日経ウーマノミクスプロジェクト

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ジブ研セミナーリポート

テーマ:東洋医学のプロが伝授! 夏の冷えがまねく不調をやわらげる方法

食事は温かいものを、半身浴も効果的

そろそろ夏本番を迎えます。外に一歩出れば厳しい日差しと暑さにさらされますが、冷房が効いたオフィスにいると、大敵の「冷え」が襲ってきます。どうすれば夏を快適に過ごすことができるのでしょう。日経ウーマノミクス・プロジェクト実行委員会は6月23日、西武池袋本店(東京・豊島)で「東洋医学のプロが伝授! 夏の冷えがまねく不調をやわらげる方法」と題して夏の冷え対策を紹介する「ウマノミゼミナール特別編ジブンらしさ研究セミナー」を開催しました。講師は東京女子医科大学准教授で東洋医学研究所副所長の木村容子さんです。

誰もが冷えを感じやすくなった現代

東洋医学を専門とする医師(医学博士)で、女性の体の不調に関する著作も多い木村さん。まず「冷えは万病のもとであり、慢性化は老化や病気の危険性も高めてしまうため注意が必要です」と、冷えの怖さから切り出しました。高齢化に加え、オフィスなどの環境整備が進んだことで、昔に比べて誰もが冷えを感じやすくなっていると分析します。

冷えのタイプは3つに分類できるそうです。手足や足先に冷えを感じる「血行不良タイプ」、お腹のまわりに冷えを感じる「胃腸虚弱タイプ」、そして背中や全身に冷えを感じる「新陳代謝低下タイプ」で、最後が最も重症です。免疫機能は深部体温が37℃前後でよく働くため、体を温めることで冷えの改善をすることが必要だと言います。

続いて、冬とは違う夏の冷えについて話題が移りました。夏の冷えは①冷房の効いた部屋で長時間働く②冷たいものを常用する③外気の暑さと室内の冷房による寒暖差によって自律神経が乱れる――の3つが原因と指摘。具体的な解決法として、冷たい飲み物やアイスクリームなど、喉越しを楽しむために最初に冷たいものを飲食するのはよいけれど、「そのあと氷なしや常温のものを取るようにしたり、冷や奴やそうめんなどの冷たくした料理を食べるときはショウガ、ネギやシソなど体を温める薬味をあわせて取るようにしたりしましょう」とアドバイスがありました。特に冷房が効いた室内に長時間いるときは、胃腸虚弱タイプの冷えにならないように、意識して温かいものを飲食するのがよいそうです。下半身を温める半身浴や、睡眠中にお腹を守ることも夏の冷え対策になると強調します。

運動、風呂、呼吸法で自律神経整える

猛暑になるほど、室内と外の温度差が開き、自律神経が乱れてしまいますと木村さん。乱れた自律神経の働きを整えるために大切なのは食事、便通、睡眠のリズム、そしてストレスをため込まないようにすることだそうです。自律神経が乱れにくくなる方法として、適度な運動に加え、風呂とリラックス呼吸法を紹介しました。

週に2回ぐらいはぬるめの風呂で半身浴をしましょう。体を温めて発汗を促すことは、体温調節につながるので、自律神経の乱れによる夏の冷え対策としてお勧めです。ただし、お風呂上がりには水分補給を忘れないようにしましょう。リラックス呼吸法は木村さんの実演付き。寝ているときの呼吸をイメージして、目をつむり、下腹部の丹田(たんでん=へそから指3本から4本分程度下)を意識し、鼻から息をお腹一杯吸い込みます。約5秒間息を止めて、口からゆっくり10秒くらいかけてお腹を引っ込めながら息を吐きます。これを数回繰り返します。丹田に手を置くのもよい方法とのこと。参加者のみなさんも、さっそく実践していました。

セミナー後の質疑応答でも多くの人から手が挙がり、夏の冷えに高い関心が寄せられていることがわかりました。参加者からは「自律神経の乱れが冷えに関係しているとは知らなかったので、ストレスなどにも気をつけようと思いました」(20代会社員)、「薬味を使ったり、シャワーでなくお風呂に入るようにしたりして、夏の冷えを解消したいです」(40代会社員)など、教わった対策を役立てたいという声が多く聞かれました。できることから取り入れて、今年の夏は冷えに負けずに過ごしたいですね。

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