日経ウーマノミクス・プロジェクト 女性一人ひとりが、自分らしく生きる。女性が、柔軟に、働き方や暮らし方を選べる、そんな日本にしたい。だから、日本経済新聞社は、女性が今よりもっと活躍できる環境づくりを応援します。" alt="日経ウーマノミクス・プロジェクト 女性一人ひとりが、自分らしく生きる。女性が、柔軟に、働き方や暮らし方を選べる、そんな日本にしたい。だから、日本経済新聞社は、女性が今よりもっと活躍できる環境づくりを応援します。 日経ウーマノミクス・プロジェクト 女性一人ひとりが、自分らしく生きる。女性が、柔軟に、働き方や暮らし方を選べる、そんな日本にしたい。だから、日本経済新聞社は、女性が今よりもっと活躍できる環境づくりを応援します。" alt="日経ウーマノミクス・プロジェクト 女性一人ひとりが、自分らしく生きる。女性が、柔軟に、働き方や暮らし方を選べる、そんな日本にしたい。だから、日本経済新聞社は、女性が今よりもっと活躍できる環境づくりを応援します。 日経ウーマノミクス・プロジェクト 女性一人ひとりが、自分らしく生きる。女性が、柔軟に、働き方や暮らし方を選べる、そんな日本にしたい。だから、日本経済新聞社は、女性が今よりもっと活躍できる環境づくりを応援します。 日経ウーマノミクス・プロジェクト 女性一人ひとりが、自分らしく生きる。女性が、柔軟に、働き方や暮らし方を選べる、そんな日本にしたい。だから、日本経済新聞社は、女性が今よりもっと活躍できる環境づくりを応援します。

海外プロジェクトの中核に――重責も励みに成長続ける

「いずれは、もっと現場に近いところで仕事をしたい」と意気込みを語る

 2013年10月11日、海外出張を終えた三井物産の市橋聡子さん(35)は早朝に成田空港着の便でインドネシアから帰国した。一息入れる間もなく東京・大手町の本社に。4日間の日程のうち、現地のホテルには1泊しただけで、あとは深夜・早朝の機中泊を2泊こなす強行軍だったが、表情は疲れよりも充実感にあふれていた。

 市橋さんが所属するのは三井物産が海外に保有する発電所の資産運営管理を担うプロジェクト本部電力事業アセットマネジメント部第一営業室。10日前に決まった出張は、インドネシアの東ジャワ州パイトン石炭火力発電所の資産運営効率向上に関する案件だった。発電所は運営効率をいかに高めるかで収益への貢献度が左右される。三井物産は、この発電所を開発・運営する合弁会社パイトンエナジーに40.5%を出資する、パートナーの仏GDFスエズと同率の筆頭株主企業だ。独自の判断だけでは方針は決められないだけに、パートナー企業・アドバイザーと話し合い、今後の進め方について協議するという重要任務だ。

 「普段は電話やテレビ会議でやりとりしている皆さんとフェース・トゥー・フェース(face to face)で話し合って進めたのでスムーズに進みました。友達のような関係ができる人も増え、意識の共有を深めることも出来たので、実りある出張になりました」

■「機中で2泊」の海外出張で現地と交渉

インドネシアの合弁発電事業会社「パイトンエナジー」のジャカルタ事務所で。パートナー企業から派遣された幹部社員らとの話し合いは「文化の壁を乗り越える作業」(左から2人目が市橋さん)

 とはいえ、海外での合弁事業には、言葉以外の壁も多い。文化や習慣の違いが出資者間のコミュニケーションの障害となり、施設運営に関するスケジュールが「こちらが思った通りに進まないこともしょっちゅう」。粘り強く話し合いを続けて問題点を解決し、すべての関係者が納得できる運営手法を模索する。その姿は「ホスト国のために貢献する」という三井物産の精神を体現しているともいえる。

 市橋さんは経済成長に伴って電力需要が急拡大しているインドネシアの発電事業について、運営状況を管理するとともに、合弁会社の経理・財務状況にも目を光らせる。インドネシアの発電事業にかかわる案件の全体状況を把握しつつ、問題があれば洗い出し、解決策を電話会議で現地スタッフと話し合うのが日々の業務だ。インドネシアを担当して2年半余り、既にチームの中核として精力的に仕事をこなしている。

 今回の出張は自ら現場に赴いて現状を把握するとともに、新しい案件についての打ち合わせなどもあって、仕事は盛りだくさん。“1泊4日”でこなすには体力的にもきつい仕事だが、市橋さんは「いつ帰ってこられるか分からない出張というわけではありませんし、仕事を任せられていることは、充実感もあり、とても意欲がわきます」と重責を正面から受け止める。将来は、「もっと現場に近い仕事がしたいし、海外赴任も経験したい。夫には、『(海外赴任が)決まったら、子供を連れていくからね』と話しています」と笑う。

■管理能力で社内外から信頼

 子供はまだ5歳。普段週4日は午後5時半に退社して、横浜市にある自宅近くの保育所に迎えに行く。7時半には自宅で、息子とともに夕食をとる。息子の保育園への登園は夫が対応し、忙しいときには早朝から出勤して仕事をこなす。自分も夫も双方が忙しくて都合が合わないとき、また出張などで長期に不在にするときは、夫の両親や、新潟から自分の母に来てもらい、サポートをお願いしている。職場では「定時の午後5時半で帰ると認識されている」。その分、仕事の進行は段取りに十分な気を配り、スピーディーかつスケジュール通りにこなせるよう努力する。「独身時代や、子供がいないときよりも、効率的に時間を使えるようになり、より仕事の質もあがっているようで、成長したなと思います」

オフィスで効率よく働き、定時に退社するため、「段取りを重視して、慌てないように仕事を進めるようにしています」

 市橋さんの上司にあたる成田俊介・三井物産プロジェクト本部電力事業アセットマネジメント部第一営業室長(48)は、市橋さんのことを「先の先をと、業務段取りを念頭にスケジュール管理をしっかり行っているから、慌てることがほとんどなく、成果もしっかりしているので社内外からの信頼が高い。分からないことがあっても、日頃の信頼を基に『市橋さんを助けよう』と社内外からの協力が容易に得られ、結果的に市橋さんに頼めば更に仕事がスムーズに進むという好循環を生んでいます」と評価する。「男性も女性も、分け隔てなく仕事してもらう」という企業文化を持つ三井物産であるが、市橋さんは現在の職場であるアセットマネジメント部で、「比較的、自分で時間管理が可能な業務の担当にしていただいた。環境を整えてもらっていることに感謝して、その気持ちをベストの仕事でかえしていきたいと思っています」と話す。

 発電事業は膨大な資金を自国だけで集めることが困難なケースも多い。プロジェクトの開始から開発、資金集め、実際の電力プラント建設から管理・運営の効率化による事業の黒字化まで、30年以上の長期にわたるプロジェクトとなることがほとんどだ。市橋さん自身も、入社した時に機械・情報会計部で東南アジア地域案件の担当経理となったこともあり、東南アジア地域の事情や文化、法律などの知識はできるだけ学んできた。

 その中で欠くべからざる人材として活躍している市橋さんに、上司である成田室長は「これからは経営者的な目線を持って、プロジェクト開発の前線にも飛び込んでいってもらいたいし、マネジメント側としても成長してほしい」と、期待を込める。

 アジアでは今後、電力インフラの整備が遅れているインドやミャンマーなど、多くの国や地域で需要が見込まれる。民間による独立系発電事業者(IPP)への期待は高まる一方だ。三井物産は、電力事業の開発部門と運営管理のアセットマネジメント部門と分けることで、効率的な運営管理に関するノウハウを磨き、アジア各地で展開することを強化している。その強化戦略を支えるキーパーソンとして、市橋さんが活躍する場はますます広がっていきそうだ。(次回は「海外で働く」を12月中旬に掲載予定)

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