イベントリポート

親子で楽しくお勉強!「お金のはたらきは?」「経済ってなあに?」

お盆休みの最終盤――。8月19日(日)の朝、JR東京駅に隣接するオフィスビルに親子連れが次々と吸い込まれていきます。お目当ては大和証券が主催する経済教育イベント「親子でチャレンジ!クイズで学ぶおカネ&経済 2018」(企画協力:日経ウーマノミクス・プロジェクト)。3年連続の開催で、毎年多くの応募がある人気イベントです。参加するのは小中学生とそのお父さんやお母さんたち。娘さんと2人で来場したお父さんは父娘デートの「大義名分」を得て、どこかうれしそうに見えます。

夏休みの人気イベント、子供たちはやる気満々

会場には高い当選倍率をくぐり抜けた親子が多数集まりました。開場するやいなや、会場前方の席から次々と埋まります。前方はまばらに席が埋まっていきがちな大人向けセミナーと比べ、子供たちのやる気の高さに驚かされます。講師は日本経済新聞社人材教育事業局の本村修担当部長。自らも中学2年生の子を持つ父親です。司会はキャスターの榎戸教子さん。今年4月に娘さんを出産して母親になったばかりで、これまでとはまた違った気持ちでこの日の親子イベントを迎えました。

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講師の日本経済新聞社人材教育事業局の本村修担当部長(右)と司会の榎戸教子さんの軽妙なトークで授業を開始

親子で取り組むクイズがスタート

まずはウォーミングアップの問題から。

Q:「1万円札を平成30年度の日本の国の予算分だけ積み上げた高さは?」
   ① 東京~新大阪の距離よりも長い
   ② 東京~新大阪の距離よりも短い

答えを導くため、講師からいくつかヒントが出されます。まずは「東京~新大阪間の距離が分かる人?」――。会場の男子が元気に手を挙げ、「500キロ」と回答しました。正確には約552キロ(JRの鉄道距離ベース)ですが、ほぼご名答です! ただ、ここからが難しくなりました。

・「平成30年度の日本の予算は?」⇒ 約97兆円
 ・「1万円札の厚さは?」⇒ 約0.1ミリ(国立印刷局)
 ・「1兆円の厚さは?」⇒ 1万メートル
 ・「97兆円の厚さは?」⇒ 97万メートル=970キロ

ということで、正解は①でした。

すべての項目を把握して正解された参加者がいたかは分かりませんが(いらっしゃったら拍手!)、問題の正解が発表されると親子でハイタッチしたり、「やったー!」と歓声が上がったり、ほほえましい姿があちらこちらで見られました。

その後もバラエティーに富んだ質問が続きます。

Q:「日本にある会社の数は?」
   ① 40万社  ②400万社  ③4000万社

ここではまず、パン屋さんの活動を例にとり、1)パンなどの商品が私たちのもとへ届けられるためには生産と消費を結びつける「流通」という仕組みが必要なこと、2)「経済」とは生産、流通、消費といった活動を通じてお金を社会にめぐらし、社会を発展させること、3)新製品の開発や工場の建設など経済の発展のためには「株式会社」が必要なことを学びました。

そのうえで正解が「約386万社(2016年6月時点)」(2016年経済センサス活動調査より)と発表されると、「そんなに多いの?」「意外と少ないね」といった様々な声が聞こえてきました。

さらに、お金を必要としている会社がお金を出してくれた人に対してその証明として発行するのが「株式」、株式を発行して集めたお金で活動する会社のことを「株式会社」と説明。少し高度かもしれませんが、子供たちも真剣に聞き入っている様子。身近なパン屋さんの説明から始めたことで、経済や株式会社といった言葉に少し関心を持ってくれたかなと期待した次第です。

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お盆休みの週末、多くの親子がつめかけた

将来に備えるために必要なことは?

後半では、今後ますます深刻になる日本の人口減少に関する問題も。

Q:日本の人口は世界で何番目?」
   ① 10位  ②50位  ③100位

こちらは比較的推測しやすかったようで、正解の①と答えた親子が目立ちました。ただ、ここからが奥深い話の始まりです。

「少子高齢社会では個人個人が将来に向けて備えることが大切」 ⇒ 「国のお金には限度があるので、(年金に頼らず)個人個人がお金をためる必要がある」 ⇒ 「『入ってくるお金>使うお金』となれば、お金を増やすことができる」(※特に時間をかけてお金を増やすことが重要)――といった、今よりも厳しい少子高齢社会のなかで生きていかざるをえない子供たちに、ぜひ早くから知っておいてほしい基礎知識が次々と紹介されました。最近話題の「個人型確定拠出年金(iDeCo)」や複利といった専門的な言葉も出てきて、やや難しかったかもしれませんが、一生懸命にメモし、理解しようとしていたお子さんたちが多かったようです。

次々と問題をこなし、親子で話しあい、各解答に一喜一憂しているうちに90分の授業はあっと言う間に過ぎていきます。最後に「少子高齢化が進む日本では、経済を発展させ、社会を発展させるためにもお金の働きが重要。この働きを支える私たち一人一人が上手なお金の使い方を考えていきましょう」と講師がまとめて授業は終了しました。

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大人も子供もうれしいお土産付き!

参加者に話を聞くと口をそろえて「楽しかった!」という声が上がりました。イラスト付きで一生懸命メモしていた小学4年生の女の子は「為替の話が特に楽しかった!」と満足げ。中学1年生の息子さんと参加したお母さんは「親子で経済の話をすることはほぼないので貴重な機会だった」と話してくれました。

本イベントは同日午後にも開催されたほか、別日程で大阪、名古屋でも開催されました。各会場で参加したお子さんたちは経済の仕組みや将来に向けての備えの重要性を認識するきっかけとなったのではないでしょうか。親御さんたちにも家庭でお金の話をする際のヒントとなり、親子の絆がさらに深まる一助となれば幸いです。

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