読者リポート

意識を変え、生活を変え、睡眠の質改善 行動力もUP

調査・研究に取り組むインターンを読者から募り、「私目線」で記事をまとめてもらう「読者リポート」。約半年にわたり専門家に取材し、自分の睡眠の状態、質のよい睡眠を導くための環境の整え方、入浴法などを学びました。睡眠をテーマにしたシリーズは4回目の今回がいよいよ最後。これまで得た知見で眠りは変わったのか、皆さんで話し合ってもらいました。

平日と休日の就寝・起床時間のズレ少なく

リポーターとして活躍してもらった安藤裕子さんと林美帆子さん。お二人には起床・就寝時間などをつける2週間の「生活記録」と、3回の取材を踏まえて始めている「実践記録」を記載してもらい、参照しながら話を進めました。

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安藤裕子さん(左)と林美帆子さんは読者リポーターとして活躍

安藤さんは大きく2つの悩みを抱えていました。一つは仕事中に突然睡魔に襲われ、一瞬意識がなくなってしまうこと。「ミーティング中に一瞬寝落ちすることがあって、同席した人にビックリされたこともありました」。もう一つは眠気覚ましとしてエナジードリンクを毎日飲んでいたことでした。

林さんは睡眠時間と寝返りが問題でした。「ずっと5時間睡眠でしたが、だんだん疲れが出やすくなっていました。寝返りは全く打たず、いつも体がガチガチでした」と振り返ります。

読リポの初回は睡眠の健康度を分析する自己診断システムを受けてもらい、その結果を持ってシステム開発のリーダーだった国立精神・神経医療研究センターの三島和夫先生に疑問点や悩みをぶつけました。2回目では明治薬科大学の駒田陽子先生に睡眠の習慣、環境をどう整えていくのか、レクチャーを受けました。3回目は睡眠と密接に関係する入浴について知るため、バスクリン(東京・千代田)のつくば研究所(つくば市)を訪ねています。

3回のリポートでどうだったのか。お二人に聞くと「取材を通じて睡眠についての考え方が変わり、生活を見直し、睡眠が変わってきました」と声をそろえました。

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過去3回の取材で様々な疑問を専門家にぶつけた

安藤さんは日中、強烈な眠気が出てくることはありますが、「落ちる」ことはなくなったと言います。エナジードリンクも飲む本数は半分以下に減りました。

安藤さんが見直した一つが平日と休日の就寝・起床時間のズレです。2回目に話を聞いた明治薬科大の駒田先生から、寝た時刻と起きた時刻のちょうど中間の時刻(中央値)が平日と休日では大きくズレがあるとの指摘を受けました。「ソーシャル・ジェットラグ(社会的時差ボケ)の状態になっていると思われます」と駒田先生。休日に夜更かしをしたり、平日の睡眠不足を取り戻そうと寝だめをしたりしていると、移動をしていないのに海外旅行で時差ボケになったように体内時計が乱れていきます。そうすると睡眠リズムが乱れ、日曜夜は寝付きが悪く、月曜は日中も眠気がとれないといった体の不調が訪れることがあります。

そこで安藤さんは駒田先生のアドバイス通り、「明日が休みだから遅くまで起きているではなく、時間があるから早く寝ようと意識するようになりました。休日の朝も普段と大きく変わらない時間に起床しています」。生活記録を見ても、ズレはかなり解消しています。休日明けも気持ちよく過ごせるようになったとほほ笑みます。

入浴法改め、寝付きが改善

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眠りにつく前にスマホで動画をみる習慣をやめたと安藤さん

ほかにも、住まいが変わったことを機に、駒田先生が話していたように生活のリズムをできるだけ規則正しくしようと常に意識するようになりました。朝はまずカーテンを開けて太陽の光を浴びるようにしているそうです。

3回目のバスクリンの取材で同社の石川泰弘さんから「明日の活力のためにお風呂に入るととらえましょう」と言われたこともあり、入浴時はなるべく湯船に漬かることを心がけるように。湯船につかることで、早朝から午後6~8時まで上昇し、朝方にかけて下がるという体の内部の体温のリズムが整ううえ、軽い疲労感が出るため深い眠りにつながりやすくなります。「ベッドに入る1時間前にお風呂に入ると寝付きやすくなることが分かってきました」(安藤さん)

寝る前に必ずする「入眠儀式」があるほど寝床についてから覚醒すると国立精神・神経医療研究センターの三島先生から聞き、寝る前にスマホで動画を流すこともやめました。「難しいかもしれないけれど、自分の睡眠の習慣を振り返り、一つでも変えて、それを続けていくことが豊かな睡眠に必要なのだと実感しました」

林さんも今回の取り組みを機にいろいろ改善しています。まず睡眠時間。心身の負担となるような睡眠不足を抱えているかどうかチェックする方法として、三島先生から教えてもらった「目覚ましのアラームをつけず、カーテンを閉め切って眠りに付く」を実践。すると、6時間半寝て起きることが多かったといいます。平日の起床時間よりも3時間以上寝坊するようなら要注意とのことでしたので、深刻な状態ではなかったようです。ただ「6時間半睡眠にしてから、目覚めが違ってきました。日中ボーっとすることもなくなりました」と声が弾みます。

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6時間半眠るようになって目覚めがよくなったと林さん

これまで取らなかった朝食も何か口にするように。ヨーグルトやスープなど軽いメニューでも「体が動き出す感じがあります」。光と食事に気をつけて、体のリズムを整えることが大切という駒田先生の助言を実践した効果が表れているようです。

入浴方法も一新。これまでは44度前後の熱いお湯に1時間ぐらい入っていたのですが、バスクリンつくば研究所の皆さんは「やめた方がいいです」。体温が上がりすぎて朝型にかけてスムーズに下がらないのはもちろん、入浴中に気絶してしまう事故さえ誘発しかねないためです。勧められたのは40度前後のお湯で10~15分。「最初は物足りなかったのですが、発汗作用を促す入浴剤を使うと熱くなくても大丈夫でした。寝つきもよくなっています」と林さんは話します。

「睡眠を整えることで体調もよくなり、行動力が高まって今まで以上に多くのことに取り組めるようになりました」と林さんは強調します。駒田先生の回に言及のあった、目覚めをすっきりさせるアスパラガス由来成分の食品を試してもらったところ、食べ始めて1週間が過ぎるころから寝起きがよくなっていると感じるそうです。

睡眠は体のメンテナンスをする大切な時間

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生活記録からも改善傾向が明らかに

なによりお二人が変わったのは、睡眠に関する考え方でしょう。「早く寝るのはもったいない、時間があるから起きるのがもったいないと思っていました」(安藤さん)、「寝てしまうんだという罪悪感を持ちながらベッドに入っていました」(林さん)。3回の取材を経て、「睡眠は体の調整、メンテナンスをする重要な時間帯」(駒田先生)であることを認識。安藤さんはお気に入りのパジャマを購入し、照明を変えました。林さんは寝具を見直しています。人生の4分の1は寝ているのですから、気を配って、リラックスできるようにしています。

睡眠について悩んでいる働き女子はまだまだたくさんいらっしゃいます。最後にお二人からエールを送ってもらいました。最初に安藤さんです。

正直、習慣を変え継続することは簡単ではないです。それでも、睡眠と入浴がもたらすパワーを信じ続けたいと思います。皆さんもぜひ、ベッドやお風呂に入る楽しみを見つけて、良質な睡眠を妨げるような習慣を少しずつなくしてはいかがでしょうか。きっとすがすがしい朝を迎えられる日がきますよ!

そして林さんです。

自分の睡眠に潜んでいる問題点・改善点がどんどん見つかったことに大変驚きました。改善したことで、睡眠の質が向上したことはもちろん、ライフスタイルもよくなりました。取材で教えていただいた改善法はどれも簡単に取り組めるものばかりです。悩んでいる方が参考にしていただければ幸いです。

4回にわたった読者リポート、参考になったでしょうか。快適な睡眠を手に入れるため、あなたも意識を変え、生活を少し変える一歩を踏み出しませんか。

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