も丁寧に介護してきた母の心労を思うと心苦しいです」(40代女性/会社員)

「サービス付き高齢者向け住宅に認知症を患う88歳の母が入居していますが、感染防止のため面会は決められた場所で日に15分、掃除や洗濯などの身の回りのための入室も30分までです。以前は頻繁に家族が往訪し会話したり、外出や同居犬の散歩にも毎日家族が同行したりしていましたが、今はその機会もなく、足腰の衰えや認知機能の更なる低下、情緒不安などQOLの低下が生じています。何とかしたいものです」(50代女性/会社員)

「私は一人娘で東京在住のため、関西で施設入居中の父、実家で独り暮らしの母に会えずに困りました。特に、母にはパニック障害があり孤独と不安感が強いのですが、コロナ関連のニュースを見たり、私が帰省できなかったりすることで気弱になっている様子が電話のたびに感じられ、私自身も不安になりました。現在、老化、うつ状態、認知症のいずれが原因かはわかりませんが、以前よりも意欲が低下し、認知力に問題があるように感じます」(50代女性/自営・自由業)

「コロナで外出自粛となり、外に出かけなくなり、歩かなくなり、買い物に行かなくなり、老化や認知症度が 進んだ気がします」(50代女性/会社員)

「一人暮らしをしている要介護1の母がデイサービスに週2回通っていましたが3月から通所停止に(施設の入居者を守るので手いっぱいとのこと)。2週間家にいたら、目に見えてボケてきて、どうしようと思っていたところ、ケアマネさんから開いているデイサービスに移ることを提案され、見学に行くこともできないまま、即決。結果オーライで、認知症の進行は止まりましたが、この施設もいつ閉まるか分からないという不安が付きまといます」(40代女性/会社員)

■会えない不安、遠距離介護の苦労

「夫婦ともに実家は遠距離で、単身の親の見守りができなくなった。一方の実家は要介護5だが、本人の希望で介護事業者5社に委託して在宅介護を回している。月に1~2回は実家に行っていたが、事業所からの要請で帰省の自粛を求められ、約2カ月にわたって帰省できていない。もう一方は自立生活を送っているが、体調不良が続き通院中。新型コロナの影響で移動の自粛と感染リスクを鑑み、4カ月間帰省できず通院や体調不良時の看護ができなかった」(50代女性/会社員)

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写真はイメージ=pixta

「母が施設(特養)に入っていますが、新型コロナが流行しだしたころから面会ができません。会えないうちに亡くなってしまうのではないか、認知症なのでしばらく会わないともっと記憶が消えてしまい、認知症が進行する心配があります。反面、職員の方が公共交通機関で通勤しているのにコロナに感染しないだけでも、施設の方には感謝しています」(50代女性/会社員)

「父は要介護5で昨年秋より身動きができず、現在しゃべるのもままならない状態で半年以上病院または施設にいます。しかし新型コロナの影響で病室に入れてくれないので、ちゃんと水を飲ませてもらっているのか、着替えやひげ剃りはしてもらってるのか確認すらできないのがつらいです。転院も言われていますが、引き取り先の病院が見つかりにくいようで、困っています」(50代女性/会社員)

「県外に住んでいる認知症の叔母のところに時々訪問して様子を見ていました。しかし新型コロナの影響で県をまたぐ移動自粛となり、訪問できていません。自粛解除された今も夏休みの移動の多い時期は避けようと思っていて、どのタイミングで行けばよいのか迷っています。第2波のことを考えたら、また冬も訪問できなくなりそうなので、早めにとは思っています」(40代女性/会社員)

「私は頻繁に都内に出社しなければなりませんが、離れて暮らしている母親が難病のため、感染が怖くて、半年ほど会いに行っていません。 毎週電話で話をしているので、寂しさはありませんが、声ではわからない健康状態が気になっています」(30代女性/会社員)

■感染への怯え、"自粛警察"の圧力

「家で家族を介護しています。仕事は在宅と出社と半々ぐらいだったので、自分がコロナに感染してしまっては、家族にうつしてしまうことになるので、自分がまずかからないように神経を使いすぎて疲れました。まだまだ予断を許さないので、気をつけていますが、いつまで続くのかなというのが本心です」(50代女性/会社員)

「骨折により母は要介護1ですが、一人暮らしをしています。現在は週3回ヘルパーさんに来ていただき、週1回は私が訪問しています。コロナ禍でもっとも心配だったのは、ヘルパーさんが感染や濃厚接触者となって通えなくなることや、私や家族が感染して母のところに行けなくなることでした。またもし母が感染したら、看病できる人は一人娘の私しかおらず、実家に泊まり込んで在宅勤務をしながら看病するしかないと、覚悟を決めていました」(50代女性/会社員)

「離れている実家の話です。白寿になる祖母を両親が看ており、週に2~3回デイサービスに通っています。幸い今のところコロナの感染者などは出ていない施設のため、継続して通うことができています。要介護1~2で認知症があり感染予防に対して理解しきれず、父が消毒や手洗いなどの指導に熱が入っていて父の血圧が心配です。下のお世話が大変になってきており、両親に一度胃腸炎の症状が出て、事後報告を受けた際にかなり心配になりました」(40代女性/会社員)

「母が通うデイサービスは、コロナ対策がされていて感染者はなく自粛期間中も継続開所していました。母はデイサービスを楽しんでおり、行かなくなることで体力や認知力が落ちることを心配して行こうとすると、ご近所から『コロナがうつるかもしれないのに不謹慎だ』と、とがめられたそうで、近所の目を気にしてしばらく休みました。自粛解除後もご近所の態度が厳しく、目立たぬように通っているそうです。周囲の過度な反応に困っています」(50代女性/会社員)

■高まる費用負担、在宅勤務の活用

「会社に、コロナ禍における介護費支援の要望を出しましたが、今のタイムスケジュールでは難しいと断られました。コロナ禍において遠距離で介護をしている人は、親元に行くことができず訪問介護を依頼しています。その費用負担がかなり大きく、今後もいつ親元に行けるか分からないなか、とても不安です」(50代女性/会社員)

「80代の両親は軽い認知症のため、時々様子を見ています。テレビや新聞で騒がれているにもかかわらず、新型コロナの情報をあまり知らないことに驚きます。テレビを見ても忘れてしまうのかもしれません。何度かきちんとリスクや対策方法を説明し、今ではなんとか自分たちで対策をしています。笑い話ですが、買ったことを忘れるので、家にはマスクが大量にあります」(50代女性/会社員)

「私は新型コロナの影響で週に何日か在宅勤務になりました。これまで平日は母一人でしていた父の介護に私も関われるようになり、母の負担も多少軽くなったようです。このまま在宅勤務が続けられればいいのに...と思っています。 父は5月からリハビリ型デイサービスに通う予定でしたが、コロナの影響で逆に訪問リハビリをしてくれることになったのでありがたいです。でもいつかは安心してリハビリに通えるような状況になってほしい」(50代女性/会社員)

「母がデイサービスに通っているので、コロナを気にして行かなくなったら困るなぁと思ったら全然気にしてないので助かった。ただ本人はおしゃべりしたくて通っているのに、おしゃべり禁止でつまらないらしい」(50代女性/会社員)

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