中学受験を控えた子どもを持つお母さんは、とにかく多忙。学校や塾とのやりとり、勉強スケジュールや健康の管理など、日常のサポートはどうしても母親に負担がかかる、という話をよく聞きます。実際にお母さんたちは日々どんなことを考え、悩みながら子どもたちと“二人三脚”で歩んでいるのか…。
そこで【その1】で紹介したシンポジウムの参加者に声をかけ、座談会を開きました。集まったお母さんたちの状況は少しずつ違っていても、目指す先は同じ。
はじめは少し緊張気味でしたが、「家での勉強、ついつい言い過ぎちゃう」、「早く寝てほしいのに…」、「朝食はバランスが大事とは言うけれどやりくりが大変」「夫の役割ってみなさんどうですか?」などなど、シンポジウムのテーマでもあった心・技・体それぞれについての悩みはつきない様子。ママ友やご主人には言えない本音が飛び交う熱いトークとなりました。
参加者のみなさん
※座談会文中は敬称を略させていただきます。
「しなさい」に子どもは反発する。
だから母親のサポートは難しい。
エリザ |
「小6の息子は今、反抗期なんです。私の言うことは全部うるさいみたいで、勉強のメニューを作るとすごい勢いで反発してくる。今は個別指導でサポートをお願いしていますが、みなさんのところはどうですか?」 |
ひばり |
「ムラがありますね。私が怒ると5〜6時間集中して勉強をする場合もあるけど、普段は全然やらない。こちらは「こうやるべき」「こうしなさい」とついガーっと言ってしまうんですが、主人からはそれじゃあ子どもが萎えると言われて。子どももママはいつも解答見ながら偉そうに言うよね、一緒に問題解こうとしてくれないよねって。わかっていても、こちらも焦りもあるし、つい言っちゃうんですよね。11月に参加したシンポジウムでアンガーマネジメントということをお聞きして、すぐに怒らないで6秒待つなどトライしようと努力はしているんですけど、なかなか難しくて…。」 |
ロン |
「塾の宿題をやろうって言っても別のことをやっていたり、テレビを見ていたりしていますね。」 |
みず |
「勉強面も生活面も、親だから聞かないってところもありますよね。友だちがこうしていると聞くと「じゃあ私も」ってなるけど、それお母さんがいつも言っていることだから!って(笑)」 |
たまちゃん |
「言わなくてもやってくれるといいんですけどね。同じ時期に同じ塾に入った子の中で、とくに親がうるさく言わなくてもいきなり上位クラスに入った子がいて。その子のお母さんに聞いてみると、ちゃんと食べさせる、寝かせる、だけで、あとは自分でどんどん勉強して吸収してしまうらしいんです。うちは残念ながらそうじゃないから主人と2人で家庭教師状態です。」 |
ひばり |
「1割くらいはやれと言わなくてもやる子どもがいるのよね。でもそうじゃない子どもの方が多い。やれと言いすぎてもダメだけど、言ってやる場合だってあるわけだし、難しいですよね。」 |
なり |
「うちはもう勉強は塾に任せてしまっていて、それよりも生活態度について厳しく言いますね。寝る時間、起きる時間、ちゃんと顔を見て挨拶をする。 |
みず |
「うちも塾から勉強は見なくていいと言われてしまったのもあるし、家族が多くて忙しいので、手作りの食事を作るとか『寝なさい』『起きなさい』と言うとか。それでも反抗されちゃうんですけどね。」 |
睡眠と食事の管理は母の役目。
でもなかなか理想通りにはいきません。
ロン |
「うちは子どもに朝型を勧めています。夜やる試験はないですから。学校のクラブの朝練があるので6時半に起きて、夜は塾もあるし疲れて10時には寝ちゃいますね。」 |
エリザ |
「早く寝てもらいたいから夜の塾から帰ると『お風呂早く入って』ってせかすんですけど、子どもからは気がせいて嫌だと言われてしまって。朝型にしないといけないのに、結局12時くらいになっちゃう。」 |
みず |
「うちもとにかく『寝なさい』。シンポジウムでも睡眠時間の長い子の方が記憶力がいいという話もありましたし、8〜9時間は寝て欲しいですね。 |
ひばり |
「この時期はインフルエンザも心配ですよね。」 |
エリザ |
「うちの子は水泳とサッカーを長くやっていたので体力はあるみたい。夜更かししているわりに体調は崩していないですね。」 |
たまちゃん |
「勉強のことを考えるとやめた方がいいのかなと悩み中ですが、体力が気になるので水泳は続けています。あと気をつけているのが食事の栄養バランス。一汁三菜を意識しますね。」 |
ひばり |
「やる気満々でバランスを考えた朝ごはんを作っても、子どもは気分によって食べないことも。それが3日も続くと朝のお味噌汁をやめちゃう場合もある。そんな日に限って『味噌汁は?』と言われたりするから困るんですけど。」 |
たまちゃん |
「朝ごはんは納豆が多い。ねぎやキムチもプラスします。平日に気を使うぶん、休日のお昼は買ってきたものや、たまにはカップラーメンも。朝昼晩作っていると、私ってご飯マシーンなの?とイライラしちゃいますから(笑)。」 |
なり |
「うちは、朝はもうずっと同じ。パンと卵とチーズ、ハム、ブロッコリー、トマト、ヨーグルト。仕事の準備もあって忙しいから決めちゃうと楽なんですよね。」 |
ロン |
「朝はおにぎりやおもち、冬は温かいお味噌汁もよく作りますね。脳のために朝ごはんはきちんと取った方がいいというお話をシンポジウムで聞いて、とりあえず何かお腹に入れないとって思って。パンよりはごはんの方がいいってわかっているんですけど、菓子パンの時もありますね。」 |
たまちゃん |
「セミナーに出ていた先生からも『低GIがいい』と聞いて、ちょうどセミナーでもらったSOYJOYを自分でも買って、何か食べさせる時に子どもに渡しています。」 |
エリザ |
「スムージー作った時はあまり飲まなかったな。体にいいものをと思って理想を押しつけすぎると食べてくれないから、とにかく食べてくれるものが中心ですね。」 |
ひばり |
「炭酸の飲み物やポテトチップスは、子どもは大好きだけど良くないかなとセーブしていたんです。でもそうすると子どもなりにストレスが溜まるみたい。親はついつい健康を思って色々考えるけど、子どものリラックスという視点も大事にした方がいいのかな。頻度や量は親が調整してね。」 |
エリザ |
「基本はちゃんと寝かせて、栄養も考えて。でも全部健康のため、となると子どもも自分も苦しくなっちゃいますよね。リラックスのためにもたまにだったらいいかなと思いますね。」 |
夫婦の分担は私が8割。
夫にもっと関わって欲しい。
たまちゃん |
「毎日の食事や塾のお弁当作り、塾の送り迎えや先生との面談、学校説明会もあるし、本当に大変。成績を見て、うううっとなるのも私。主人は、勉強は見てくれるけど、もう少し現実を一緒になってわかってくれるといいなと思います。」 |
みず |
「ほんとにそう。夫が娘と関わるのはリラックスの部分だけ。勉強のスケジュールの組み立ては、私が作っても娘はなかなかやってくれないので夫にお願いしたいですね。本人のモチベーションも、いつもと違う人から違う考えで言われる方がいいんじゃないかと思って1年前から夫にお願いしているんですけど、全然やってくれない。」 |
ロン |
「うちも8割は私。休日も好きなように外出していて子どもと一緒にいる時間が短い。算数や宿題をもっと一緒にやってほしいですね。」 |
なり |
「うちなんて、この前いよいよ志望校を決めるという段階になってから『どうするんだ?』って。散々模試も受けてきて、合格判定も出ていて、あと50日なのに!何十校とある中からどんな思いで選んで今まで頑張ってきたと思っているのよ!と。口には出しませんでしたけどね(笑)。」 |
みず |
「うちも全然ですよ。実は受験まであと1カ月なのに、最近、子どものやる気が全くないんです。受験やめたの!?みたいな状態。私が口うるさく言い出したら反発して悪循環になってしまうから、本当は夫からちょっと言ってもらいたいんです。」 |
ひばり |
「主人は勉強面の聞き役や息抜きの担当ですけど、うちも8割が私。そもそも受験に賛成というわけでもないし。私が色々言うと「愚痴ばかり言うのはやめてくれ」って。あるとき私が涙ぐんだら、今はだいぶ聞いてくれるようにはなりましたけど…。」 |
たまちゃん |
「私も愚痴を言うこともありますが、女性なのでつい感情的になってしまうんですよね。男性は理論立てて話してほしいみたいだけど、なかなかできないですね。」 |
エリザ |
「うちは上の子が受験した時に下の子が小さかったので、受験に関して全部主人が受け持ってくれたんです。今は主人も仕事が忙しいし、全部私がやらないといけない。ただ2人で言うと子どもも混乱すると思うので、夫は『受かったらコンピューターを買ってあげる』とかモチベーションを上げる役。私は憎まれ役。自然と役割分担ができあがってしまいました。」 |
ひばり |
「今日集まっているみなさんはお母さんが頑張っているご家庭ですけど、世の中にはお父さんが頑張っている家庭もある。私のまわりでも学校見学やセミナーにお父さんが行くという話はよく聞きます。そういう家は、奥さんはあまり積極的ではないんですよね。バランスということなのかもしれませんけど。」 |
たまちゃん |
「たしかに私のほうは一日中受験について考えていて、一歩引いて見ているのが旦那ですね。だからこそ受験が近づいてきたら、旦那の役割がもっとあるのかもしれない。でも今は焦りや不安、モヤモヤが自分だけに来ているような気持ちになるので、もう少し話を聞いて現状を共有してほしいですね。」 |
みず |
「このあいだのシンポジウム、帰ってから主人に報告はしたんですけど全然ちゃんと聞いてくれなくて。会場にはお父さんもたくさん来ていたけど、夫婦で来ている方たちもけっこういたじゃないですか。私も主人と一緒に行っていたら、もう少しちゃんと話ができたんじゃないかなって思いましたね。」 |
ひばり |
「うちも『受験に関係あることは私が聞かなきゃ!』と思って私だけで行ったんですけど、よく考えたら一緒でもいいんですもんね。そうしたら、もっと主人とディスカッションできたかもしれない。同じ話を聞いたとしても、主人と私とでは聞き方が違いますしね。」 |
たまちゃん |
「そうか、いろんな話をするきっかけになりますよね。うちも今度、機会があったら無理やりでもいいから誘ってみようかな(笑)」 |
中学受験を考えはじめる時期は、ちょうど子どもたちが難しい時期にさしかかる頃。子どものために「こうしてあげたい」という理想はあっても、現実はなかなか思い通りにいかないものなのかもしれません。子どもに一番近いところで迷ったり悩んだりしながら、奮闘しているお母さんたちの姿が眼に浮かぶようでした。お母さん自身が頑張っているからこそ、パートナーであるご主人に期待することも多いようです。では、一方のお父さんたちはどう考えているのかも気になるところ。次回のリポートで報告します。