イベントリポート

「立食パーティーをエレガントに楽しもう」名門ホテルでマナーを学ぶ

ホテルオークラ東京と日経ウーマノミクス・プロジェクトのタイアップセミナー第7弾となるマナー講習が3月5日に開催されました。今回のテーマは「立食パーティーをエレガントに楽しもう」。立食パーティーではついつい料理をお皿にてんこ盛りにし、なかなかエレガントに振る舞えない日経ウーマノミクス・プロジェクト事務局スタッフ(37)が、受講生の一人として参加した体験記をお届けします。

春を演出するスイートピーとミモザとともに

会場となったのはホテルオークラ東京のオーチャードルーム。広々としたクラシックな空間には7人がけの円卓が8つ、その周囲には所狭しと料理が置かれたテーブルが配され、立食用のハイテーブルが立ち並んでいます。ステージ上の講師テーブルには春の花、ミモザ。円卓にはスイートピーが。色とりどりに盛り付けられた料理とともに、春の訪れを演出しています。

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前菜の一品「スプーンに盛り付けたプティオードブル」は優しい朱色のエビと緑のアスパラ、黄色い花びらが春らしさ満点

午後7時。参加者のウーマノミクス会員のみなさんがそろい、講習が始まりました。初めに一般社団法人日本ブッフェ協会の代表理事、東龍さんによるスピーチです。「フランス料理のマナーは知っていても、ブッフェのマナーはないと思われがち。エレガントに楽しむマナーを知れば、より楽しくおいしく食べられます」と会場に語りかけます。

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一般社団法人日本ブッフェ協会の代表理事、東龍さん

本日の講師はホテルオークラ東京・宴会サービス課の櫻本竜二さん。勤続32年のベテランで、バーやフランス料理レストラン「ラ・ベル・エポック」などでキャリアを積んできました。「CBについてのマナー講習を実施するのはオークラでも初めて」と櫻本さん。「CB」とはカクテルブッフェの略で、立食パーティーのことをいいます。ちなみに料理を取って、着席で食事をするのはシット・ダウン・ブッフェ(SDB)と呼ぶそうです。

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約50人の参加者がホテルオークラ東京・宴会サービス課の櫻本竜二さんの説明に聞き入った

テーブルマナー講師の資格も持つ櫻本さんが先生を務めるこの日の講習。正しい食器の使い方や、きれいに見える食べ方などを身につけるのが主なテーマかと思いきや、「きょうの目的はみなさま仲良しになっていただくことです」。立食パーティーでは自由に動いて好きな料理を食べることができますが、そもそもパーティーは交流を楽しむもの。食事と同じくらいコミュニケーションを大切にしてほしいと櫻本さんは説明します。

エレガントとは「友達になりたいと思わせる」こと

まずは前菜です。おしゃれなスプーン型の食器に盛られた華やかなオードブルが食欲をそそります。けれど、「きょうの前菜は人数ぎりぎりしか用意していません」。参加者に行き渡るように加減して自分の分を取る。エレガントな立食の楽しみ方の第一歩です。

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「エレガントに」と思うと、料理を取る手も恐る恐るに

「立食は食べ放題ではない」「全種類食べようとしない」など、これまでの立食パーティーでの自分の振る舞いを思い出すと耳の痛い話が続きます。パーティーのスピーチ中は会話を中断する。汁気のあるものとないものを同じ皿に取らない。こうした「べからず集」は堅苦しく感じてしまう面もあるかもしれませんが、みんなで気持ちよく食事するためにはどれも当たり前のことです。エレガントとは「友達になりたいと思わせる」ことだと櫻本さんは強調します。

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マナーの練習でも、本格的な料理を楽しめるのがこの講座シリーズの特長

一方で、意外だったのは好きな料理から取りに行って構わないこと。立食では料理テーブルの端から長い列ができ、ベルトコンベヤーのように順番に取っていく光景をよく見ますが、会が始まるまえに全体を見て回り、目星をつけておいた料理のところに初めから行っていいとのこと。その代わり量の取りすぎはNGです。自分が食べきれる量だけを取るのが基本ルール。一緒に参加した友達の分まで取る人も少なくありませんが、マナー違反だそうです。

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アシスタントの上田いづみさんがサーバーで器用にサーモンを取り上げると「すごい」「難しそう」とため息が広がった

続いてアシスタントの上田いづみさんによる料理の取り方の実演です。大きなスプーンとフォークを組み合わせた「サーバー」を片手で器用に動かして柔らかいサーモンを皿に載せていきます。いざ自分で見よう見まねで同じように取ろうとすると、力加減が難しくサーモンの身が崩れてしまいました。扱い慣れないサーバーで皿に料理を並べていくと・・・とてもエレガントとはいえない一皿のできあがりです。

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日経ウーマノミクス・プロジェクト事務局スタッフ(37)のダメな一皿。つい欲張ってしまい・・・

緑鮮やかなスペシャルカクテルに炎のクレープ

講習の最初は座学だったため、前菜を皿に取ったら席に戻っていただきましたが、メイン料理は立ったまま、参加者同士で自由に交流を楽しみます。ブッフェのように自分で料理を取りに行く食べ放題のスタイルを日本で「バイキング」と呼ぶのは映画に由来したネーミングであること、西洋のマナーにはフランス式と英国式の2種類があることなど、食事のあいだも櫻本さんからさまざまな角度からの解説が続き、飽きさせません。

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櫻本さんの軽妙な語り口の講座は、雑学たっぷり、とっておきの秘話たっぷり

会場の一角にしつらえられたバーカウンターに登場したのは「2018 サントリー ザ・カクテルアワード」でロングカクテル部門の最優秀賞を受賞した中野賢二さんです。巧みな手つきでシェイカーやお酒のボトルを操り、受賞作品のカクテル「和ごころ」をグラスに注いでいきます。緑茶やゆずのリキュールを使った緑色が鮮やかな和ごころはとてもさわやかで、「飲みやすい」と参加者同士の会話も弾みます。

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カクテルコンテストで最優秀賞を受賞した中野賢二さんの華麗な手つきに参加者の目はくぎ付けに

メイン料理の後はお待ちかねのデザートです。ミニサイズのかわいいケーキに目を奪われるかたわらで、宴会サービス課ヘッドウェイターの大竹康弘さんの実演が始まりました。ホテルオークラ東京名物のクレープシュゼットです。オレンジの果汁をたっぷり含ませたバターをフライパンで溶かしていくと豊かなかんきつの香りが。そこでクレープを3種類のリキュールに浸し、火をつけると青い炎が広がります。最後はらせん状にむいたオレンジの皮に沿ってリキュールを垂らすと、炎が皮を伝って立ち上り、まるで竜のようです。豪快なパフォーマンスに参加者から歓声が上がりました。

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名物・クレープシュゼットを仕上げていく大竹康弘さんの実演ブースには人だかりが

好きな料理を楽しみ、盛りだくさんの内容の講習を学んだ2時間。セミナー終了後は参加者のみなさんの達成感あふれる笑顔が印象的でした。仕事で立食パーティーに出る機会があるという方も多く、みなさんそれぞれエレガントに楽しむヒントをつかんでいただけたようです。わたしも会場に立ち会った上司に「全然エレガントじゃないな」と呆れられつつ、年相応の振る舞いを身につけようと誓うのでした。

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「みなさま仲良しに」というきょうの目標をみなさんばっちり達成して講座は終了

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