日経ウーマノミクス・プロジェクト 女性一人ひとりが、自分らしく生きる。女性が、柔軟に、働き方や暮らし方を選べる、そんな日本にしたい。だから、日本経済新聞社は、女性が今よりもっと活躍できる環境づくりを応援します。" alt="日経ウーマノミクス・プロジェクト 女性一人ひとりが、自分らしく生きる。女性が、柔軟に、働き方や暮らし方を選べる、そんな日本にしたい。だから、日本経済新聞社は、女性が今よりもっと活躍できる環境づくりを応援します。 日経ウーマノミクス・プロジェクト 女性一人ひとりが、自分らしく生きる。女性が、柔軟に、働き方や暮らし方を選べる、そんな日本にしたい。だから、日本経済新聞社は、女性が今よりもっと活躍できる環境づくりを応援します。" alt="日経ウーマノミクス・プロジェクト 女性一人ひとりが、自分らしく生きる。女性が、柔軟に、働き方や暮らし方を選べる、そんな日本にしたい。だから、日本経済新聞社は、女性が今よりもっと活躍できる環境づくりを応援します。 日経ウーマノミクス・プロジェクト 女性一人ひとりが、自分らしく生きる。女性が、柔軟に、働き方や暮らし方を選べる、そんな日本にしたい。だから、日本経済新聞社は、女性が今よりもっと活躍できる環境づくりを応援します。 日経ウーマノミクス・プロジェクト 女性一人ひとりが、自分らしく生きる。女性が、柔軟に、働き方や暮らし方を選べる、そんな日本にしたい。だから、日本経済新聞社は、女性が今よりもっと活躍できる環境づくりを応援します。

多様な価値観を持つ、良い会社へ――永野毅社長インタビュー

 東京海上日動火災保険は2014年に国内初の自動車保険販売から100年、創業から135年という節目を迎える。昨年(2013年)6月に就任した永野毅社長(61)は「良い会社」を経営ビジョンに掲げ、従業員の力を引き出すことで世界有数の保険グループを目指している。そのカギとなるのが、女性社員の活躍と考えている。

■利益のその先にあるもの

保険会社の価値は存続することと国内外の社員に説く

Q.目指す企業像についてお話しください。

 「保険会社のビジネスは、お客様が事故や災害で本当に困ったときに役立てるかどうかが生命線です。良き相談相手として頼りにしている、と言ってもらえる会社をつくる。それが企業として存続するための目的です。海外のグループ社員にも、私たちは海外事業へ投資だけしているのではありませんと話しています。投資であれば、利益が最終目的でしょう。私たちにとって利益は手段。利益を上げることで会社として存続し、国内外のお客様がいざというときに役立つ、利益のその先にあるもの(Look Beyond Profit)を追求しています」

 「当社は今年8月で創業135年を迎えますが、既に次の100年を見据えています。200年企業への挑戦です。世界の老舗企業に関するある調査によると、創業200年を超す企業は日本に3000社強あり、世界中の半数を占めるそうです。長寿経営の日本企業を支え続けるためにも、保険会社として存続することが重要です。海外でも企業や個人のお客様に必要不可欠な存在でありたい。存続するには利益が必要ですが、その源泉はお客様や社会からの支持です。結局は日々正しい行動を積み重ね、そこで得た信頼や支持を成果につなげる力を持った会社が残っていく。それを良い会社(Good Company)と呼んでいます。この順番を間違えなかったからこそ、関東大震災など過去の大きな危機を乗り越えられました。これからの100年も同じ姿勢を貫いていきます」

Q.「良い会社」の実現には何が必要でしょうか。

 「人の力です。世界各国の社員と代理店の方々がお客様と信頼関係を築いています。そこでは組織力、チーム力、一人ひとりのやりがいが大事だと考えます。人の力を引き出すのはリーダーの責務。リーダーシップの発揮を常に求めています。私たちは世界各国のグループ企業から経営幹部を集めるシニア・グローバル・リーダー研修を2012年に始めました。2013年は7カ国の12人が直接、東日本大震災の被災地で代理店の方々などから震災当時の話を聞きました。混乱の中で代理店の皆さんと社員が一体となり、2カ月間で多くのお客様に保険金をお支払いできたことなどを聞き、保険会社の意義を再確認していたようです。また、海外赴任前の社員については良い会社について英語で議論し、自分の言葉で話せるようになってから送り出しています。こうした研修などを通じて、良い会社を深く理解した経営者と人材をグループ全体へ広げています」

■女性社員に“気づきの場”を

男女を問わず「活躍の場を提供したい」

Q.人材活用では、女性社員の活躍やダイバーシティ(多様性)を重視しています。

 「多様な経験やバックグラウンド、価値観を持った人が男女であれ外国人であれ、日常の仕事や経営について議論することは、企業がさらに成長していくために欠かせません。例えば、若い世代のチャンレンジする気持ちを聞き、ベテラン社員の失敗経験さえも共有してほしいのです。多様な価値観を尊重し、各自の強みを合わせた経営をしたいと考えています。その中でまず女性の活躍をテーマに取り組んでいます。国内1万7200人の社員の半数近くを占める女性を、本当に生かしきれているでしょうか。自分の次は女性に託そうと考え、育ててきた社員がどれだけいたでしょうか。一方で女性社員もそこまで考えてきたでしょうか。課題はまだまだあると思います」

 「いま、女性社員が活躍するためのキーワードとして『期待する』『鍛える』『活躍する機会と場を与える』という“3つのK”を重視しています。男女ともリーダーを目指す楽しみ、世界に羽ばたく夢を感じてほしい。ただ、女性だからと特別に引き立てて登用はしません。もっと活躍できるはずだという、気づきの場を多く提供します。気づくかは自分次第、チャレンジしたい人に男女差はないでしょう。そして出産、介護などのライフイベントに直面した社員に対して、会社は仕事と両立できる環境を整える。自らも両立できるように努力する。天は自ら助くる者を助く、セルフ・ヘルプの考え方です」

 「福利厚生など制度面で当社は社員の声を聞いて、工夫を重ねてきました。あとは意識改革。夜になってから会議をする習慣が残っていれば、やめるべきです。いま職場を見渡してみると、以前はほとんどいなかった女性の営業担当も地域型社員の約2割を占めます。海外赴任の女性は12人、国内では課長以上のリーダー層が145人います。そのうち部長が7人、役員は2人。まだ社員全体の5%程度ですが、潜在的な力を考えると、リーダー層の半数は女性であってもおかしくない。少子高齢化社会に向けて、女性に機会を与えて後押しすることは私たちの成長に向けた大きなステップだと思います」

■高い志で仕事をしよう

Q.永野社長の経験として女性が活躍する必要性をどんなときに強く感じますか。

 「私は海外駐在6年、直近2年も海外を担当しました。海外担当時代にはアジアに何度も行きましたが、アジアでは経営者などトップリーダーの半分以上が女性という国も少なくない。日本はまだまだ女性のトップリーダーが少ないので、大きな刺激を受けます。世界の保険業界でも経営陣には女性が少ないと感じます。もっと経営そのものについて、多様な議論を交わさないといけない。私たちはより多くの女性を経営陣に迎えたいし、外国人も増やしたいと考えています」

Q.就職前の学生や若い世代、女性社員へのメッセージをお願いします。

企業や社会に多様性は不可欠と確信している

 「これからの時代に企業や社会が男女差などで設けた障壁、制約は徐々になくなっていくでしょう。あとは皆さんが社会人として何をしたいか、どうありたいか。その気持ちを今のうちに大いに高めてもらいたい。社会人になることがゴールに見えるかもしれないが、そうではありません。輝く人生のスタートです。仕事は楽しく、尊いもの。ぜひ高い志をもって臨んでほしい。一人ひとりのセルフ・ヘルプを大いにサポートしたいと思います」

永野毅(ながの・つよし)
75年(昭50年)慶大商卒、東京海上火災保険(現東京海上日動火災保険)入社。大手自動車メーカーなどの法人営業や、生命保険と損害保険を一体にした「超保険」などの商品・サービス開発を担当した。12年副社長、13年6月に東京海上日動火災保険と持ち株会社の東京海上ホールディングスの社長に就任。高知県出身。大学時代は水泳部遠泳チームの主将を務め、伊豆の下田から大島まで42kmを泳いだ。趣味はジャズボーカルやピアノ演奏。休日は妻とよく会話を交わし、オンとオフを切り替える。

女性リーダー、5年で3倍に

 東京海上日動の女性社員は7725人と、社員全体の半数近くに上る。2013年7月には、転居せずに同じ地域で働き続ける地域型社員から初の女性執行役員が誕生。社外監査役を含む女性役員は3人になった。また、課長以上のリーダー層(役員含む)が145人と5年で3倍あまり増加。準リーダー層と位置付ける課長代理も346人と大きな力を担っている。育児支援や地域間異動に配慮した制度を広げるとともに、リーダー候補者を選抜した研修に女性社員を積極的に参加させるなど、女性が活躍しやすい環境を整えている。(2013年7月1日現在、社員数は全国型と地域型社員の合計で役員を含む)
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