日経ウーマノミクスプロジェクト

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ジブ研セミナーリポート

テーマ:発信力を高めてビジネスを円滑に

話す順序は主張、理由、事例そして主張

 仕事のプレゼンテーションがうまくいかない。日常の会話でも交流サイト(SNS)でも、なかなか相手に思いが伝わらない。そんな悩みを解決するキーワードは「発信力」です。日経ウーマノミクス・プロジェクト実行委員会は10月27日、西武池袋本店(東京・豊島)で「発信力を高めてビジネスを円滑に-プレゼンテーションスキルの磨き方」と題した「ウマノミゼミナール特別編ジブンらしさ研究セミナー」を開催。経営コンサルティングを手がける朝6時(東京・港)代表の池田千恵さんが、発信力の磨き方を伝授しました。後半では発信力を高めるために効果的なスーツスタイルについて、池田さんと働く女性のビジネススタイル雑誌「OWN」編集長の波多和久さんが対談しました。

情報発信は早く、短く、分かりやすく

 もともとは発信が苦手だったという池田さん。何かを伝えるとき、「自分と相手のゴールにはズレがあるので、ギャップに架け橋をかけることが重要です」と話し始めました。うまく架け橋ができると、プレゼンや企画は魅力的に、SNSやブログでは多くの反響が集まるようになります。そのために必要な3つのポイントを解説しました。

 そもそもなぜ発信力が大切なのでしょう。2009年の総務省調査によると、私たちは1日当たりDVD換算で2.9億枚相当の情報を浴びていました。8年後の今、さらに増えているのは明らかです。あふれる情報の中で相手に伝えるには「『早く』『短く』『分かりやすく』がカギになります」。自ら声を出さないと気づいてさえもらえない時代。「伝わる言葉を使う」→「理解される」→「発言力がつく」→「検索される」→「望みがかなう」という流れをつくりあげることができれば、しめたもの。つまり「検索される力を身につけることが重要」と池田さんは訴えます。

 加えて、他人の協力を得ることも欠かせません。女性は概して、相手に細やかな配慮をするのが得意。同じ発信力でも、気配りをすることで自然と周囲からもり立てられるような「しなやか発信力」を身につけようと勧めます。

プレゼンはプレゼントする気持ちで

 発信は心構えで変わるということも覚えておきましょうと池田さん。苦手な人は相手を敵と考え、自分が攻撃されたらどうしよう、と思いがちなのだそうです。だから身を守るためについ自分のすごさばかり伝えてしまいます。それではダメ。主語を私(I)1割、あなた(You)9割ぐらい、私がすごいではなく、あなたにとってお得でしょうと共感を得るようにしましょう。「プレゼンの語源はプレゼント(贈り物)です。プレゼンは相手にプレゼントをしている意識を持つといいですね」

 最後のポイントはどうすれば伝わりやすくなるのか、です。池田さんは「PREP法」を強調します。Point(主張)→Reason(理由)→Example(事例)→Point(主張)だからPREP。つまり主張で挟み込むわけです。「私はこれを提案します」「理由はこれです」「あなたにこんな良いことがあります」「だからこれを提案します」というスタイルです。「繰り返し練習することで身につきます」と池田さん。発信は苦手という人も、克服する過程を楽しんでほしいとエールを送りました。

合わせやすいジャケットとワンピース

 OWN編集長の波多さんが登壇した後半は、相手に伝えるための武器となるスーツスタイルについて、池田さんと意見を交わしました。

 「日本人男性は世界で最もスーツを着ていますが、女性はカジュアル化が進み、一部ではリゾート化と言われるほどくだけたファッションになっています」と波多さん。男女がチグハグで、不釣り合いな部分があるため、女性にもっとジャケットを着てほしいと雑誌を創刊したのだそうです。

 シーン別のお薦めスタイルはという池田さんの質問に対し、波多さんは「プレゼンなどで迫力を出したいときはカチッとしたテーラードジャケット。堅くない席なら柔らかい雰囲気を演出できるノーカラーのスーツもいいですね」と言います。アクセサリーは真珠(パール)が一押し。プラチナ、シルバーも適しています。ビジネスシーンでは大きなネックレスなど揺れるものは控えたほうが無難とアドバイスします。

 普段は着慣れないとジャケットを敬遠する人もいるようですが、素材が進化してシルエットも多様になり、カーディガンとジャケットの中間といったイメージの製品も出ているとか。洗えたり、しわがつきにくかったりする素材も増えていると解説します。

 「ワンピースが好きで、ジャケットと組み合わせて着ているんですが」と池田さんが話を向けると、「合わせるのも楽で、女性の七難を隠す人気の組み合わせですね」(波多さん)。

 ジャケットに合うワンピースを選ぶコツとして、フォーマルな場や会議なら同じ素材、カジュアルな場でも少しセンスは必要ですが同一素材の方が取り入れやすいとみています。スカート丈は膝が隠れるくらいで。「スーツやジャケットは説明がいらなくて、最大の時短服。相手に自分を説明しなくても信頼を得られ、すぐビジネスの話が始められます。スーツやジャケットのメリットを生かしながら、楽しんでいただけたら」と波多さんがまとめました。

 質疑応答の時間でも多くの質問が出ました。参加者からは「発信の仕方は仕事だけでなく、普段のコミュニケーションでも使えそうです」「メールで全社員に発信することが多いので、教わったことをすぐ役立てられると思いました」など満足する声が多く出ました。

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