日経ウーマノミクス・プロジェクト 女性一人ひとりが、自分らしく生きる。女性が、柔軟に、働き方や暮らし方を選べる、そんな日本にしたい。だから、日本経済新聞社は、女性が今よりもっと活躍できる環境づくりを応援します。" alt="日経ウーマノミクス・プロジェクト 女性一人ひとりが、自分らしく生きる。女性が、柔軟に、働き方や暮らし方を選べる、そんな日本にしたい。だから、日本経済新聞社は、女性が今よりもっと活躍できる環境づくりを応援します。 日経ウーマノミクス・プロジェクト 女性一人ひとりが、自分らしく生きる。女性が、柔軟に、働き方や暮らし方を選べる、そんな日本にしたい。だから、日本経済新聞社は、女性が今よりもっと活躍できる環境づくりを応援します。" alt="日経ウーマノミクス・プロジェクト 女性一人ひとりが、自分らしく生きる。女性が、柔軟に、働き方や暮らし方を選べる、そんな日本にしたい。だから、日本経済新聞社は、女性が今よりもっと活躍できる環境づくりを応援します。 日経ウーマノミクス・プロジェクト 女性一人ひとりが、自分らしく生きる。女性が、柔軟に、働き方や暮らし方を選べる、そんな日本にしたい。だから、日本経済新聞社は、女性が今よりもっと活躍できる環境づくりを応援します。 日経ウーマノミクス・プロジェクト 女性一人ひとりが、自分らしく生きる。女性が、柔軟に、働き方や暮らし方を選べる、そんな日本にしたい。だから、日本経済新聞社は、女性が今よりもっと活躍できる環境づくりを応援します。

顧客の不安と向き合う――「ありがとう」に感じる達成感

「お客様からの信頼を得る難しさを痛感した」と山口さん

 仕事に慣れて自信が芽生え始めるころ、突然、経験したことのない高い壁に突き当たることがある。その壁は、仕事と真摯に向き合えば向き合うほど高くなる。神奈川県で住宅リフォームのアドバイザーを務める山口亜希子さん(32)も、この仕事に就いて2年余りの2012年に仕事に対する姿勢を見直す転機となった大きな課題に直面した。

 初めは順調に思えた。女性の顧客から「キッチンが古くなったので取り替えたい」という要望が寄せられたのは夏の声が聞こえ始めたころ。提案書を作るに当たり話を聞いてみると他にも悩みがあることが分かった。「遊びに来た孫と安心して過ごせる空間が欲しい」「日当たりの関係で少し暗いのが気になる」――。「思い切って2階全体をリフォームしてみてはいかがでしょう」。そう提案すると後日、「夫も連れてショールームに行きます」との連絡が届いた。「提案に興味を持ってもらえた」。自信を持ってショールームを案内する日を迎えた。

■自問自答し提案スタイルを変更

 しかし、夫にはほとんど説明を聞いてもらえなかった。「積水さんに決めたなんて一言も言っていませんから」。キッチンの交換を依頼したはずが2階全体のリフォーム提案になって返ってきたことが、単なる押しの強い営業と受け止められたのだろうか。提案が採用されないケースはこれまでもあったが、これほど警戒感を前面に出されたのは初めてだった。いつも顧客の潜在的な不満まで聞き取り、それも含めて解消する提案をしようと心がけてきた。それがアドバイザーの役割だと理解していた。しかし、リフォームにかかる費用は小さくない。顧客にとっては大きな決断で、疑問や不安も多い。「お客様の不安にきちんと向き合えていたのだろうか」。自問自答した結果、なぜ自分がこのプランを提案したのかをもう一度しっかり伝えようと決意した。顧客がリフォーム後の生活の変化がイメージできるように、材料一つひとつを選んだ理由もサンプルやコンピューターグラフィックを使うなどして具体的に説明した。

 提案書作りは半年に及び、最後は3社による競合となった。細部にまでこだわったため価格は他社より高くなってしまったが、夫妻は山口さんのプランを選んだ。「住まいの不満を解消してご主人にも奥様にも喜んでもらいたい」との思いが通じた瞬間だった。リフォームを終えた部屋を見た妻は、大きな声で「ありがとう」と言ってくれた。夫も笑顔だった。「お孫さんと楽しい時を過ごす光景が頭の中に広がりました」。心地よい疲れとともに、やり遂げたという達成感とリフォームアドバイザーという仕事の奥深さを感じた。

■「ここだ」と確信し、新たな挑戦に踏み出す

「一生続けたいと思える仕事を」と製薬会社から転職した

 大学で理系の学科を専攻。卒業後、最初に就職したのは製薬会社だった。医薬品の品質や有効性、安全性などを医療機関などに説明する医薬情報担当者(MR)として活動。仕事にやりがいも感じていた。転職を決意したのは「一生続けられる仕事がしたい」との思いが強かったため。「自分は何がやりたいのか」を自らに問いかけたときに強く思ったのが、以前から興味のあったインテリア関連の仕事だった。心を決めたら一気に動くタイプだ。休職し、専門学校に通い始めるとインテリアの世界に引き込まれる自分を再確認することができた。資格がなくても受け入れてくれる積水ハウスリフォームの採用情報を見つけると、「ここだ」と確信した。

 理想を求めての転職だったが最初は苦労の連続だった。顧客訪問の際にインターホンを押す勇気がなかなか出なかった。MRの時は医療関係者の職場を訪問していたが、新たな仕事では顧客の生活の場を訪れる。「快く迎えてくれるだろうか」という不安があったからだ。分譲住宅地では一軒訪問した後、すぐ隣の家まで行くのに時間をかけて遠回りしてしまうこともあった。気持ちを落ち着けるためだった。大きな仕事が舞い込んだのは入社して半年後。家の骨組みだけを残してすべてをリフォームする工事を依頼された。現場に通い詰め、大掛かりな工事を通じて住宅に関する多くの知識を身に付けたことが、その後の仕事に大きなプラスとなった。

顧客の笑顔を見るたびに、仕事への責任感を感じるという

 リフォームアドバイザーを始めて5年目。人生経験を重ねるほどに仕事に厚みが出てくることの面白さを実感している。職場には結婚、出産を経て再び活躍する女性社員が多い。建物の構造についての知識が豊富な男性社員などと、それぞれの強みを生かしながら顧客のニーズをくみ取ることができる。昨年(13年)2月には横浜市磯子区の神奈川南営業所西店の店長を任せられた。3人のスタッフとともに顧客訪問に汗を流す。昨年春には新入社員も迎え、今では教育係としての重責も感じている。

 指導する立場になってもチャレンジを続けたいと考えている。建築士やファイナンシャルプランナー(FP)の資格も取得したいという。FPを目指す心を尋ねるとこんな答えが返ってきた。「アパート経営の方から税金やローンについて相談されることがあります。住宅に関する相談には何でも応えられるようになりたいんです」。向上心は衰えない。

夢は自分の家を持って、自分好みにリフォームすること。顧客の笑顔を見るたび、その思いは強くなっている。

リフォームアドバイザー

 住宅リフォームのニーズの把握から具体的な提案の作成、引渡しまでトータルで対応する営業職。積水ハウスグループでリフォームを手掛ける積水ハウスリフォームでは「生活感覚」を生かして顧客の潜在的なニーズを引き出せると判断し、社会人経験のある女性や出産・育児を経験している女性を積極的に採用している。勤務体系も週休2日/3日の選択制にして、仕事と家庭が両立しやすい環境を整えている。
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