過去開催イベントのレポート

野菜と料理で身も心も輝こう

丸の内キャリア塾スペシャルセミナー「~8月31日は『野菜の日』~身も心も輝く!ジブン磨きのススメ」

 8月31日の「野菜の日」にちなみ、食事と美容に関心がある女性たちを集めた「身も心も輝く!ジブン磨きのススメ」セミナー(主催:日本経済新聞社クロスメディア営業局、共催:JAグループ)が8月30日、東京・大手町のJAビル4階にある農業・農村ギャラリー「ミノーレ」で開かれました。そろそろ真夏の疲れが出やすいこの時期。旬の野菜をおいしく食べて、暑さに負けないパワーと美容にも欠かせない栄養を取り入れた料理で、一歩進んだ自分やワンランク上の私を目指してもらうための企画です。

 この日は東北地方に上陸した大型の台風10号の影響が残る天候でしたが、応募者の中から10倍の抽選を経た約70人の女性たちが参加しました。2人のエキスパートが専門分野を噛み砕きながら解説し、質問にも答えてくれた100分間をご紹介します。

 野菜の日は1983年、全国青果物商業協同組合連合会などの団体が野菜をもっと知ってもらいたいとの思いから、や(8)さ(3)い(1)を語呂合わせして生まれたといわれています。シニア野菜ソムリエでベジフルビューティーアドバイザーの肩書きをもつ西村有加さんは、全国で5万人を超す野菜ソムリエの中でも初めて「シニア野菜ソムリエ」と「ベジフルビューティーアドバイザー」という最高峰の資格を取得したスペシャリストです。「野菜でキレイ・プロジェクト」も主宰し、全国を駆け回っています。

 まずはトマトとスイカのスムージーで乾杯しました。でも何か変です。見た目が赤ではなく土色なのです。何の野菜が入っているのでしょうか。会場では舌を動かしながら首を傾げる人も見られます。正解は「モロヘイヤ」でした。続いてトマト、フルーツトマト、アボカド、イチゴ、ゆずが登場しました。さてこれらは野菜ですか、果物でしょうか。見分け方は草本性と木本性の違いにあるそうです。この結果、トマト、フルーツトマト、イチゴの3つは野菜に分類されます。さらに西村さんは旬の野菜を食べる大切さを説きます。春野菜の新キャベツやアスパラガスには体内の毒素を流してくれる成分があり、身体を目覚めさせます。トマトに代表される夏野菜は身体を中から冷やします。サツマイモなどの秋野菜は冬に向かう身体を作ります。土の中で育つダイコンなどの冬野菜は身体を中から温めます。こんな調子でだんだんと「旬の野菜から活力とキレイを手に入れる野菜の食べ方」の本題に迫っていきます。その秘訣は「様々な色の野菜を摂ることにある」と明快です。赤には抗酸化力が強いリコピン、橙はニンジンに多く含まれるベータカロテン、緑は体内の酵素の巡りを促すクロロフィル、紫は眼精疲労予防が期待できるアントシアニン、白は辛味や刺激臭がある硫化アリルが含まれています。これらをできるだけあわせて食べることが美容のポイントになります。

 かつて証券会社や外資系コンピューター会社に身を置き、ストレスと戦いながらあきらめずに自分の道を切り開いてきた西村さん。「私は野菜を組み合わせて食べることで吹き出物が出なくなりました」との告白や「弱みを克服することに力を注ぐのではなく、自分の強みが突出するくらいまでに伸ばせば道は開ける」との体験談には説得力がありました。

 「料理で目指す、ワンランク上のジブン」をテーマに料理の基本を分かりやすく語った小野茜さんは、ABC Cooking Studioの新規事業プロデユーサーです。料理はつくることと食べること。大きくこの2つのシーンに分けられますが、どちらにも重要なのは「必ず高い意識をもってのぞむことだ」と小野さんは言います。そして料理で覚えておくべきことを今話題のアイドルグループ「SMAP」の頭文字をなぞって解説してくれました。「シンプル」であること。「ミスマッチ」つまり食材との以外なギャップや組み合わせがあること。「アーティスティック」な遊び心や独自性をもつこと。「フォトジェニック」見栄えも意識することです。買い物は週末に一回で済ませたり、一回の調理時間は15分以内にしたり、素材と調味料にこだわるといった実践的なアドバイスもありました。やはり料理を生活として習慣づけるためには身体で覚えることが一番のようです。小野さんは「食べることが生きることならば、料理はまさに生き方を左右する、とても大切な営み。そう思って自分にできることから始めましょう」とエールを送っていました。最後に「料理も仕事も同じ。深く考えることを日ごろからやっていると力がついてくるのが体験的にわかります」と力強く話しました。

 野菜や料理を通して生活スタイルやキャリアにも踏み込んで語ってくれた西村さんと小野さんを前に、会場では熱心にメモを取ったり、頷いたりする光景が随所に見られました。帰り際、ある参加者は「私は仕事で少し落ち込んでいましたが、今夜は勇気付けられました。話をもっと聞きたかったので、早速SNSで西村先生のセミナーに申し込みました」と、表情は明るく、足取りも軽やかでした。

 まだ残暑が厳しいとはいえ、暦の上ではすでに秋。農作物が豊かに実る田畑ではトンボが飛びかっています。一方でこの夏、日本列島各地を襲った台風で、被害を被った農家もあります。私たちが食べること、そして生きることは、そうした現実にも思いをはせることから始まるのではないでしょうか。

スムージーの謎解きをする西村さん
料理も仕事も体験を披露する小野さん
質問にも丁寧に答えていただきました