STORY 東京海上日動火災保険 vol.19

「女性が働きやすい」をお手伝い、私が健康経営を勧める理由

東京海上日動火災保険 神戸自動車営業部
飛嶋 静香さん

「女性が働きやすい職場づくりをお手伝いしたい」。東京海上日動火災保険の飛嶋静香さん(31)は、こんな視点で営業担当先の自動車販売会社(ディーラー)に役に立つ提案を続けてきた。今はこれに加え、男女を問わず従業員全ての健康増進を意識した「健康経営」を勧め、その導入支援に力を入れる。パートナー企業の従業員が健康で働き続けられるように、そして企業の成長と発展につながるようにとの思いを込めて。

ビジネスパートナーの突然の訃報

飛嶋さんは東京海上日動の神戸自動車営業部営業第三課に所属。担当する兵庫県内の自動車ディーラーに、車の購入者に対して自社の保険商品の加入を勧めてもらう営業活動をしている。ディーラーの自動車販売担当者と一緒に、車の購入先を訪ねることも少なくない。2017年6月のある日も、ディーラーの販売担当者とともに顧客企業に行く約束をしていた。ところがその日は待ち合わせ時間についてメールを送っても返信が来ない。「どうしたのだろう」と心配していたら、それから1時間後、その担当者が亡くなったとの知らせを受けた。

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飛嶋静香さんは転居を伴う異動がないエリアコース社員。兵庫県内の自動車ディーラーへの営業を担当する

働き盛りのベテラン営業マンだった。急に発作を起こしたのだという。「たいへんお世話になっていた」というビジネスパートナーの突然の訃報。「そういえば最近は少し元気がないな」と気になっていた。一緒に働いていた人がある日突然亡くなったショックは大きく、深い悲しみに見舞われた。

飛嶋さんは09年に東京海上日動に入社して以来、神戸自動車営業部で自動車保険の営業を9年にわたって担当している。上司の谷尾卓郎課長によると「彼女はディーラーさんに育ててもらったという感謝の念があり、ディーラーさんに貢献したい、お役に立ちたいという気持ちがひときわ強い」という。それだけに突然の悲しい出来事は、飛嶋さんの心に深く刻まれた。

自動車ディーラーに女性向けセミナーを企画

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「女性社員が活躍しやすい環境は、会社経営にとってプラスになる」

保険商品の販売だけでなく、顧客企業の経営に資する提案をすることが重要だと考える飛嶋さんは、女性が働きやすい環境づくりの提案に力を入れてきた。「女性がいるディーラーさんの店舗は雰囲気が明るいし、顧客満足度も高い傾向がある」とみており、女性社員が長く働き続けられればディーラーの経営にとってもプラスになるとの思いを抱いていた。

世間では女性活躍の機運が高まり、担当先のディーラーも女性社員の活躍推進に取り組み始めていた。ちょうどタレントの北斗晶さんが乳がんを告白して注目されていた頃、飛嶋さんは「早期発見の重要性などを啓発することで、女性が長く働くことを会社としても支援できる」と女性社員向けの乳がんセミナーを提案。担当するディーラーから採用され、16年6月、約30人の女性を前に飛嶋さん自らが講師となって45分間のセミナーを実施した。

セミナーの手応えは想像以上に大きかった。参加者からは「知らないことが多かった。勉強になった」との声が寄せられ、対象を拡大して女性社員向け研修を追加実施することが決まった。普段の仕事に加えて、自らが講師となるための勉強は負担が大きいが「ご存知でないノウハウを提供することでディーラーさんに喜んでいただける」と苦にはならない。それよりも「自らの提案を受け入れ、セミナーを自分に任せてくれたことがうれしかった」。

健康経営「ホワイト500」の取得を全面支援

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「健康経営」を勧めるため、日本健康マスター検定(健検)のエキスパート・コースを受験し一発で合格した

乳がんセミナーの手応えを受け、飛嶋さんはさらに提案の幅を広げた。人生100年時代を生きるためのライフプランセミナーや、兵庫県内のディーラーで働く女性社員向けのキャリアアップセミナーも企画・実施した。そんな最中にビジネスパートナーの悲しい出来事が起きた。女性はもちろん男性も含めて全ての働く人の健康に留意した「健康経営」という取り組みをパートナー企業に広げていきたい。飛嶋さんはこんな思いを強めた。

東京海上グループでは、持ち株会社の東京海上ホールディングスが経済産業省と東京証券取引所による「健康経営銘柄」に保険業界で唯一選定され、グループとして顧客企業の「健康経営」支援事業の強化に乗り出していた。飛嶋さんは担当するディーラーの人事担当者から社員の採用や定着に苦労しているとの悩みを聞いていた。そこで、会社として社員の健康の維持・増進に取り組めば、雇用面でもプラスになり、生産性の向上につながると健康経営を提案。何よりも社員が急に倒れる・亡くなるといった事態を予防しやすくなると熱く訴えた。

ディーラー幹部はその場で飛嶋さんの提案を採用した。具体的には対外的にアピールできる経産省の健康経営優良法人「ホワイト500」の認定取得を目標に据えることとなった。提案したのは17年6月下旬。最初の書類申請の期限の10月までは約4カ月。社員の健康診断受診率や再診率、メンタル不調者の復職率など申請に必要なデータを過去に遡って集め、会社としての方針などとともに短期間でまとめなければならない。東京海上日動として全面的なバックアップを約束し、そこから申請に向けての日々が始まった。

いつも明るく元気に笑顔でいること

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谷尾卓郎課長(左)と話す飛嶋さん。「仕事ではチームワークの力が何よりも大切」と強調する

飛嶋さんは神戸自動車営業部の上司・先輩・同僚、さらに東京本社の健康経営の担当者の力を借りながらディーラーと一緒になって準備を進めた。「一人の力だけでは絶対に無理だった。チームで仕事をするという大切さを体感した」と申請作業を振り返る。申請を翌年に先送りする可能性もあった。しかし飛嶋さんは早い取得のほうが効果は高いとディーラーに説き、理解と協力を得て、期限までの申請にこぎつけた。

「いつも明るく元気に笑顔でいること」「諦めないでいること」を飛嶋さんは心がけている。新人だった時代、担当したディーラーの店舗で、他の損保会社のベテラン社員がいつも頼られている状況を目の当たりにした。経験と知識で及ばなくとも、自分も担当であることを認めてもらわないといけない。そのときから他人に負けないものとして、「元気に挨拶をする」「いつも気配り目配り心配りを」「自分にしかできないことをお客様に届ける」の3点を意識してきたという。短期間で行ったホワイト500の申請作業も、その気持ちを忘れなかった。チーム一体となって準備を進め、ディーラーとのパイプが一段と太くなったと感じた。

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「人と話すのが大好き」。新人時代に人脈づくりの大切さを学んだという

申請から約4カ月後の18年2月20日、ホワイト500の企業が発表された。今年認定されたのは541社。そのなかに飛嶋さんが担当したディーラーも健康経営優良法人として見事に含まれていた。「認定取得に向けてディーラーさんが一緒になって前向きに取り組まれた結果であり、感謝の気持ちでいっぱいです。これからもディーラーさんが発展し続ける一助となりたい」。飛嶋さんは笑顔でこう語ると、早速、担当ディーラーに足を運び、ホワイト500の認定をこれからどのように有効活用していくか、詳細な打ち合わせに入った。

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