イベントリポート

「可能性は無限大~私らしく働くということ」 三重県で初のイベント

三重県は「働き女子のモチベーション向上支援事業」の一環として、日経ウーマノミクス・プロジェクトと連携した施策を2016年度後半に相次いで実施しました。第一弾として「可能性は∞(無限大)~私らしく働くということ」と題したシンポジウムを16年11月に開催。日経ウーマノミクスとしては初となる三重県内のイベントに、定員いっぱいの約100人の女性が来場し、熱気あふれるスタートとなりました。続いて17年2月には連続講座として定員30名の少人数キャリアアップセミナーを2回開催。参加した女性が長期的な視点で自らのキャリアを考える機会となりました。

パートナーを「ワーク・ライフ・バランス王子」にするコツ

第一弾のシンポジウムは16年11月23日(祝)、三重県男女共同参画センター「フレンテみえ」で開きました。まず、ワーク・ライフバランス社長の小室淑恵さんが「仕事も家庭も両立できる!決め手はワーク・ライフ・バランス」のテーマで講演しました。ワーク・ライフ・バランスの概念があまり知られていなかった時代からその重要性を説いてきたフロントランナーの小室さんだけあって、なぜ今、働き方を見直すことが必要か、説得力ある説明が次々と展開されました。「ライフが充実すれば人脈、アイデア、スキルが得られて結果的にワークの質と効率が高まる」とワークとライフの相乗効果についても分かりやすく説明していました。

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ワーク・ライフバランス社長の小室淑恵さんによる講演。会場には約100人の女性が集まった

普段は企業幹部などに対し、働き方改革の必要性を説くセミナーに登壇することの多い小室さんですが、今回は聞き手が女性ということで、パートナーを「ワーク・ライフ・バランス王子」にするコツについて触れたり(信じて任せて育てること、が大事だそうです)、三重県内企業の働き方改革先進企業の事例を紹介したりと独自のエッセンスを追加。三重県の女性にとって非常に関心の高い内容となり、メモを取りながら真剣に聞き入る姿が多く見られました。

「隗より始めよ」三重県の育休取得奨励の効果

基調講演に続く、小室さんと三重県の鈴木英敬知事の対談セッションでは旧知の仲という2人のフランクな議論が展開されました。明瞭な語り口、大きな声量で一言一言に大変強い印象を残す鈴木知事。女性の活躍を応援する県の取り組みや県内女性の働き方の課題について紹介した後、「イクメン」として知られる知事らしく「三重の育児男子プロジェクト」について説明がありました。「隗より始めよ」の精神で、県庁における育休取得を奨励した結果、育児休業取得者が過去最高に増えたことなどに触れ、県のリーダーとして「空気を変える」「チャレンジする」ことの重要性を説いていました。

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小室淑恵社長と三重県の鈴木英敬知事の対談。ワーク・ライフ・バランスの効果について熱い議論を繰り広げた

また、他の自治体に先駆けて長時間労働是正に取り組んできたことも紹介。ワーク・ライフ・バランスに優れた企業が増えるほど、女性が働ける場所が増えることにもつながり、ひいては地方創生につながり、地元に活力を与えるという好循環についても持論を展開し、ワーク・ライフ・バランスのもたらす波及効果、相乗効果について強い思いを持つ小室さんと活気あるやり取りを繰り広げました。

エネルギッシュな対談に続き、菓子や飲み物を囲んで開いた交流会にも多数の参加者が出席しました。最初は遠慮がちだった参加者たちも、少しずつ打ち解け、仕事やプライベートの話が弾み、今回のシンポジウムの大きな狙いの一つであった「ネットワーキング」にいそしんでいたようでした。また、冒頭のみ参加予定だった鈴木知事も、女性たちの熱いパワーに直面してか、予定をずらして交流会後半まで丁寧に名刺交換&ご挨拶の列に対応してくれました。自社の取り組みについて社を代表して知事に紹介したい、など熱心に説明する方が多かったようです。

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鈴木知事は急きょ予定を変更。交流会後半まで会場に残って参加者と意見を交わした

連続講座「みえの輝く女子キャリアアップセミナー」

2017年2月の連続講座「みえの輝く女子キャリアアップセミナー」は、自身のキャリアをもっと高めたい、より可能性を広げたいと願う女性を対象に開催しました。第1回目となる2月4日のセミナー「自分スタイルで働く!女性の新しい働き方」には、女性起業家の草分けで、主婦層を中心に多くの女性のキャリア形成を支援してきたキャリア・マム社長の堤香苗さんを講師に招きました。参加者がペアとなり、子供の時から自分が何をしてきたか、何が得意か、何を楽しいと思うか、夢は何かなどについて発表し合うワークでは、各チームとも昔話に花を咲かせ、大いに盛り上がりました。

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「自分スタイルで働く!女性の新しい働き方」と題した堤香苗さんによるセミナー

働き方改革が迫られるなか「オフィスでのフルタイム」「残業ができない人はお断り」といった従来型のワークスタイルは変革を迫られています。「(今の女性には)在宅ワーク、起業など様々な選択肢があるので勇気をもって第一歩を踏み出してほしい」というメッセージが随所に込められたセミナーとなりました。

2月26日に開いた2回目のセミナー「キャリアビジョンの描きかた~軽やかに、しなやかに、私らしく生きるために」の講師はビジネスコーチとして企業研修などで活躍中の猪俣恭子さん(story I 社長)です。セミナーが始まるやいなや「5人の人と自己紹介をしてください」というお題が飛び出し、皆さん笑顔で次々と自己紹介をされ、場が一気に和みました。その後、「子供のころ何になりたかったか」「モデルにしている人は誰か」「どうして今の仕事を選んだのか」などを2人1組で発表しあったうえで、実際に未来を描く作業にも取り組みました。「目標が何年先かに関わらず、それに向けて今から小さな一歩を踏み出すことが大切」だそうです。

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猪俣恭子さんによるセミナーでは参加者が未来を描く作業に取り組んだ

また、人間が一番影響を受けるのは「自分が発する声」との指摘がありました。それゆえに目標を立て、それを自ら認識すること自体が大きな一歩につながるという説明に、少し驚きつつ、うなずかれる方が多かったようです。セミナー全体を通じて2人1組などでの議論が非常に盛り上がり、「みえの輝く女子キャリアアップセミナー」の名称にかけて、「既に皆さん輝いていらっしゃいますね」とお褒めの言葉を講師の先生からいただいてセミナーを終えました。

 シンポジウムとセミナーの参加者からのアンケートでは「長期的にキャリアを継続することに前向きになった」と回答した女性が8割を超え、公私ともに様々な課題に悩みがちな女性たちの背中を後押しするイベントになったようです。「育児などでいったん離職することが多い三重の女性に長期的なキャリアを考えてもらうこと」が目標の1つであった今回のプロジェクト。参加してくださった女性の皆さんが、一人でも多く、長期的かつ実り多いキャリアを進んで行ってくださることを願って止みません。

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