その01 フィードバックセミナーをルポ

自分の身体を数値で知れば、
今日の行動が具体的に変わる。
イキイキ働くヒントを
つかむセミナー。

オッツカちゃん オッツカちゃん メモ帳

むくみとか肩こりとか、生理がちょっと遅れるとか。病院に行くほどでもない「プチ不調」こそ、実は結構厄介で、日々のテンションを下げたり、仕事のパフォーマンスを落としたりする。実際、生理痛による全女性の労働損失を合計すると年間5,000億円近くにもなる(※バイエル薬品調べ)、なんて話もあるくらい。じゃあ何とかしようといって、一発で治療できるわけでもないのが、この「プチ不調」のさらに面倒なところ。何が原因でどのようにすれば解消されるのかが、イマイチ見えてこないのだ。
そんな私たちの悩みに、具体的な対策方法を示してくれるプログラムがある。三菱地所などが行う、女性の未来と健康を支援するプロジェクト「Will Conscious Marunouchi」の一環である「まるのうち保健室」だ。自分の身体を知り、改善していくためのプログラムは、東京・丸の内界隈で働く女性を中心に人気とのこと。10月14日に千代田区大手町の3×3 Lab Futureで開催されたフィードバックセミナーを訪問取材した。

本当にカットすべきはカロリー?
まずは、見た目ではわからない体型診断から。

「まるのうち保健室」(※事前に予約をした方のみが対象)の内容は全3回。前半2回では身体に関する様々な測定や生活習慣の調査を行い、最終回のセミナーで、測定結果のフィードバックと結果に合わせた生活改善メソッドを聞くことができる。このフィードバックセミナーでは、それぞれの生活改善に役立つ多くの資料も配布されていた。

普段は気にしない、いや気にしないふりをしている、自分自身の客観データに見入る女性たち。500円で自分の身体と生活を丁寧に分析してもらえるのだから、たくさんの人が集まるのもうなずける。プロジェクトを共同で運営する一般社団法人ラブテリ(東京・中央)の公認カウンセラーの解説で、セミナーはスタート。まずは、参加者それぞれの測定結果から分類される「7タイプ別体型判定」を知ることから。

※出典:http://www.luvtelli.com/pg9.html
©2015 Luvtelli Tokyo&NewYork.

このシートでは、ふくよか/ぽっちゃり/がっしり/ほっそり/スキニー/スレンダー/ベストスコア、の7つに体型が分類されており、ベストスコアの体型に近づくには体重(筋肉量)を増やすべきなのか、体脂肪を減らすべきなのかといった、自分の現在地がわかる図表になっている。
今回ベストスコアに分類された方は参加者のうち40%いた一方で、肥満度を示す体格指数のBMIが19以下と「やせすぎ」の傾向が見られた人は34%にのぼった(※第3期「まるのうち保健室」参加者のうち20~30代、妊婦・授乳婦を除いた352名の事前測定会の速報結果)。働く女性は、やせの傾向が強いようだ。あるいは食事制限のみのダイエットで筋肉量が減少してしまい、見た目は痩せていても体脂肪率の高い「隠れ肥満」の方も意外と多い、という話だった。

©2015 Luvtelli Tokyo&NewYork.

たしかに、私たちはついつい「摂取カロリー < 消費カロリー」にしなければならないと意識してしまう。「普段デスクワークで身体を動かさないから、食べる量は控えめに……」と思ってしまいがち。だが、それこそがよくないことのようだ。摂摂摂取摂取ーが減るから筋肉量が減る、筋肉量が減るから基礎代謝が落ちる、基礎代謝が落ちるからさらに脂肪もつく、と魔のスパイラルに陥ってしまうのである。安直なカロリーカットは逆に太る。非常に耳の痛い教訓である。改善へ向けたプランニングシートも配布されるので、実際に書き込みながら方策を考えていこう。

ちょっとここで、あなたも自分の目標とすべき体重を計算してみませんか。

目標体重(kg) = 身長(m) ×身長(m) × BMI (19~24)

どうだろう。この数値が、健康で美しい数値。カロリーカットすればいいってものでもないのと同様に、痩せていればいいってものでもないのである。
自分の体型と目指すべき方向性がわかったのちは、骨密度測定やヘモグロビン測定、歩行など日常生活に必要な運動機能が低下する危険度を判定するロコモ度テストの結果についてのフィードバック。貧血の原因や将来寝たきりになるリスクなども交えながら丁寧に解説がなされていた。

「わかった」から「できる」へ。
どう行動すべきかを具体的に教えてもらおう。

身体の測定結果をひととおり理解したら、ベストスコア体型に向けた詳細なメソッドを学ぶ時間である。そう、このセミナーの目的はあくまで健康でイキイキ働く自分になる生活を目指すこと。身体のことを知って終わりでは意味がないのだ。
三菱地所とラブテリがまとめた「第1期働き女子1,000名白書」の結果によれば、多くの女性の多くにとって、身体の不調をなくすために大切なのは、「3大不足の解消」。3大不足とは、「栄養不足」「運動不足」「睡眠不足」の3つのこと。忙しく働く我々は、栄養バランスを考えることも、運動する余裕も、ゆっくり眠る時間もままならない現状に直面している。
そんな3大不足を解消するための、より具体的なメソッドがセミナーの中では紹介してもらえる。食べるべき食材、控えるべき食材、カフェインを抑える時間帯や、家でもできるスクワットなど。とくに栄養素やプチ不調の対策に関しては、症例別の解説と対策、さらにオススメレシピが記載されたカード形式のものがもらえるようになっていた。セミナー後の生活をどのように改善すべきかが、かなり具体的に書かれている。

「今日帰ったら変えられること」を
見つけに行くセミナーである。

最後に、この日の参加者にも少し話を聞くことができた。元々健康意識が高く、待ちに待ってセミナーに参加した方もいれば、乳がんを患ったことを機に身体のことをきちんと知ろうとした人、友達に連れられて気軽に参加した人、様々な声を聞かせてもらうことができた。

多くの感想を聞かせてもらう中で印象的だったのは、どの方も「今日からまずはこれをやる」と決めたことが、ひとつはあること。それは本当にすぐできることで、「帰ったらまずスクワットします」とか「納豆毎日食べる!」とか「今日は夜のコーヒーをやめます」とか。セミナーの内容も、新しく始めなければならないことはほとんどなく、具体的な食材の選び方や、しない方がいい行動を中心としていたので、参加者の方も「まずは」と行動したくなるという気持ちになりやすかったことがうかがえた。

人間、そうそう生活を劇的に改めることなんてできない。だからこそ、「まず今日ひとつできること」をちょっとずつ増やしていけばいい。そういったちょっとした変化が、明日以降の楽しく生きる自分をつくるし、その起点になってくれるのが「まるのうち保健室」なのだ。参加者の声からも、その意義が十分に伝わってくるセミナーだった。ルポライター自身、次の機会には自らのカラダを張って(笑)、体験ルポにしてみたい。という意気込みまで持った次第である。

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