過去開催イベントのレポート

いきいきと働くために大切なこと

第4回「女子学生のためのキャリアセミナー」開催

 女性活躍推進法の成立など社会で女性の活躍を応援する動きが広がっています。今、働く女性を取り巻く環境はどうなっているのか、どのような意識や行動で仕事に取り組めばいいのか――これから社会に羽ばたく女子学生は卒業後の進路を含めて様々な不安を抱えていることでしょう。日経ウーマノミクス・プロジェクトが2月18日(木)に日経本社(東京・大手町)で開催した第4回「女子学生のためのキャリアセミナー」には女子学生73人が参加、社会で活躍する先輩女性たちの話を通じてこれからの人生を豊かにするヒントを探りました。

 最初に講演に立ったのは一般社団法人日本能率協会の長沼明子さんです。個人の成長や組織の活性化に熱心な企業を表彰する事業などを担当しており、その経験から「いきいきした会社は社員が自ら考えて動いています。そんな組織であれば、働きながら自らが成長できます」と学生たちに語りかけました。「社会人になっていきいきと働くためには、成長の機会が多い会社に注目すること、チャレンジを楽しむこと、常に外に目を向けることが大切」と指摘し、「前向きな思考がいきいきとした会社を引き寄せます」とアドバイスしました。

 続いて日経新聞女性面の佐藤珠希副編集長が講演し、「仕事で頑張る女性を国も社会も企業も本気でサポートする時代が到来した」と最近の環境の変化を解説しました。そのうえで社会に出て活躍するために学生時代からやっておきたいこと、女性が幸せに働き続けるために意識すべき2つのことなどを紹介しました。

 その後のパネルディスカッションには大手企業3社から入社6~10年の社員が登壇しました。

 東京海上日動火災保険の島谷惠美さんは学生時代にリーマン・ショックがあり、就職活動は苦労したそうです。とにかく数多くの面接を受けることで「飾らずに嘘偽りなく自分を表現できるようになったのがよかった」と振り返りました。入社後は金融機関向けの営業推進などをしています。担当したある仕事で関係各所の意見調整に気を配るあまり、自らの方向性を見失ったという失敗談を披露してくれました。その教訓として「自分に任された仕事は、自分がどうすべきかをしっかり考えることが大事」とのメッセージを学生たちに伝えました。

 スズキの平井利枝さんも「自分で考え抜き、ぶれないことが大切」との思いを語りました。平井さんは昨年発売の3代目「アルトラパン」のカラーデザインを担当したデザイナーです。女性向け軽乗用車ですが、平井さんには1代目と2代目は「男性目線の女性向けデザイン」に見えました。「私は本当に女性が欲しいと思う視点でデザインしようと思いました。男性の固定観念を崩すため、アンケートや市場調査の数字を示して上司の説得に努めました」。努力が実り、アルトラパンは「カラーデザイナーの思いが細部にまで生かされ、世界観を構築している」と評価され、昨年末に日本流行色協会が主催する賞のグランプリを獲得しました。

 鹿島の村上理恵子さんは関西支店と東京建築支店で土木・建築現場に常駐する経験があり、なかでも「羽田空港国際線旅客ターミナルの竣工式や京阪中之島線のトンネル貫通式のときは感動が大きかった」とゼネコンの仕事の魅力を語りました。今は東京でリニューアル工事現場の事務を担当。2歳児の母親として育児も奮闘中です。「仕事も家事も優先順位をつけ、緩急をつけられれば両立可能。男性社員と仕事量は変わりませんが、午前8時から午後4時までに仕事を終えて帰るように努力しています」と自らの工夫を話してくれました。

 セミナーで興味深い話を聞いた学生たちは、交流会の場で登壇者を囲んで質問攻めです。予定時間が過ぎてもトークは終わりませんでした。この日の先輩女性の姿と言葉が、学生たちのこれからの人生の糧になるのは間違いないでしょう。

社会人になって「いきいきと働く」ためのポイントをアドバイス
異なる業界で活躍する先輩女性が経験談などを語ったパネル討論
スズキ
東京海上日動火災保険
鹿島
日本能率協会