日経ウーマノミクスプロジェクト

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ジブ研セミナーリポート テーマ:アンガーマネジメント—怒りと上手に付き合う

譲れぬ自分の価値観洗い出す

 ストレスがたまると、つい怒りっぽくなります。でも、怒りに任せた行動はよい結果をもたらしません。上手に付き合うにはどうしたらよいのでしょうか。日経ウーマノミクス・プロジェクト実行委員会は2月21日、西武池袋本店(東京・豊島)で「アンガーマネジメント—怒りに振り回されずに上手に付き合う方法」と題した「ウマノミゼミナール特別編ジブンらしさ研究セミナー」を開催。感情をコントロールして、相手に気持ちをきちんと伝えるポイントを、日本アンガーマネジメント協会理事の戸田久実さんが紹介しました。

背後にある感情見極める

 多くの著書を持ち、講師歴27年目を迎えた戸田さんは「怒りは自然な感情です」と話し始めました。心身の安心・安全がおびやかされそうなとき、人間は怒ります。加えて、「不安」「寂しい」「心配」「疲れた」「困った」「つらい」といったネガティブな感情(一次感情)が満たされない(心の中にたまってあふれる)ときも、「二次感情」として怒りが出てくるそうです。「そのため、どのような一次感情が潜んでいるかを見極めることが大切です。そのうえで、自分はどうしてほしかったか、してもらえなくてどんな気持ちになったかを具体的に相手に伝えると、コミュニケーションがスムーズになります」

 怒りは自分の思い通りにならないときも抱くと戸田さんは続けます。自分が大事に思っていて、「~するべき」「~であるべき」とみなしていることをしてくれないと、ふつふつと湧き上がってきます。でも、家族であっても、「べき」という基準は異なります。「相手に対して、普通はこうだ、当たり前のこと、常識だ、という言葉が怒りとともに出てくるなら要注意です。普通といっても、自分と他人が同じはずはありません」。例えば、メールを早く返信するべきだと理解していても、どの程度なら早いとみなすのか、人それぞれです。

 「べき」というのは自分の理想、願望、譲れない価値観を象徴するものであり、大事にしても構わないと戸田さん。でも、万人に共通する尺度ではありません。相手が意に沿わないことをしたら、自分の価値観が理解されていないのではと、冷静に見つめ直す必要があると強調します。自分が譲れない価値観、「べき」と考えていることを洗い出すのは、怒りをコントロールするうえでお勧めだそうです。

怒りのピークは6秒

 カッとした瞬間の怒りのピークは、長くても6秒。この間をやり過ごすために、戸田さんは「怒りの数値化」をするトレーニングが有効と言います。10段階に分けて、絶対に許せないと思うほどの激しい怒りを最大の10とします。そのうえで、今の状態は何段階に相当するのか、判断するのです。「点数をつけることに意識が向いている間は、怒りに任せた行動はできません」(戸田さん)。習慣になるまで繰り返すと、自分のパターンが分かり、客観的に向き合えるようになるとのことです。

 最後に、怒りを表現する際のポイントも紹介してくれました。①抽象的な表現ではなく具体的に伝える、②自分の「べき」を押し付けない、③自分が正しいという気持ちで話をしない、④「いつも」「絶対」と決めつけない、⑤相手の人格を否定しない、⑥「なぜ」といって相手を責めない、⑦過去を引っ張り出さない、です。

 参加者からは「具体的なお話が多くイメージがしやすかった」(30代・会社員)、「人間関係のヒントがたくさんあり、明日から職場で実践したい」(40代・会社員)など、内容に深く納得したという声が多く聞かれました。

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