日経ウーマノミクス・プロジェクト 女性一人ひとりが、自分らしく生きる。女性が、柔軟に、働き方や暮らし方を選べる、そんな日本にしたい。だから、日本経済新聞社は、女性が今よりもっと活躍できる環境づくりを応援します。" alt="日経ウーマノミクス・プロジェクト 女性一人ひとりが、自分らしく生きる。女性が、柔軟に、働き方や暮らし方を選べる、そんな日本にしたい。だから、日本経済新聞社は、女性が今よりもっと活躍できる環境づくりを応援します。 日経ウーマノミクス・プロジェクト 女性一人ひとりが、自分らしく生きる。女性が、柔軟に、働き方や暮らし方を選べる、そんな日本にしたい。だから、日本経済新聞社は、女性が今よりもっと活躍できる環境づくりを応援します。" alt="日経ウーマノミクス・プロジェクト 女性一人ひとりが、自分らしく生きる。女性が、柔軟に、働き方や暮らし方を選べる、そんな日本にしたい。だから、日本経済新聞社は、女性が今よりもっと活躍できる環境づくりを応援します。 日経ウーマノミクス・プロジェクト 女性一人ひとりが、自分らしく生きる。女性が、柔軟に、働き方や暮らし方を選べる、そんな日本にしたい。だから、日本経済新聞社は、女性が今よりもっと活躍できる環境づくりを応援します。 日経ウーマノミクス・プロジェクト 女性一人ひとりが、自分らしく生きる。女性が、柔軟に、働き方や暮らし方を選べる、そんな日本にしたい。だから、日本経済新聞社は、女性が今よりもっと活躍できる環境づくりを応援します。

出産・育児も仕事の武器――奮闘する姿、後輩のモデルに

育休明け直後に住宅展示場の責任者に抜てきされた

 「店長をやってほしい」。同期の中でも早めだった昇格は、2人目の子どもの育児休暇から復帰した直後に訪れた。自分のパフォーマンスを休暇前の状態まで戻すのに必死だった時期だけに、感じた責任の重さはひとしお。それでも素直にうれしかったのは、「育児をしながら働き続ける意思と努力を認めてもらえた」と感じることができたからだ。

 東京23区北部の住宅街として知られる北区王子。積水ハウスの黒木史子さん(32)の職場は地下鉄王子神谷駅に程近い住宅展示場だ。東京北支店王子店の店長に就任したのは2013年2月。午前8時台に出勤し、5人の社員と日々の業務を確認する。上司というよりは「お姉さん」という印象の、若き職場のまとめ役だ。

 「1人で抱え込まずに相談してください」。若手に対して頻繁にかける言葉に店長としての信条が表れる。営業担当者個人が積水ハウスを代表して顧客に接するだけに個の力は重要だ。だが、顧客から与えられた課題を1人で解決しようとすると、短時間で十分な回答ができない。「皆で結果を出しましょう」というムードづくりを心がける。

■顧客の心遣いで「自分が成長できた」

顧客の生活スタイルに寄り添いながら営業の最前線に立ち続ける

 個の力とチームワークで顧客に誠意を尽くす姿勢は自らのキャリアの中で培った。新入社員として初めて契約してもらった顧客との商談は、「自分を成長させてくれた案件の1つ」と語る。マイホームへのこだわりが強く、商談当初は欧州の邸宅で見られるような「猫足」のついたバスタブなどを求められた。先輩社員のアドバイスを受け、機能性などを含めたトータルのメリット、デメリットなどを説明しながら提案内容を詰めていった。最後は他社との競合に。先輩の力も借りた提案に自信はあった。ただ、顧客の自宅で2社がプレゼンテーションをした際の返答は「どちらに決めるか、後ほどご連絡します」というもの。不安が頭をよぎった。

 吉報はその直後に舞い込んだ。顧客の家の玄関を出て営業車に乗り込もうとした瞬間に携帯電話が鳴った。「あなたにお任せします。さっきすごく悲しそうだったから早く伝えてあげようと思って」。不安が顔に出てしまった自分への気遣いに頭が下がった。

 2004年、日本大学理工学部の建築学科を卒業したが、「部屋にこもって図面を引くより、外に出て人と話す仕事に興味を持っていた」。当時、建設業界は「冬の時代」で営業職の募集は少なかったが、就職活動では希望を貫いた。積水ハウスに入社し、結婚、出産を経てもその姿勢は変わらない。

■ありがたかった職場と家族の支え

 とはいえ、育児休暇後の職場復帰は容易ではなかった。1人目の子どもの育休から復帰した時は勘が戻らず苦労した。「育児中は子どもとばかり向き合うため、話すのは赤ちゃん言葉だけ。夫以外の大人とのコミュニケーションがスムーズにできなくなっていました」。営業職としては大きなハンデになりかねない。産休前のイメージに近づこうとあせったが、空回りばかり。そんな時に周囲は親身にサポートしてくれた。

夫婦で休みが取れる水曜日が家族だんらんの時

 家で少しでも作業できるようにと上司がモバイルパソコンを融通してくれ、早く帰宅できるように同僚が会議の時間をずらしてくれた。「皆様に家を建ててもらって幸せな家庭を築いてほしいと願っている会社だけに、社員に対しても家庭を大事にしてほしいと協力する人が多いのが当社の良いところです」。積水ハウスは女性の積極活用が評価され、女性の活躍推進に優れた上場企業として2013年度の「なでしこ銘柄」に選出された。※

 現在は5歳になった息子と、4月に3歳になる娘がいる。住宅展示場での営業は週末が書き入れ時で、平日でも顧客の都合によっては午後9時からの打ち合わせになることも。同じく住宅の仕事に携わる夫と分担して、家事と子育てをこなす。月曜日から土曜日までは子どもを保育園に預け、日曜日は夫が子どもの面倒を見る。自身は火曜日、水曜日を休みとして普段できない用事を片付け、夫の休みでもある水曜日は家族でゆっくり過ごす。

 「子どもたちには寂しい思いをさせる場面があるかもしれません。でも、大人になってから精神的に支えてあげられる親になりたい。最近では上の子が下の子をあやすなどママに協力してくれます」。長男は両親の仕事も理解し始めている。「ママはおうちをつくる人、パパはおうちを直す人」――こんなことを言われると思わず顔がほころぶ。「育児にも、お客様のためになる仕事をするヒントがある」。そう感じている。

 黒木さんの姿を見て、出産後もフルタイムで働き続ける営業担当の女性が社内で増えているという。最近、後輩の女性社員と交わした会話の中にそれを象徴する言葉があった。「出産後も普通に働いて生活するのが当たり前だと思えました」。後輩に背中を見せるフロントランナーとしての喜びも感じている。

※「なでしこ銘柄」 経済産業省と東京証券取引所が東証一部上場企業の中から、業種ごとに、女性が継続的に就業を続けられる環境整備を含めた女性人材の活用を積極的に進めている企業を選ぶ制度。第1回目の2013年度は建設業で初めてとなった積水ハウスを含む17銘柄が選定された。

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