イベントリポート

名門ホテルバーとの距離が近づいた夜、バーテンダーの所作に感心

おしゃれなホテルのバーをスマートに使いこなしたい――働く女性のこんな思いを実現させたいと、ホテルオークラ東京と日経ウーマノミクス・プロジェクトは3月9日、「デキる女子の賢いホテルバーの使い方」と題するタイアップセミナーを開きました。約40人の参加者は実際のバーの雰囲気を体感し、バーテンダーからカクテルやウイスキーの豆知識を得て、「これまでハードルが高いと思っていたが、とても身近に感じられた」「一人でも行ってみたいと思った」と多くが口々に語りました。ホテルバーとの距離がぐっと近づいた夜でした。

シェフとバーテンダーが合作、異色のカクテル

「注文を受けてから約20分かけて作るカクテルです」。講師のバーテンダーの言葉に、会場からは驚きの声が上がります。参加者のテーブルに運ばれた琥珀色のお酒の名は「ブルショット」。ウオッカとコンソメスープで作る異色のカクテルです。ブイヨンを3日間煮込んで作るホテルオークラ東京のコンソメスープといえば、逸品中の逸品。それをウオッカと混ぜ合わせ、シェーカーを使わず、周囲の氷水で余熱を取る要領で約20分かけてゆっくり冷やしていく、こだわりのレシピ。仕上げに黒胡椒をお好みでまぶします。

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ウオッカとコンソメスープで作ったカクテル「ブルショット」

「これ、おいしい!」「喉にスーっと染み渡っていく」。セミナーの締めくくりに振る舞われたブルショットを口にした参加者は、お互いに顔を見合わせ、表情を輝かせました。シェフとバーテンダーの合作のカクテルは、ホテルバーの真骨頂ともいえます。感激する女性陣にバーテンダーは笑顔でこう付け加えました。「ブルショットを注文したら、出来上がりを待つ間に飲むドリンクも注文してください」

大人の空間「オーキッドバー」

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メインバー「オーキッドバー」へは専用エレベーターで(左)。店内には希少なお酒が飾られている

セミナーはホテルオークラ東京のメインバー「オーキッドバー」で午後6時半に始まりました。参加者はホテル玄関からオーキッドバー専用&直行のエレベーターで、順次13階のノスタルジックなバーへ。落ち着いた調度品が配された部屋で、座り心地の良い椅子に腰掛けます。講師はホテルオークラ東京のマスターバーテンダー長島茂敏さんとシニアバーテンダーの黒木亮平さん。2人の「乾杯!」の発声で、まずはウエルカムドリンクをいただきます。金曜日の夜、1週間の仕事を終え、のども渇いていたのでしょう。あっという間に最初の1杯を飲み干す参加者もいました。

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現在の「オーキッドバーは」貴賓室だった旧インペリアル・スイートルームの一部を改装して使っている

この日の最初のお酒は、黒木さんが英スコットランドの蒸留所に研修に行った時にウエルカムドリンクとして出されたカクテルだそうです。スコッチウイスキーにライムを絞り、ジンジャーエールで割った、名もなきカクテル。おいしそうに喉を潤す参加者の1人は「ウイスキーは普段飲まないけど、ぐいぐい飲めます」と微笑みました。長島さんと黒木さんは各テーブルを回りながら、バーの使い方などの質問に丁寧に答えていきます。「ご婦人だけでバーに来られ、ドライマティーニを召し上がる方もいます」「バーではコーヒーだけの注文でもいいですよ」などの説明に、「へぇー」という声があちこちで聞こえます。

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ウエルカムドリンクは「モスコミュール」に似たカクテル。ウオッカの代わりにウイスキーを使う

バーのスマートな注文の仕方、NGな振る舞い

オーキッドバーの雰囲気を味わった後はセミナー会場の「ケンジントン テラス」へ。中央にカウンターバーを設え、長島さんが威厳ある姿でカウンターの奥に立ちました。黒木さんが司会役となり、掛け合いでセミナーは進みます。

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特設カウンターバーを置いた「ケンジントン テラス」でのセミナー。約40人が参加した

まずは長島さんが1993年に世界大会で準優勝したオリジナルカクテル「ブリザード」を作ります。材料はフィンランディアウオッカ、カンパリ、ピーチツリー、グレープフルーツジュース、ライムジュース。メジャーカップを使わずに目分量で、しかし正確な量を入れていきます。背筋をすっと伸ばし、シェーカーのトップを前方にして構えるヨーロピアンスタイルでシェーカーを振る姿に、会場の目はくぎ付けです。参加者の一人は長島さんの立ち姿、無駄のない所作に「茶道に通じるものを感じます」と感心していました。「私たちバーテンダーはカウンターを『ステージ』と呼び、常にお客様から見られていると意識しています」(長島さん)

【動画】マスターバーテンダー長島茂敏さんによるカクテルづくり。雰囲気ある所作に注目

参加者はブリザードのさわやかな味と小粋な軽食に舌鼓を打ちながら、ホテルバーを上手に使うポイントを講師の2人から学びました。例えばカクテルの頼み方。シチュエーションによって「ショートカクテル」と「ロングカクテル」を使い分けるのがスマートだとか。ショート、ロングはグラスの形ではなく、飲むのに適した時間の長さを指すそうです。また、バーテンダーから見た「かっこいいな」と感じるお客様の振る舞い、「これはNG」という振る舞いもいくつか教えてくれました。ちなみにバーテンダーを「バーテン」と呼ぶのは好ましくないそうです。初めてのお店で「私をイメージしたカクテルを作って」と注文するのも避けたほうがよいようです。

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長島さんのオリジナルカクテル「ブリザード」

本場スコットランド流のウイスキーの味わい方

続いて世界で人気上昇中のジャパニーズウイスキーが振る舞われました。ニッカウヰスキーの「竹鶴17年ピュアモルト」です。ストレートとソーダ割りの2杯が用意されました。カウンターでは長島さんが、おいしいソーダ割りを作るコツを披露します。ポイントは「ウイスキーをよく冷やしてからソーダを注ぐこと」「ソーダを注ぐときは氷に当たらないようにすること」。ちょっとした違いで味わいが変わってくるそうで、自宅で作るときにはぜひ、生かしたいですね。

【動画】ウイスキーのおいしいソーダ割りの作り方を長島さんが伝授

ウイスキーのストレートの飲み方については黒木さんが本場スコットランド流の通な味わい方を披露してくれました。スポイトで水を少しずつ足しながら、ウイスキーの複雑な香りや味の変化を楽しみ、自分好みの味わいを見つけるという楽しみ方です。水を一滴ずつ加える様子はどこか科学の実験のようですが、参加者の1人は「ウイスキーの奥深さを感じられる」と、本場の飲み方をいたく気に入った様子でした。

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スポイトで水を少しずつ加えながらウイスキーの香りや味の変化を楽しむ

通うほどお得、オークラ独自のボトルキープシステム

ホテルオークラ東京のバーを上手に使うポイントとして、参加者が最も興味を示したのは、オークラならではのボトルキープシステムの説明でした。 さすがに最初の"投資額"は大きくなりますが、キープしたボトルを次回以降に飲む際は、チャージ料もソーダや氷の代金なども一切かからないというシステムです。キープボトルのお酒を使ったカクテルを注文しても同じです。「利用頻度が多くなるほどお得になります。キープボトルだけの利用なら会計がいらないので、接待でもスマートに振る舞えます」と黒木さん。最近は女性のボトルオーナーも増えているそうです。参加者からは「利用したい」との声が聞かれました。

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ホテルオークラ東京のボトルキープは粋なシステムだ

またホテルのバーテンダーは「影のコンシェルジェ」でもあるそうです。館内のレストラン予約、宿泊の予約、宴会の予約などを、バーでお酒やコーヒーをゆっくり飲みながら手配できるということで、黒木さんは「ホテルバーをスマートに活用してください」と呼びかけました。

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名司会役を演じたシニアバーテンダーの黒木亮平さん

セミナー最後のお酒「ブルショット」を味わいながらの質疑応答では、参加者から講師の2人にバーテンダーとしての職業意識やキャリア人生について聞きたいとの質問が出ました。長島さんと黒木さんがセミナーを通して見せたプロフェッショナルの姿に、働く女性として共感を得たところが多かったようです。質問に対して自らの経験や考えを丁寧に答える2人の話に、参加者の多くが聞き入っていました。

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「ケンジントン テラス」では3種類のお酒をそれぞれ相性のいいフードと一緒に楽しんだ

「ホテルバーは初めて」という参加者が大半でしたが、今回のセミナーを通じて「ホテルバーに対する心理的なハードルが下がった」と多くが口をそろえました。これから何度も利用するうちに、ホテルバーをスマートに使いこなせるようになるのだと思います。ぜひ皆さまの世界を広げてほしい――セミナーがその初めの一歩となれば幸いです。

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