過去開催イベントのレポート

美食をつくる食材製品の競演

東京・青山のレストランで次代のヒット食品を堪能「美食女子会」

 6月22日夜、東京都港区のレストラン「青山エリュシオンハウス」を会場に、一般社団法人日本能率協会(東京・港)主催の「美食女子会」が開かれました。この会は昨年に続き2回目の開催となります。今年も日本能率協会が主催するアジア最大級の食品・飲料展示会「FOODEX JAPAN2016」において、食に精通し、情報や流行にも敏感な20~40代の「美食女子」が選んだ次の売れ筋候補製品が計64品発表されました。会場では、この展示会で「FOODEX美食女子 美食女子グランプリ」と「FOODEX美食女子 ママの愛グランプリ」を受賞した製品を使って、当レストランのシェフが腕を振るった創作料理が出ました。

 招待された55人は、応募総数375人の中から選ばれた日経ウーマノミクスの会員たちです。4人一組の円卓を彩ったのは前菜、メイン、ドルチェの計12品。約2時間にわたる魅惑のコース料理が織りなす世界は、至福のひと時となったようです。

 「本日はメーカーの方の開発秘話も楽しみながら味わってください」。日本能率協会の草柳友美さんによる乾杯の発声でスタートした宴の第一楽章は前菜の4品。卓上に置かれたメニューの上段に記された「アペタイザー」の覧には「カンパチのカルパッチョ フレッシュ桃と桃たっぷり梅酒ソース」「新鮮野菜とトリプル菌活みそのバーニャカウダ」「フォアグラバターをサンドした5種類のピンチョス」「スイーツ粉を使ったホタテ貝と野菜のフリット」が並んでいます。

 カンパチのカルパッチョを口に運んだ女性の第一声は「ほのかな甘み具合が絶妙で、すっぱい梅のイメージがないですね」でした。この「桃姫とろこく♥桃たっぷり梅酒」(1080円)を開発したのは和歌山県田辺市の中田食品。和歌山の特産品である梅は誰もが知るところですが、実は桃も全国第4位の生産量を誇るそうです。地元の食材をふんだんに生かし、熊野の名水で仕込んだフルーティーな梅酒に仕上がっています。「梅のえぐみを除き、スリムなワインボトルにもこだわりました」と、見た目のかわいらしさにも気を配っていることを、中田食品営業部の田中亮久さんはさりげなく語ってくれました。

 「このピンチョス、お酒にもあいますよね。早速つぶやきます」と、女子たちは忙しそうに口や指先をフル稼働させながら、ツイッターやフェイスブックに次々と情報を公開していました。このピンチョスに使われたパンボールをつくったのは三重県菰野町にある、あづまフーズです。女性だけのチームで製品化にこぎつけたそうで、営業部の増井麻美主任は「初めは男性社員から相手にもされなかったけれど、これで一目置かれるきっかけとなれたかも知れない」と誇らしげでした。

 メインディッシュのひとつ「真鯛のポワレ青汁ソース」に使われた、つぼ市製茶本舗(大阪府高石市)による「ママの愛情♥こども青汁」(540円)を食した2児の母は「野菜嫌いの息子にとてもありがたい。早速、家で試してみます」と目を輝かせていました。 メインはこのほか「ラタトゥイユとジェノヴェーゼの冷製パスタ」「オーロラサーモンでムースを包んだファゴティーニ 季節野菜とスパークリングアップルのソースで」「回鍋肉とコンニャクのシチュー仕立て」でした。「カップヌードルライトプラスラタトゥイユ」(194円)を発売する日清食品の吉田和弘ブランドマネージャーは「スープを飲み干しても198キロカロリーという、カロリーコントロールに一番腐心しました」と秘話を明かしてくれました。

 「健康と美容を意識したメニューは第一に考えましたが、季節感や日常性にも気を配りました」と話すのは、料理を演出した青山エリュシオンハウスのシェフ、石塚充さんです。「ひとつひとつが完成された食材製品であるため、その持ち味を殺さず、いかにアレンジするか」。石塚シェフはこの日のために、昔のレシピを再確認したりしながら備えたそうです。その思いが通じたのか、会場で静かなため息とはじける歓声が上がった2品がありました。ひとつが冒頭でも紹介した前菜のカルパッチョ。「まさかカルパッチョにするとは。甘すぎず、カンパチの邪魔をせず。うーん、最高のアレンジですね」とは、開発担当者の感想でした。さらにドルチェの大皿に盛られた「ヨーロピアンシュガーコーンとイタリアメレンゲのアイスケーキ フルーツを散りばめて」が、実はクラシエフーズのアイス「大人のヨーロピアンシュガーコーン バニラ&フランボワーズ」(453円)であると種明かしされたとき、その斬新なカットの仕方と盛り付けに「え~っ」との驚きが会場にこだましたのでした。

 目の前の一皿一皿を見て楽しみ、食材メニューの解説に耳を傾け、舌で味わいながら、頭で使い方をあれこれ考え、心で感じたことを指で画面に触れて発信する。五感をフル活用した女性たちが集う空間には、梅雨真っ盛りの外気とは異なるエネルギッシュな熱気が漂っていました。新鮮で豊富な食材が取れる自然の恵み。それを様々に加工できる卓越した技術。そして芸術作品のように料理に再構築できる技。安全で安心して食べられる幸せ。日本で暮らす私たちがいつまでも大切にしたい宝物がここにもひとつありました。

梅雨空の下、第二回美食女子会が開かれました
和やかな雰囲気で始まりました
見事なドルチェになりました