日経ウーマノミクスプロジェクト 組織に新たな風を吹き込む女性たち。しなやかな働き方に輝く社会へのヒントが詰まっている。 日経ウーマノミクスプロジェクト 組織に新たな風を吹き込む女性たち。しなやかな働き方に輝く社会へのヒントが詰まっている。

「したくなるリフォーム」提案――笑顔で常に前向きに

「顧客のリフォームに対する要望を明確にすることを心がけている」と梶原さん
「顧客のリフォームに対する要望を明確にすることを心がけている」と梶原さん

 「この家が好きで、ずっと家で過ごしているから遊びにいらっしゃい」――。積水ハウスグループの積和建設四国(香川県綾川町)でハウジング事業所高知店(高知市)店長を務める梶原史さんは最近、リフォームを手がけた夫婦からこんな声をかけられた。「色々な経験を積んで自分を磨きたい」と地元工務店から転職して4年。「常に笑顔で、お客様と深く長いお付き合い」を心がけて営業に奔走する梶原さんにとって、顧客からのこうした声は何よりうれしい贈り物だ。

 そんな梶原さんも、入社当時は戸惑いの中にいた。それまで地元の工務店などではリフォームアドバイザーとして顧客対応はするものの、「飛び込み営業」のような営業の経験はなかった。いざ積和建設四国に入社し営業担当となるが、当時はリフォームなどを手がけるハウジング事業が始動したばかりで、「営業の先輩もいないし、カタログなどの営業ツールもそろっていなかった」。まさに手探りの状態だったのだ。

■言葉の奥にある「思い」を読み取る

 まずは前職の顧客のところに挨拶にまわる日々。「何とかしなければ」と考えたあげく、「積水ハウスの支店に顔を出して相談してみよう」とひらめいた。支店への飛び込み営業は最初こそ緊張したが、持ち前の明るさで徐々に距離感を詰めていく。週末には住宅展示場にも顔を出すようになり、実際に接客の現場をのぞくこともできた。梶原さんは目で見て、業界大手の営業のノウハウを学んでいく。「若いスタッフの方も、とても教育されていてレベルが高く、お客様の接し方一つ一つがすべて勉強になった」。徐々にリフォームを検討する顧客を紹介してもらえることも増え、梶原さんは営業としての一歩を踏み出すことができた。

「後悔のないリフォームをしてほしいから、お客様との会話を大切にする」と梶原さん
「後悔のないリフォームをしてほしいから、お客様との会話を大切にする」と梶原さん

 顧客との接点ができると、リフォームという仕事の奥深さを実感する毎日が始まった。「住まいに対する悩みは切実だが、どうしたいのか明確に伝えられないお客様が多い」のだ。実際にお客様の要望を聞き始めると「あれも、これも」となって、もともと何のためのリフォームか、見えにくくなってしまう。

 梶原さんは常に顧客の言葉の奥にある思いを聞き取ることを心がけた。何気なく日常生活に関する質問を投げかけ、顧客の心に響く部分を探し出していく。「リフォーム後のイメージが全く湧かない」という声があれば、できるだけ資料をそろえて出向き、イメージを形にする。逆に「テレビドラマに出てくるあの家のようにしたい」と言われれば、DVDを見てイメージを膨らませる。

 顧客の要望を明確にする作業を進めながら、梶原さんは頭の中で顧客のイメージとは全く異なるリフォーム案を考える。柱や梁の状況を確認し、大胆に間取りを変える「サプライズ」提案だ。リフォームの可能性の「深さ」を感じてもらい、後悔のないリフォームをやり遂げてもらうのが目的。目指すのは「しかたなくリフォーム」ではなく「したくなるリフォーム」だという。

■顧客の暮らしと誠心誠意向き合う

 例えば、日当たりの悪さに不満を持つ夫婦に、タイル張りのカフェのようなデザインのリビングを提案したことがある。もともとおしゃれの大好きな夫婦は気に入り、採用してくれた。リフォーム後の空間での「手作りヨーグルトとシリアルの朝食は格別」と喜んでくれている。明かりをできるだけ多く取り込むためにつけた段差を最初は気にしていたが、今では遊びに来たお孫さんが段差にちょこんと座る姿を楽しんでいるという。日当たりだけでなく、夫婦の表情も明るくなった。

 大胆なアイデアだけでなく、細部へのこだわりも「サプライズ」の重要な要素だ。高知県は共働きの世帯が多く、洗濯物を室内に干しておきたいというニーズがあるがリフォームの際に忘れがちだ。梶原さんは必ず、打ち合わせの中で確認するようにしている。「これまで見たキッチンはどれも気に入らない」と言われれば、希望に合った機能やデザインを探し出し、県外のショールームまで顧客を案内する。

 棚や窓の配置も、家事をする女性の身の丈に合わせていく。プランだけでなく、顧客が留守で名刺だけ置いて帰る場合も、京都で購入した和紙でつくった封筒に入れるなど、心を込める。顧客の暮らしと誠心誠意向き合い、最後に「久々に遊びに来た親戚や子ども夫婦がびっくりする顔を見て、満足しているよ」と声をかけられることが幸せなのだという。

 積和建設四国でトップクラスの営業成績を収める梶原さんの仕事ぶりは順風満帆に見えるが、入社当初は仕事の基本「ホウレンソウ」を怠り、関係先から叱られることもあった。「失敗するたびに自分の足りない点に気付き、二度と繰り返さないように自分がどう変わればいいか一生懸命考えてきた」と梶原さん。常に前を向いて、人との出会い一つ一つを大切にしてきたから、今がある。

店長として目指すのは「笑顔の絶えない職場づくり」
店長として目指すのは「笑顔の絶えない職場づくり」

 そんな梶原さんが店長になって2年。梶原さんは「リーダーと呼べるような存在ではない」と謙遜するが、「どんなにしんどいときでも、笑っていればいいことがある。そう考えて仕事に向き合える職場にすることを心がけている」と話してくれた。

 常にプラス志向で、職場を元気づけるリーダーがいれば、部下も失敗を恐れずチャレンジできるものだろう。梶原さんの将来の目標を聞いてみた。「もっと、もっと努力して、大きな仕事をやって、営業として他社に恐れられるような存在になること」。そう笑顔で話す梶原さんは、間違いなくプラス志向のリーダーだ。

リフォーム&リノベーション新ブランド
“Re:QUEST”(リ・クエスト)誕生。
Amazonの「リフォームストア」でネットリフォームビジネスにも参入

 積水ハウスグループの積和建設は、リフォーム&リノベーション事業の新ブランド“Re:QUEST” (リ・クエスト)を制定しました。“Re:QUEST”のキーワードは「しかたなく」するリフォームから「したくなる」リフォームへ。数十万円でできるパッケージ型リフォームから、暮らしの豊かさを高め住まいに新しい命を吹き込む大型リノベーションまで、施工実績と全国のグループネットワークを生かして、幅広いニーズに対応し提案を進めます。またキッチンやユニットバス、洗面まるごとなど比較的小規模なリフォームメニューをパッケージ化して、Amazon「リフォームストア」で販売を開始しました。ネット上で決済までできるため、「便利」で「手軽」に、豊富なメニューからお好みに合った、高品質で短工期の安心リフォームを提供します。

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